1. トップ
  2. レシピ
  3. 夏カレーは薬膳食材で!スーパーで手に入る食材・スパイスで体が整うスパイシーおかずを!

夏カレーは薬膳食材で!スーパーで手に入る食材・スパイスで体が整うスパイシーおかずを!

  • 2025.7.23

心身のバランスがゆらぎやすい50代。特に夏は、蒸し暑さで食欲が落ち、体調を崩しがちです。
そんなときこそ、スパイスやハーブを使った薬膳の出番。
食べる養生で、夏を乗り越えましょう。

教えてくれたのは・・・
谷口ももよさん
東洋美食薬膳協会代表。日本人女性で初、中医学の最高権威団体「世界中医薬学連合会」の理事に就任する。身近な食材で作る簡単でおいしい薬膳料理を提案。

*特別に記載のないレシピの材料は、すべて2人分です

身近な食材で不調をケアする”ゆる薬膳”がちょうどいい

〝薬膳料理〟というと、薬膳火鍋や薬膳粥など、漢方薬の原料となる生薬が入ったものをイメージするかも知れません。
 
「本来はとても身近なもの。スーパーで簡単に手に入る食材でも作ることができます」と谷口さん。食材にはそれぞれ効能があり、体質や体調に合わせて組み合わせるのが日本の薬膳です。
 
「漢方は、病気のときに使う薬。それに対して薬膳は、『なんとなく不調』『疲れがとれない』といった病気未満の『未病』へ、食べることによって緩やかに対処するもの。そして誰でも簡単に、家でできるものなのです」
 
薬ではないので、すぐに不調が消えるわけではありません。
 
「薬膳は寄り添うように穏やかに体調と向き合います。それには続けていくこと。決して無理はせず、1週間に1~2回、薬膳食材でリセット日を作る感覚でOK。普段の料理のちょい足しくらいから始めてみてください」

薬膳を知れば自分で心身を整えられる

不調が現れやすい50代は、東洋医学で考える『気』『血』『水』のバランスも偏りがちに。
 
「『気』は体を動かすエネルギー。めぐりが悪いとイライラして怒りっぽくなり、足りないとやる気が起きずに疲れやすくなります。『血』は血液や栄養分。足りないとめまいや立ちくらみの原因に。『水』は体内の水分。足りないとのぼせやすくなり、肌や髪、体が乾燥しやすくなります」
 
特に夏は、暑さで食欲が減退したり、冷たいもののとりすぎによって胃腸の働きが低下し、体調不良=夏バテに陥ることも。
 
「暑いと、辛いものを食べて汗をたくさんかいて熱を下げるのがいいと思っていませんか? 体の中は意外と冷えているうえ、50代は水分不足なので、汗のかきすぎは良くないのです。
辛すぎるものはダメですが、カレーに用いられるスパイスとハーブには食欲増進·消化促進の効果のほか、代謝を上げて、のぼせる上半身·冷える下半身と分かれている体内をめぐらせ、バランスを整える効果があります。
上手に取り入れることで、夏冷えや夏バテを予防してくれます。スパイスやハーブは、実は漢方でも使われる生薬。素材の味を生かし、組み合わせることで、よい薬膳料理になります」

