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川遊び事故は毎年起きている!注意点と対策を解説

  • 2025.7.17

川遊び事故は毎年起きている!注意点と対策を解説

夏は川遊びの事故が増える季節です。この記事では、川遊びに出かける前に知っておくべき川の危険性と事故にあわないための対策、もし誰かが溺れてしまった際の救助の注意点などを解説します。

川遊び事故が毎年起きている現実

毎年、夏に発生する水の事故。川遊びの最中に子どもが流され、助けようとした人まで溺れてしまうことも少なくありません。

警察庁が発表した「令和6年夏期における水難の概況」によると、2024年7~8月の2ヶ月間に発生した水難事故は488件、水難者は601人でした。そのうち、川で事故にあった人は200人(33.3%)に上ります。

水難事故にあった人が「なにをしていたか」に着目すると、「水遊び」が155人(25.8%)、次いで「魚とり・釣り」が84人(14%)、「水泳」が80人(13.3%)となっています。

川遊びには、どのような危険があるのでしょうか。

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子ども・若者に多い死亡事故

川遊びに行く前に知っておきたいのは、中学生以下の死亡事故が海よりも多く発生しているということです。

先ほど紹介した統計内に記載されている、2024年7~8月に水難事故にあった601人のうち、死者・行方不明者は242人です。その中には、中学生以下の子どもが18人いました。この18人が事故にあった場所を見ると、河川が11人、海が5人となっています。

川の事故で亡くなった方の数は、海で亡くなった方の2倍以上に上ります。これは2024年だけに限ったことではなく、過去の統計をさかのぼっても同じ状況が続いています。

原因の多くは急な増水や流れの速さによるもの

川の危険は、プールとも海とも違う「流れ」にあります。一見おだやかな浅い川に見えても、一歩進むと川底が深くえぐれていて、流れが急になっていることが少なくありません。

川底はプールのように平らではなく、石や倒木などが転がっていて、でこぼことしています。水中の石には藻がついていて滑りやすかったり、ぐらついたりします。

子どもは大人よりも体が軽く、流れに足をとられやすくなります。大人にとってはひざ下程度の浅瀬でも、子どもの場合はつまずいた拍子に流されてしまうかもしれません。

川の流れは、天気によっても急変します。たとえ今遊んでいる場所が晴れていたとしても、上流で降った雨の影響で急に増水する危険があり、油断ができません。

場所の下見や危険予測がされていないことが多い

川の事故は、危険な行為をした人だけに限り起きているわけではありません。事故が発生しているのは、多くの人がレジャーに訪れるような場所です。

事故にあった人の住居地を調査したところ、地元に住む方よりも他の都道府県から訪れた方のほうが事故にあっていたという報告があります。例えば、岐阜県を流れる清流・長良川は夏に多くの人が訪れる人気の河川ですが、他の都道府県から訪れた利用者による水難事故も数多く起きています。

■長良川における住居地別の水難者数
同一市町村内:18.3%
同一都道府県内:29.6%
他の都道府県:45.8%
不明:6.3%
(2003‐2024年)n=142(人)

出典:河川財団「No More 水難事故2025」より

遠方からのレジャー客は、その川の普段のようすや、荒天時の変化を知りません。そのため、増水していることに気づかずに川に入って遊んでしまう恐れがあります。

人ごみを避けようとして、地元の人であれば避けるような流れの速い場所や、深みに近づいてしまう危険もあります。

川で起こりやすい事故のパターン

川で事故が起こる原因は様々です。ここでは、注意したいパターンをいくつか紹介します。

急な増水・鉄砲水

上流で降った雨の影響で、川の水が一気に激しく下流へと流れ込むことを「鉄砲水」と呼びます。土石流と洪水の中間のような現象で、巻き込まれると命の危険があります。

近年増えているゲリラ豪雨の影響で、鉄砲水による災害は増えています。

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滑落や転倒による流され事故

川べりは湿っていて足元が滑りやすく、崩れやすいです。草が生い茂っていて、川との境目が分かりにくい場合もあります。

例えば、川の近くにあるバーベキュー場やキャンプ場などでは、大人が準備をしているわずかな隙に、子どもが川に転落する危険があるので注意しましょう。

川遊びの最中に転んでしまい、水難事故につながる例もあります。また帽子やサンダル、浮き輪などが流されてしまい、とっさに追いかけたことが事故の原因になる場合もあります。流されてしまった物はあきらめるように教えておきましょう。

