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高血圧が遺伝するって本当? 今からできる「血圧ケア」を医師が解説

  • 2025.6.26

血圧ケア

働く女性が気になる症状や疾患について解説。今回は、体にどういった影響を及ぼすのか、今から知っておきたい「血圧ケアの基本」をひも解きます。

出典:シティリビングWeb

教えてくれたのは…澤口達也先生

豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック院長。糖尿病、内分泌疾患を専門としている。クリニックは、内科、糖尿病内科、内分泌内科、形成外科、皮膚科、美容外科、美容皮膚科と幅広い診療科目を提供

Q.血圧って結局何?

血圧とは血液が血管を流れるときに内側にかかる圧力のこと。心臓から全身に血液を送り出すときを収縮期、全身の血液が心臓に戻ってくるときを拡張期といいます。血圧の測定値は「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」で示されます。一般的に上が120mmHg未満、下が80mmHg未満が正常範囲とされます。30代女性であれば平均は108/66mmHg前後で、 130/80mmHg未満なら正常。血圧は日々変動するため、リラックスした状態で複数回測定し、自分の平常値を知ることが大切です。

Q.高血圧や低血圧の影響は?

高血圧は140/90mmHg以上が続く状態で、自覚症状がないまま進行し動脈硬化が進んで脳卒中や心疾患などを引き起こすことがあります。低血圧は日本では明確な定義はありませんが、世界保健機関(WHO)では、上が100mmHg未満、下が60mmHg未満と定義されています。立ちくらみ、めまい、倦怠感、頭痛、朝起きづらい、ひどい場合は失神の恐れもあります。大病につながることは少ないものの、転倒事故や慢性的な倦怠感で日常生活の質が低下しやすくなります。

Q.夏に気をつけたい血圧変化は?

暑い屋外と冷房の効いた室内の急激な温度差で一時的に血圧が上昇することがあります。また、発汗による脱水で血液が濃縮され、かえって血圧が不安定になることもあります。対策は、(1)エアコンの設定温度と外気との差を5度以内に。(2)こまめな水分補給(喉が渇く前に常温の水や麦茶などを少量ずつ)。(3)汗をかいたら水分と少量の塩分を適度に補給。(4)暑い時間帯の激しい運動は避け、朝夕の涼しい時間に軽い運動を。(5)家庭で朝晩血圧を測り、自分の傾向を記録しておくことです。

Q.高血圧は遺伝するって本当?

高血圧には遺伝的要因があり、親に高血圧があると子どもの発症リスクは高まります。ただし遺伝だけで決まるわけではなく、塩分過多や運動不足などの生活習慣も大きく影響します。高齢者は収縮期血圧が上がりやすいため、家庭血圧計で朝晩測定を習慣にすることや、だしや、コショウなどのスパイス、酢、レモン、薬味といったものを活用して減塩の工夫も大切です。また、冬のヒートショック、夏の脱水による血圧変動には注意を。適度な運動で血圧と足腰の健康を守ることも有効です。重要なのは「遺伝だから仕方ない」と諦めず、自身も早めに健診を受け、血圧測定を習慣化したり減塩などの対策を早めに始めることです。

Q.今からできる血圧ケアは?

塩分の多さは血圧上昇の最大要因です。味付けを薄くし、加工食品や外食に含まれる隠れ塩分にも注意。食塩相当量で1日6g未満を目指しましょう。野菜や果物のカリウムでナトリウムを排出することも大切です。また、寝不足や不規則な睡眠リズムは交感神経を刺激し血圧を上げます。寝る前のスマホを控え、規則正しい睡眠リズムを確保しましょう。精神的ストレスは一時的に血圧を上げ、慢性的には高血圧リスクを高めます。趣味・音楽・入浴・深呼吸などリラックス法を身につけること。そして、適度な運動も大切です。有酸素運動を週に合計150分ほど行うと血管がしなやかになり、血圧安定に役立ちます。階段利用や速歩きなど日常に活動量をプラスしましょう。禁煙・節酒も大切です。

日々の小さな習慣改善の積み重ねが、5年後10年後の健康を守ります。今からできることを取り入れ、将来も健やかな毎日を送りましょう。

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