薬膳カレーに欠かせない スパイス&ハーブ

夏におすすめのスパイス&ハーブの効能をチェック!
今の体調に合うものを見つけて。

ねぎ
加熱すると甘みがアップ
発汗効果があるので、寒気を伴う風邪の初期症状や冷え性対策に。消化を促進させる効果も。

山椒
舌がしびれるような辛さが特徴
日本原産のミカン科の低木。消化を促進するほか、月経痛の軽減にも用いられる。

カレー粉
手軽にとれる身近なスパイス
ターメリック、コリアンダー、クミン、フェンネル、しょうが、赤唐辛子などをミックス。

しそ
香りが爽やかな和のハーブ
消化機能の低下による胃もたれを改善。発汗させる、気のめぐりを高めるなどの作用も。

みょうが
夏の薬味に欠かせない
血のめぐりを高めて体を温めることにより、夏の冷えをやわらげる。風邪の予防にも。

八角
中国料理でおなじみ星形のスパイス
中国原産のトウシキミという果実を乾燥させたもの。冷えによる腹痛・腰痛を改善する。

しょうが
飲み物やスイーツにも使われる
体を温めて、発汗を促す。胃のムカムカや吐き気を取り除いたり、消化を促進する作用も。

にんにく
世界中の料理に使われる人気者
冷えによる腹痛や下痢の改善に。体を温める作用があり、風邪の予防や疲労回復にも。

クミン
清々しいエスニックな香り
ナイル川上流原産のセリ科の植物で、種を乾燥させて使う。体を温めたり、消化促進作用がある。

フェンネル
甘さの中にスパイシーさを秘めた香り
南欧や地中海原産のセリ科の植物で、別名ウイキョウ。体を温めて、消化を活発にする。

パクチー
実は地中海沿岸が原産のハーブ
東南アジア料理に欠かせない。体を温めて発汗させる、消化を促進させる作用などがある。

コリアンダーシード
スパイスとして使うパクチーの種子
甘く爽やかな、柑橘系を思わせる香り。食欲不振を解消したり、冷えやむくみを改善する。

五香粉
中国生まれのミックススパイス
八角を中心にシナモン、クローブ、フェンネル、花山椒などをミックス。使えばたちまち中華味。

夏バテにおすすめのレシピ 「赤パプリカとトマトのホットガスパチョ」

汗を大量にかくと、脱水気味に。また冷たいものの摂取で冷えも深刻な夏。ほてりを鎮め、うるおいを補うトマトやズッキーニと胃腸を整える赤パプリカを合わせて。
カレー粉、玉ねぎ、しそ、みょうがは冷えを防ぎ、気と血のめぐりを高めます。

使用するスパイス&ハーブ
・にんにく
・みょうが
・しそ
・カレー粉

◆ 材料〔作りやすい分量〕
赤パプリカ…1個
トマト…1個
玉ねぎ…1/2個
にんにく…1/2片
ズッキーニ…1/2本
しそ…2枚
みょうが…1個
オリーブ油・パン粉…各大さじ2
塩・カレー粉…各小さじ1/2
バゲット…適宜

◆ 作り方
1. 赤パプリカ·玉ねぎ·にんにくはざく切り、ズッキーニは2㎝の輪切り、しそ、みょうがは細切りにする。

2. 鍋にオリーブ油(大さじ1)を熱し、赤パプリカ、玉ねぎ、にんにくを入れてこんがりするまで中火で炒める。

3. フードプロセッサーに2、トマト、パン粉を入れ、よく撹拌する。

4. 鍋に残りのオリーブ油を入れ、ズッキーニの両面を中火でさっと焼く。

5. 3を鍋に戻し、塩・カレー粉を入れて味を調えたら器に盛り、しそ、みょうがをのせる。

美肌におすすめのレシピ 「赤パプリカのツナ炒め」

強い紫外線による肌へのダメージが気になる時季。
ビタミンCとβカロテンが豊富な赤パプリカは抗酸化力が高く、美肌効果が期待できます。
体をうるおす白ごまで、汗をかいたりエアコンの効いた室内にいることで乾燥している肌をいたわりましょう。

使用するスパイス&ハーブ
・カレー粉

◆ 材料〔作りやすい分量〕
赤パプリカ…1個
ツナの水煮缶…1/2缶(30g)
オリーブ油・マヨネーズ…各小さじ1
カレー粉…小さじ1/2
しょうゆ…小さじ1
白ごま…大さじ1 パクチーの葉…適宜

◆ 作り方
1. 赤パプリカは太めのせん切りにする。

2. フライパンにオリーブ油とマヨネーズ、水気を切ったツナを入れ、中火でしっかり炒める。

3. 2に1を入れ、中火で2分ほど炒めたらカレー粉、しょうゆ、白ごまを加え、さらに1~2分炒める。

貧血・便秘解消におすすめのレシピ 「黒きくらげのカレーきんぴら」

鉄分豊富な黒きくらげは貧血を予防。食物繊維も多いので、胃腸の調子がダウンしがちな夏の便秘解消にも。同じく血を補う黒ごまをプラス。
黒い食材は体の水分バランスを調整する腎機能を高めるため、血液やうるおい不足対策に用いられます。