飛び込みや深場での溺水

川への飛び込みは危険です。たとえ深さのある場所でも、水の中に隠れている石があり、頭部などに外傷を負う恐れがあります。また、飛び込んだときに上下が分からなくなり、パニックになって溺れることもあります。

目を離したすきの事故

子どもは、遊びに夢中になってしまうことがあります。川には流れがあるので、子どもがうっかり深みにはまってから助けに入っても、間に合わない恐れがあります。

子どもを川で遊ばせるときは、大人が下流側に立って、目を離さないようにしましょう。冷えると足がつりやすくなりますが、大人も一緒に川に入ることで水温の変化や、体の冷え具合などにも気づくことができます。

川遊びで事故を防ぐためにできること

川遊びは、貴重な自然体験の機会でもあります。安全対策をして楽しみましょう。

天候と上流の降雨情報を事前にチェック

川遊びをするときは、天気の変化に注意してください。たとえ当日が晴天だったとしても、台風の直後などは増水している危険があります。川遊びをする場所だけでなく、上流の天気も確認しましょう。

川で遊んでいるときに、急に黒い雲が立ち込めたり、気温が下がったりしたら、ゲリラ豪雨の前兆かもしれません。水が濁り、木の枝や落ち葉などが流れてきたら、上流で大雨が降っている恐れがあります。

異変を感じたら速やかに川遊びを中断し、水から上がる判断をしましょう。

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ライフジャケットを必ず着用する

川には思わぬ流れや、深みがあります。泳ぎの得意な人でも、流れに巻き込まれると溺れてしまう恐れがあります。

ライフジャケットを着用していると、足のつかない場所でも顔が水の上に出ます。川遊びでは、安全のために子どもだけでなく大人もライフジャケットを着用しましょう。ジャケットはコンパクトなポーチタイプなどもあり、色やデザインも豊富になってきています。

滑りにくい川用シューズを履く

川遊びでは、滑りにくく脱げにくい、水遊び用の靴を履きましょう。ビーチサンダルは流されやすく、不向きです。

特に子どもは、流された靴を追いかけて溺れる危険があるので注意してください。裸足だと鋭利な形をした石や、ガラスの破片などでケガをする恐れもあります。

事故が起きてしまったときの初期対応

溺れている人を見つけたとき、自分が流されてしまったときに、とるべき行動も知っておきましょう。

飛び込まず、まずは浮き具などを使って助ける

溺れている人を見つけて慌てて水に飛び込むと、助けようとした人まで溺れてしまう二次被害の危険があります。

救助の際は陸上から近づき、長い棒やロープなどを差し伸べて救助を試みてください。ロープのついた浮き具や、少しだけ中身の入ったペットボトルなどを投げて、捕まってもらうのも有効な手段です。

流された場合は無理に立ち上がらない

流れの急な場所では、立ち上がろうとしても姿勢を保つことができないかもしません。石に足を挟まれてしまうと、そのまま上半身だけ流れに押されて、体が水に沈んでしまう恐れもあります。

白い波が立っているような場所では無理に立ち上がろうとせずに、仰向けになってラッコのようなポーズをとり、顔を水面に出すようにしてください。流れのゆるやかな場所になったら、立ち上がったり、泳いだりして岸を目指しましょう。

救急要請と心肺蘇生

水から助け出したときに、溺れて意識のない人には、心肺蘇生が必要です。近くの人と手分けをして119番に救急要請をするとともに、近くのAEDを探して取りに行き、心臓マッサージをしましょう。

119番の電話では、救急隊が到着するまでの間にできることを指示される場合があるので、すぐに電話を切らないようにしてください。

AEDは「使い方が分からなかったから」「必要か判断できなかったから」という理由で、使われないことが多いですが、電源を入れると音声でガイドがあり、体にパッドを貼ると、電気ショックを必要としているかも機械が判断してくれます。水難事故の場合は、体の水気を拭いてからパッドを貼るようにしてください。

人工呼吸はトレーニングを受けていないと実施することが難しく、感染予防の観点からも、救助の対象が成人の場合には無理に行わなくてよいとされています。

一方で子どもの場合には、心臓マッサージと併用して人工呼吸を行うのが効果的とされています。救命講習を受けて基本的な手順を知っておくと、もしもの時に役立つでしょう。

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まとめ

レジャー客でにぎわっているような場所でも、水難事故の危険はあります。大人も子どももライフジャケットを着用し、安全に配慮して川遊びを楽しみましょう。

ゲリラ豪雨の影響で、川は急に増水することがあります。天気が不安定なときは、早めに中止する判断も大切です。

<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター・防災士
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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