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“1000年に1人の逸材”朝ドラヒロイン「別人のよう」「ハマり役」”とにかく口の悪い医者”役で女優としての新境地

  • 2025.6.13

朝ドラヒロインや映画『キングダム』シリーズなどで国民的人気を博す橋本環奈が、今作で新たな挑戦に臨んでいる。主演ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』(テレビ朝日系)で演じるのは、驚異的な知能と洞察力を持つ天才診断医・天久鷹央。だが、この医師、少々どころか“とにかく口が悪い”。誰にも遠慮せず、鋭すぎる正論をズバズバと突きつけてくる。そんな一筋縄ではいかないキャラクターに、橋本環奈が命を吹き込んでいる。

“口の悪さ”と“天才”の裏にある、人間味の演技

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(C)SANKEI

天久鷹央は、ひと言でいえば「協調性ゼロ」の医師だ。患者にも同僚にもお構いなしに毒舌を浴びせるが、その知識と診断能力は一級品。原作は知念実希人による人気医療ミステリーであり、ドラマではこの個性豊かなキャラクターがどのように映像化されるかが注目されていた。

演じる橋本環奈は、制作段階から精神科医を交えた丁寧なキャラクター設計に関わり、鷹央のASD(自閉スペクトラム症)の特性についても綿密に理解を深めたという。部屋のセット内に至るまで、そのこだわりは細部に及ぶ。視聴者の間でも「別人のよう」「役作り凄い」「ハマり役」と、驚きの声が広がっている。

とくに印象的なのは、鷹央が自らの発達特性を相棒の内科医・小鳥遊優(三浦翔平)に打ち明ける場面。一見、強気で唯我独尊な鷹央の背後に、どうしようもなく生きづらさを抱えた“人間”としての弱さがにじみ出る。橋本の演技は、その複雑な層を確かな説得力で表現している。

コメディからヒューマンまで、広がる“橋本環奈の振り幅”

橋本環奈といえば、「1000年に1人の美少女」としてその名を轟かせたが、いまやその肩書きは“演技派女優”へと進化しつつある。これまで『銀魂』シリーズの神楽役では思い切った変顔を見せ、連ドラ『トクメイ!警視庁特別会計係』では経費削減に奔走する警官をコミカルに演じるなど、役柄の幅は年々広がっている。

そのなかでも、今回の天久鷹央というキャラクターは特筆に値する。美貌や明るさだけでは通用しない難役でありながら、橋本はその複雑さを軽やかに、ときにずしりと深く演じ切っている。SNS上でも絶賛の声が相次ぎ、「橋本環奈=可愛い」だけではない、新しい魅力を生じさせている。

鷹央というキャラクターの最大の魅力は、“ただの天才”ではないということだ。彼女はASDという特性を持ち、社会とのズレに苦しみながらも、人命を救うために医師として懸命に働いている。その姿は、多くの視聴者の共感を呼んでいる。

第1話で見せた、相手の顔を見ずに淡々と自分の特性を語るシーンや、「人の気持ちはわからない。でも助けることはできる」と語る場面は、決して大げさではないが、胸に響くものがある。

橋本の演技は決して“作り込んだ”ものではなく、どこまでも自然で、生々しく、そこに“本物の生きづらさ”があると感じさせるのだ。

“美少女”の枠を超えた、その先にある未来

橋本環奈がここまで愛され続けている理由は、そのビジュアルだけではない。むしろ、そこに安住せず、自らの表現力を磨き続けてきた姿勢にある。今回の『天久鷹央の推理カルテ』は、そんな彼女の“女優としての新境地”を示す作品となった。

毒舌で奔放、それでも根底にまっすぐな信念を持つ鷹央という役を通して、橋本環奈はまた一歩、新たなステージへと進んでいる。“1000年に1人の逸材”は、いまや“唯一無二の演技派女優”として、未来へ歩み出しているように思えてならない。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧:Twitter):@yuu_uu_