使用するスパイス&ハーブ
・しょうが
・五香粉

◆ 材料
黒きくらげ(乾燥)…10g
しょうが…5g
ごま油・しょうゆ・みりん…各大さじ1
五香粉…小さじ1/3
黒ごま…大さじ1

◆ 作り方
1. 黒きくらげは水に10分ほど浸して戻したら細切り、しょうがは細めのせん切りにする。

2. フライパンにごま油を熱し、1を入れて中火で5分ほど炒めたら、しょうゆ、みりん、五香粉、黒ごまを入れ、水気がなくなるまで炒める。

気持ちの落ち込みにおすすめのレシピ 「厚揚げの和風グリーンカレー」

更年期のホルモンバランスの変化は、気のめぐりを停滞させ、心にも影響すると考えられています。春菊としそ、パクチーやコリアンダーシードは気のめぐりを高める食材。
豆腐やココナッツミルクを使うとまろやかに仕上がります。食欲がないときにも。

使用するスパイス&ハーブ
・しょうが
・にんにく
・パクチー
・コリアンダーシード
・しそ

◆ 材料〔作りやすい分量〕
厚揚げ…1丁
春菊…1束
しそ…20枚
パクチー(カット)…ひと掴み
レモン汁…1個分
にんにく・しょうが…各1片
コリアンダーシード…小さじ1/2
オリーブ油…大さじ1
ココナッツミルク…250mL
水…100mL 塩…小さじ1
雑穀ごはん・レタス・
パクチーの葉…適宜

◆ 作り方
1. 厚揚げは一口大に切る。

2. 春菊、しそ、パクチー、レモン、にんにく、しょうが、オリーブ油をフードプロセッサーに入れ、ペースト状にする。

3. 鍋に2、ココナッツミルク、水、塩、コリアンダーシード、厚揚げを入れ、弱火で10分ほど煮込む。

代謝アップにおすすめのレシピ 「大豆のドライカレー」

イソフラボンが豊富な大豆は、女性に欠かせません。胃腸機能アップ、むくみ解消、疲労回復にも用いられる、夏こそ積極的にとりたい食材です。
体を温めるクミン、カレー粉、しょうが、にんにくとの相乗効果で、代謝を高めましょう。

使用するスパイス&ハーブ
・しょうが
・にんにく
・クミン
・カレー粉

◆ 材料
大豆(市販の水煮)…100g
にんにく・しょうが(各みじん切り)…各小さじ1
クミン…少々、オリーブ油…大さじ1
A
みそ・みりん・砂糖…各小さじ1
カレー粉…小さじ1/2
ピタパン…適宜

◆ 作り方
1. フライパンにオリーブ油を熱し、にんにく、しょうが、クミンを入れ、香りが立つまで炒めたら、大豆を入れる。

2. 1に混ぜたAを入れ、水分がなくなるまでよく炒める。

消化促進におすすめのレシピ 「大根カレーピクルス」

冷たい食べ物・飲み物をとることが多い夏は、胃腸の働きが弱りがち。食欲不振につながり、蒸し暑さに負けてしまいかねません。
大根はそんな胃腸機能を調整し、消化力を高めます。酢やスパイスと合わせて、代謝アップも図りましょう。

使用するスパイス&ハーブ
・にんにく
・しょうが
・コリアンダーシード
・フェンネル
・クミン

◆ 材料
大根…1/8本
酢…300mL
砂糖…大さじ1と1/2
塩…小さじ1
しょうが(スライス)…3枚
にんにく…1/2片
クミン・フェンネル・コリアンダーシード…各小さじ1/2

◆ 作り方
1. 大根は保存瓶に合わせた大きさに切り、瓶に詰めておく。

2. 鍋に酢、砂糖、塩、しょうが、にんにく、クミン・フェンネル・コリアンダーシードを入れ、ひと煮立ちさせたら冷ます。

3. 1 に2をひたひたに入れ、半日ほど漬ける。


撮影/砂原 文 スタイリング/中里真理子 文/高橋千恵子
 
大人のおしゃれ手帖2025年7月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる