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ジェームズ・キャメロン、クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』のアプローチを批判

  • 2025.7.1
The Exhibition at the Cinematheque Francaise, Paris XII, "The Art of James Cameron"

『ターミネーター』(1984)でAIや核の脅威に警鐘を鳴らした名匠ジェームズ・キャメロンが、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』(2023)のアプローチに異議を唱えた。科学者で作家のチャールズ・ペレグリーノによる著書『Ghosts of Hiroshima(原題)』の映画化を進めているキャメロン監督が、『Deadline』のインタビューで構想を明かし、『オッペンハイマー』との違いを明確した。「彼が何を避けたのかが、興味深いですね。あの作品の製作手法は好きですが、道義的責任を回避しているように感じます」

「あの作品には、オッペンハイマーが焼け焦げた遺体を目にする短いシーンが一度だけ登場し、それが彼の心に深く影響を与え続けた様子が描かれます。ほかの監督を批判するのは好きではありませんが、私には主題を回避しているように見えました。スタジオあるいはクリスの意向なのか分かりませんが、リスクを感じて触れたくなかったようです。ですが、私はそうした議論に真正面から向き合いたい。愚直なんです」

96th Annual Academy Awards - Press Room

ノーラン監督の『オッペンハイマー』は、原爆の父と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記映画。世界中で大ヒットを記録し、アカデミー賞では作品賞と監督賞、主演男優賞を含む7部門を獲得したが、その一方で、キャメロン監督が指摘するように、被害から目を逸らす演出が物議を醸した。ノーラン監督自身は公開時に『Variety』のインタビューで、「オッペンハイマーの体験を主観的に描いた」と語り、被害については「誰かがその物語を語ってくれることを願うが、私が語りたい物語ではなかった」と説明している。

キャメロン監督は今回のインタビューでこれに触れられると、「わかった。私が手を挙げよう。クリス、私が引き受けます。問題ありません。君はプレミアに来て、感じの良いコメントを言ってくれたらいい」とコメント。まだ準備段階にあり、「どんな作品になるか、今日のところは話せません」と断ったうえで、あくまで被爆者の視点を貫く作品にすると約束した。

「核爆弾投下を中止すべきだったのか、投下すべきだったのか、日本は核爆弾投下を正当化するほどの悪事を働いたのか、そういった政治論争にはしたくありません。モラルや政治の議論とは距離を置きたい。実際にその場で体験し、命からがら生き延びた人の視点で、何が起きたかを描きたいのです」

Text: Tae Terai

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