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NHK朝ドラ“主役じゃないけど主役みたい”な存在感…「色気がある」「ハマっている」欠かせない存在の俳優たち

  • 2025.6.10

現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと、その妻・暢をモデルとしたドラマだが、主人公は今田美桜が演じる「朝田のぶ」(現在は「若松のぶ」)で、後に北村匠海が演じる「柳井嵩」の妻となる物語だ。視聴者目線としては、やなせたかしの方により馴染みがあり、ドラマの中の嵩の動向が大いに気になるところ。北村は主役ではないが、今後どのように嵩を体現していくのか注目が集まっている。

『あんぱん』の嵩のように主役ではないけれど、主役のような存在感で、過去の朝ドラを賑わせた準主役のキャラクターを全編にわたって演じた俳優を振り返ってみたい(順不同)。

『まんぷく』の長谷川博己

2018年度後期の朝ドラ『まんぷく』は、インスタントラーメンを生み出した日清食品の創業者・安藤百福と、その妻・仁子をモデルにしている。主人公は妻の「福子」で、安藤サクラが演じた。百福にあたる「萬平」は福子を見初めて告白し、2人は恋愛結婚。福子に支えられ、紆余曲折を経て、萬平はインスタントラーメンを開発していく。

長身でメガネをかけたキャラクターで、実直な性格の萬平を演じた長谷川博己が大注目され、福子役の安藤に匹敵する人気を博した。萬平役は、本作以前に長谷川が演じてきた役柄よりも親しみやすさがあり、売れっ子俳優となった彼は、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で主演を務めることとなった。

『ゲゲゲの女房』の向井理

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(C)SANKEI

2010年度前期の『ゲゲゲの女房』は、『ゲゲゲの鬼太郎』などで有名な漫画家・水木しげるの妻・武良布枝が執筆した同名の自伝エッセイを原案にした朝ドラだ。主演は松下奈緒で、布枝にあたる「布美枝」を演じている。布美枝は「茂」と見合いをし、5日後に結婚。貧しいながらも夫を支え続け、茂は40代で漫画家として成功を収める。

茂は戦争で左腕を失いながらも、悲観することなく、飄々とした雰囲気で漫画に取り組み、布美枝に対して不器用な愛を示すようになる。向井理が茂を演じているが、彼は本作に出演する前は、イケメン・インテリ俳優のイメージが強かったが、茂を好演したことをきっかけに老若男女から、より愛される俳優となった。近年、活躍中の俳優の中では、朝ドラでヒロインの夫を演じて大ブームを生み出した先駆けと言えるのではないだろうか。

『あさが来た』の玉木宏

2015年度後期の『あさが来た』は、実業家で教育者の広岡浅子をモデルにしたヒロイン「あさ」を波瑠が演じたドラマ。日本人の女性が表舞台に出ることが珍しかった幕末から大正を背景に、銀行や生命保険会社を起業し、日本で初めての女子大学の設立にも尽力したあさ。

あさは、11歳年上の許婚「新次郎」と結婚するが、彼は商いよりも三味線の手習いを好む道楽者で、仕事熱心なあさとは正反対。だが、新次郎はあさのことが大好きで、あさも彼を深く慕うようになる。玉木宏が新次郎を演じているが、社交的でモテ男だけれど、妻を愛する夫を素敵に表現し、女性視聴者を虜にした。途中、あさが尊敬する「五代友厚」が登場し、演じるディーン・フジオカが人気を呼び、“五代様ブーム”が巻き起こるも、彼があさと良い雰囲気になりかけた際、それでも妻から離れなかった新次郎にときめく視聴者が続出。SNSには「新次郎さん、粋で色気がある」「死ぬほどいい男!」といった声が上がり、全編を通して、存在感バツグンの準主役キャラクターとなった。

『おかえりモネ』の坂口健太郎

2021年度前期の『おかえりモネ』は、『あさが来た』や、2019年度前期の朝ドラ『なつぞら』にも出演した清原果耶が主人公の「百音」を演じ、気象予報士を目指して奮闘する物語。「モネ」という愛称で呼ばれる百音は、東日本大震災の際に地元の気仙沼の離島・亀島から離れており、家族や同級生と被災経験を共有できず、何の力にもなれなかったことで苦悩し続けている。やがて、気象予報士が命を守る役割を担うことを知った彼女は、上京して気象情報会社に勤めることになる。

百音が気象予報士の資格を取るために猛勉強する際、彼女は医師の「菅波」から指導を受け、2人は親しくなっていく。2人とも恋愛に不器用だが、惹かれ合うようになり、もどかしいラブストーリーが繰り広げられた。坂口健太郎が演じた菅波は大人気キャラクターとなり、“俺たちの菅波”というキーワードが最終話までSNSを賑わせることに。当時の“菅波フィーバー”は凄まじく、「尊い!」「俺たちの菅波、最高」などといったコメントが度々見られた。

主役が心の支えにする、欠かせない存在の準主役たち

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植物学者・牧野富太郎をモデルとした、2023年度前期の『らんまん』では、神木隆之介が演じた主人公「万太郎」が一目惚れして結婚を申し込んだ「寿恵子」は、本作の“ヒロイン”と呼べるくらいの存在感があった。寿恵子を演じた浜辺美波は、神木と並んで主役ポジションのようなキャラクターを全編にわたって好演している。

2022年度後期の『舞いあがれ!』は、福原遥がパイロットを目指す主人公「舞」を演じた朝ドラだが、舞の幼なじみで、やがて夫となる「貴司」を演じた赤楚衛二が大注目を浴びた。繊細で優しい性格の貴司は人気キャラクターとなり、彼の読む短歌に胸をときめかす視聴者が多かった。

葵わかなが吉本興業の創業者・吉本せいをモデルにした主人公「てん」を演じた、2017年度前期の『わろてんか』では、松坂桃李扮する夫「藤吉」が亡くなった後も幽霊となって現れ、反響を呼んだ。てんが悩んだり行き詰まったりしている時にやって来て、穏やかに語りかける藤吉に、SNSでは「幽霊になってロスを避けてくれた藤吉」「亡くなっても寄り添う新たな夫婦の形」といった喜びの声が見られた。松坂は、2012年度前期の『梅ちゃん先生』でもヒロインの夫を好演しており、主役が心の支えにする準主役として人気を呼んだ。

最後に、現在再放送中の1987年度前期の『チョッちゃん』の世良公則を紹介したい。本作は黒柳徹子の母・黒柳朝の自伝『チョッちゃんが行くわよ』を原作とした朝ドラで、古村比呂が主人公「蝶子」を演じているが、彼女が結婚する「要」を世良が快演。要は天才バイオリニストで、女性にモテモテの男性だったが、 蝶子を見初め、猛アタックして結婚の承諾を得る。SNSでも「強引で迫力があって男前」「世良さんがハマっている」と大評判を呼んでおり、存在感ナンバーワンの準主役と言えるだろう。ぜひ、チェックしてみてほしい。


ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP