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『老後の住み替えを考える人』は気をつけて…土地売却の“2つの落とし穴”とは?【お金のプロが解説】

  • 2025.10.3
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

老後の生活を快適に過ごすために、住まいを見直す「住み替え」を考える人が増えています。特に、子育てや仕事がひと段落したタイミングで、現在の住まいの土地を売却し、新しい住まいへ移ろうとするケースも多いですよね。ところが、この土地売却でよくある思わぬ落とし穴に注意しなければ、せっかくの老後資金が減ってしまったり、余計なトラブルに巻き込まれたりしてしまうことも…

今回はそんな“老後の住み替え”を検討中のあなたに向けて、土地売却で気をつけるべき“2つの落とし穴”をわかりやすく解説します。

高値を期待しすぎると陥る「相場ギャップ」の罠

土地売却を考えるとき、誰もが「できるだけ高値で売りたい」と思うのは当然のこと。しかし、老後の住み替えでありがちな落とし穴の1つは、自分の土地に対して高すぎる値段を設定し、実際の市場価格と乖離してしまう「相場ギャップ」です。長年住んでいた本人は土地に対して愛着が強く、「この土地は価値がある」と感じても、地域の地価動向や需要、周辺環境の変化によっては期待した価格を実現できないことが多々あります。

特に地方の過疎化が進む地域や、建築制限のある土地は売却しにくく、希望価格よりかなり低くなる場合が少なくありません。需要が少なければ、スムーズに売却できないケースもありえます。売却までに時間がかかることで新生活の計画に支障をきたすことも多いので注意しましょう。

土地の売却を進めるためには、需要を予測したうえで、相応の価格設定をしなければなりません。不動産会社の査定を複数社から取り、客観的な相場を把握することが重要です。また、不動産市場の専門家に相談することで、現実的な価格設定と売却戦略を練りやすくなります。

契約や税金面の知識不足が招く「知らぬ間の損失」

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

もう1つの大きな落とし穴は、土地売却に関わる契約内容や税金の知識不足から発生する思わぬ損失です。売却契約の条件や費用の詳細を理解せずに契約を進めてしまうと、想定以上の手数料や契約不適合責任(2020年3月までは瑕疵担保責任)による追加負担など、後で大きな出費を強いられるリスクがあります。たとえば、不動産仲介手数料は400万円を超える場合は売買金額の3%+6万円が上限と法律で定められています。この法律を知らないと、万が一法外な手数料を請求されてしまっても、気づくことができません。

さらに、売却益が出た場合には譲渡所得税が発生します。これは売却金額から購入時の取得費用や譲渡費用を差し引いた利益に対して課税されるものです。取得費用や譲渡費用の計上に漏れがあると、必要以上に税金を納めることになります。また、申告が必要なのにもかかわらず、申告が漏れるると後で追徴課税を受けるケースもあります。

また、売却資金は老後の住み替えで使う資金計画に大きく影響するため、最終的な手取り額を増やし、追徴課税を防ぐためにも、税務署や税理士など専門家に相談して正しく対応することが大切です。

老後の住み替えは下調べが重要

「老後の住み替え」をより良いものにするためには、土地売却における2つの大きな落とし穴を知っておくことが不可欠です。まずは、正当な市場価格をしっかりと把握し、買い手を見つけること。そして契約内容や税金の面を正しく理解し、トラブルや損失を避けることがポイントです。

これらの注意点を押さえておけば、住み替えに伴う老後の新生活を安心してスタートできます。土地という大きな資産を上手に扱い、これからの生活に役立てていきましょう。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。