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『年金』を受け取りながら働ける収入はいくら? “減額されない”働き方をFPが解説

  • 2025.9.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

年金を受け取りながら働く場合、気になるのは、「どんなに稼いでも年金は減らない?」ということ。せっかく受け取れる年金が減ってしまうのは避けたいですよね。この記事では、そんな疑問に答えつつ、減額されない収入の限度額や働き方についてファイナンシャルプランナー(FP)の視点でわかりやすく解説します。これから年金を受け取りながら働きたい方もすでに受給しながら働いている方も、働き方の選択肢が広がるヒントが見つかるはずです。

年金と収入の関係は「在職老齢年金制度」で決まる

厚生年金を受け取りながら働く場合は、在職老齢年金制度が適用されます。
この制度では、

  • 年金の月額(基本月額)
  • 給料やボーナスを月換算した額(総報酬月額相当額)

の合計が一定額を超えると、年金が一部または全額カットされる仕組みになっています。

減額の基準となる金額

基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円(2025年度の場合)を超える場合、「基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2」で計算した額だけ年金月額が減っていく形になります。

減額ゼロで働くには?賢い働き方とポイント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)
  • 総報酬月額相当額と年金の合計を51万円以下に抑える
    賃金(総報酬月額相当額)と年金の合計額を51万円以下に抑えれば、減額されずに満額受給することができます。総報酬月額相当額を決める基礎となる『標準報酬月額』は原則として4月~6月の給料で決まり、基本給だけでなく残業代も標準報酬月額の計算に含まれるため、注意が必要です。
    毎月受け取る年金額がいくらなのか確認したうえで、51万円から年金額を引いた額以内に総報酬月額相当額を抑えれば年金は減額されることはありません。

  • 働き方を変えて厚生年金の加入対象から外れる
    働きながら年金を受け取る在職老齢年金というものがあります。これは、60歳以上の人が会社員として給与を受け取る際に適用される制度です。そのため会社員という働き方をやめて業務委託に変えるなど、在職老齢年金制度の適用対象外にすれば減額されることはありません。また、厚生年金の加入対象でなくなれば、保険料がかかることもなくなります。
    ただし、個人事業主として働く場合は会社の健康保険から外れてしまうため、傷病手当金の対象外になるので注意しましょう。

まとめ

  • 基本月額と総報酬月額相当額を計算した合計が51万円を超える
  • 減額を避けたいなら「働き方の調整」が大切。

たとえ減額されても、働くことで年金が将来的に増える可能性もあるため、損ばかりではありません。
「少し働くことで生活にゆとりが出る」「社会とのつながりを持ち続けられる」などのメリットもあります。大切なのは、自分に合った働き方を見つけ、無理のない範囲で収入と年金を両立させることです。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。