食通たちが厳選する、定番中華の名店5軒：麻婆豆腐編

麻婆豆腐、それは小宇宙。旨味とスパイスを緻密かつ大胆に掛け合わせた芸術を、熱々の鉄鍋で躍らせる、シェフたちの飽くなき創造力の結集を、その舌を通してぜひ全身で受け止めてほしい。

学芸大学〈上海菜館〉

・2代目・真田照久さんが「ワインに合う中華を」という常連客の要望に応えて誕生。
・ナス、シメジ、アサリが入った麻婆には香りが鮮烈な青山椒を使っているのがポイント。
・炙（あぶ）りチーズをふんだんに使って満足感十分。

アイデアがエジソン級。ぐつぐつの麻婆ととろけるチーズのバディ感に昇天！（肉食系ライター・小寺慶子）

Information

上海菜館

すりゴマではなく、ピーナッツバターで独特のコクを出したやみつき辛いそば（担々麺）1,250円も自信作。

住所：目黒区鷹番3-12-5
TEL：03-3713-4808
営：11時30分〜14時LO、18時〜21時LO
休：火曜・水曜

本郷三丁目〈栄児(ロンアール）家庭料理 本郷店〉

・創業以来20年以上、レシピも食材の仕入れ先も変えていないのがこだわり。
・中でも中国から輸入している新鮮な花椒（ホワジャオ）は「ほかとは痺（しび）れが違う」という自信の食材。
・塩辛くないのでご飯なしでも食べられる。

日本人向けに作られていないのが嬉しい。作りたてが提供される夜がおすすめ！（〈クリスチアノ〉店主・佐藤幸二）

Information

栄児（ロンアール）家庭料理 本郷店

汁なしタンタン麺1,100円は不動の人気！ランチセットは水餃子食べ放題というサービスも嬉しい。

住所：文京区本郷3-15-1
TEL：03-5800-5111
営：11時30分〜14時30分LO、17時〜21時45分LO
休：日曜

明治神宮前〈東坡（トンポー）〉

・客の8割が頼むという麻婆豆腐は激辛で有名。
・数種類のスパイスを煮込み、たっぷりの青山椒を使った爽やかな辛さは後を引かない。
・麻婆豆腐コース5,900円（税サ別）がおすすめ。麻婆豆腐のみの注文は不可。

辛いのは得意でも要注意。全細胞から汗が噴き出すんじゃないかってほど辛い。（フードジャーナリスト、ライター・渡辺紀子）

Information

東坡（トンポー）

創業43年。辛いのが苦手な人は、店主が「こんな料理ほかにはない」と自負するトマト豆腐炒め小3,080円を注文しよう。

住所：渋谷区神宮前3-24-9
TEL：03-3405-9944
営：17時30分〜24時LO
休：日曜・祝日

有楽町〈陳家私菜（ちんかしさい）丸の内店〉

・木綿より軟らかく絹よりしっかりした特注のソフト豆腐はぷるっと弾力があり、調理前に親鶏と煮込んで旨味入れをするこだわりよう。
・オーナーシェフの陳龐湧さんいわく「豆腐とご飯を混ぜて食べるのが一番おいしいよ！」。

「豆板醤（トウバンジャン）の名産地・四川省郫都（ひと）区の郫県（ピーシェン）豆板醤の6年熟成ものは色と香りが違う！（〈東京ディープチャイナ研究会〉代表・中村正人）

Information

陳家私菜（ちんかしさい） 丸の内店

今年3月に移転したばかり。雰囲気のある江南風ガーデンが美しい。

住所：千代田区丸の内3-7-10 鍛冶橋高架下1F
TEL：03-3214-5888
営：11時30分〜14時30分LO、17時30分〜22時30分LO（土・日・祝21時LO）
休：無休

吉祥寺〈中國菜 雲蓉（ユンロン）〉

・自家製豆板醤の力強さに負けないよう、放牧牛ジビーフの手切りミンチを使っている。
・岡山県〈吉田牧場〉のミルキーなリコッタチーズと、絹豆腐との一体感は発明級の味わい。
・葉ニンニクの歯応えも絶妙なアクセント。

コブミカンの葉入り、自家製青唐辛子豆板醤使用など魅力的な麻婆豆腐が多数。（フードジャーナリスト・森脇慶子）

Information

中國菜 雲蓉（ユンロン）

四川で修業した店主による「八味一体」の伝統的な製法が売り。回鍋肉3,300円も名物。

住所：武蔵野市吉祥寺本町2-14-1
TEL：0422-27-5988
営：11時30分〜14時LO、18時〜21時LO
休：月曜昼・火曜昼・木曜昼・水曜

profile

小寺慶子

こでら・けいこ／肉を糧に生きる肉食系ライター。趣味は肉旅（ミートリップ）。近藤真彦さんが町中華を巡る『近藤真彦 マッチと町中華。』（朝日新聞出版）の執筆も手がける。

profile

佐藤幸二

さとう・こうじ／〈クリスチアノ〉店主。何軒もの人気店を営むシェフ。アツい人柄と確かな腕で、出演する『BRUTUS』のYouTubeチャンネル動画にはひそかにファンも増加中。

profile

渡辺紀子

わたなべ・みちこ／フードジャーナリスト、ライター。本誌をはじめ、様々なメディアで食に関する企画や特集、連載を多数担当。愛称は「P（ぴい）」さん。

profile

中村正人

なかむら・まさと／日本在住中国語圏の人々の提供する“ガチ中華”を楽しむ〈東京ディープチャイナ研究会〉代表。著書に『攻略！東京ディープチャイナ』（産学社）など。

profile

森脇慶子

もりわき・けいこ／フードジャーナリスト。料理専門誌から女性誌まで、幅広く活躍。フーディたちが毎年注目する『東京最高のレストラン』（ぴあ）の採点者の一人。