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原作者も携わる“最強ドラマ”の誕生か 過去の“大ヒット映画”とは何が違う?疑問と期待が入り混じる『ちはやふる-めぐり-』

  • 2025.7.24
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(C)SANKEI

累計発行部数2,900万部越えのまんが『ちはやふる』。2016年と2018年には実写映画化されている。

7月期ドラマ、日本テレビ系でよる10時より放送されている『ちはやふる-めぐり-』では、そんな映画『ちはやふる』から10年後の世界を描く。当時、高校生だったキャラクターたちも大人になった。

原作、映画でメインに描かれた瑞沢高校競技かるた部は今回のドラマ健在。だが、ドラマで主人公となるのは梅園高校競技かるた部。顧問を務めるのは瑞沢高校かるた部卒業生の大江奏(上白石萌音)だ。

青春の意義を考え直す

ヒロインとなるのは藍沢めぐる(當間あみ)。梅園高校競技かるた部幽霊部員で、普段はバイトと投資に精を出し、青春はそっちのけ。将来のことを考えて、効率的に生きることを何より重要視していた。確かにその道のプロにでもならない限り、部活というのは「タイパ」が悪いかもしれない。

ではなぜ部活をするのかと言えば、チームワークを学ぶだとか、勉強以外でやり甲斐を見つけるだとか、友だちを増やすだとか……人生に絶対に必要ではないけれど、「あると良いかもしれないもの」を得る場所だ。そして何より、いわゆる「青春」を一番感じられる場所でもある。

そう考えると、将来の目標がしっかりと決まっていて、そこにまい進するのなら、青春というのは蛇足だと考える高校生がいてもおかしくはない。

なんとなく、「青春とは良いものである」と思わされているけれど、それが一旦根本から覆されるドラマでもある。

原作があるけれど、オリジナル?

『ちはやふる-めぐり-』は映画『ちはやふる』から10年後の世界を描いているので、ベースとして『ちはやふる』の世界観はある。が、ドラマのストーリーはオリジナル。現状、どういったストーリーになるのか知っている視聴者はいない。

『ちはやふる』の続編となる『ちはやふるplusきみがため』がBE・LOVE(講談社)にて現在連載されているが、そちらの物語は瑞沢高校が舞台となっており、時系列も主人公の千早たちが卒業してすぐだ。つまり、ドラマは『ちはやふるplusきみがため』よりも先を描いていることになる。

ドラマでは千早(広瀬すず)が「現かるたクイーン」と人物紹介にある。原作『ちはやふる』では千早が初めてクイーンになったところまでが描かれているが、その後どういった紆余曲折があって現クイーンなのか、その座を明け渡したことがあるのか、まさかずっとクイーンであり続けているのか。また、卒業生同士の関係はどうなっているのか……など、本筋の梅園高校のエピソード以外に気になるところが満載なのである。

今のところ、ドラマに千早もチラチラと登場しているが、彼女のエピソードがどの程度明かされるのかファンとしては気になるところ。つまり、細部にわたって視聴者の興味を引く部分が満載なのである。

ドラマオリジナルということで、原作ファンが望まぬ展開があったりするのでは……と不安になるところが、原作者の末次由紀先生もストーリーに携わっているとのこと。なんと心強いことだろう。

ヒロイン・めぐるの「控えめな地味さ」

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(C)SANKEI

この物語の一番のポイントはやはりヒロイン・めぐるの存在感だ。自分自身のことを「脇役」と言い切り、「青春は贅沢」とも言う。千早は耳がよかったように、かるたの才能があるような気配も今のところない。

物語としては、千早の教え子で、かるたクイーンになるという目標を持っているめぐるの幼なじみ・月浦凪(原菜乃華)が挫折をしつつも、強くなっていほうが華やかだ。だが、実際にはどれだけの人が「挫折もしながら強くなっていく」のだろうか。挫折したことで何かをやめていく人のほうがきっと圧倒的に多い。

めぐるは挫折をし、青春を諦めた人だ。そんな人にとって凪のような存在はまぶしく、自分がわき役であることを思い知らされ、ますます青春から遠のいてしまう。実際、凪と再会しためぐるはその光に圧されているようにも見える。

ただ、誰にでも青春は等しく存在する。自分でも青春を体験できるのかもしれない、と思わせてくれるのがこのドラマなのではないだろうか。

青春がキラキラするかどうかは自分次第

2話では、かるた部退部を撤回しためぐる。これから競技かるたの世界に足を踏み入れていくことになりそうだ。「青春は贅沢」と言っていためぐるがどのようにして青春と向き合うのか。かけがえのない、短い時間を満喫してほしいと視聴者としては願わずにはいられない。


※記事は執筆時点の情報です

ライター:ふくだりょうこ(Fukuda Ryoko)
うさぎと暮らすライター。シナリオやインタビュー、コラム、エッセイなどを中心に執筆。小説とお酒と音楽とドラマがあればだいたいご機嫌。