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母への愛、母としての想いに共感!母の日に観たい映画3選

  • 2025.5.12

『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre

赤やピンクのカーネーションがフラワーショップの店先を彩る今日この頃。今回は「母の日」にちなんで、さまざまな形で母への愛を描いた映画を紹介します。19歳で完成させたデビュー作『マイ・マザー』で一躍脚光を浴びたグザヴィエ・ドラン監督が再び母をテーマに描いた『Mommy/マミー』、若き日のジュリア・ロバーツが出演している母娘の愛を描いた『マグノリアの花たち』、母の日をないがしろにされていると憤る女友達3人を描くコメディ『アザーフッド 私の人生』の3作品です。

俊才グザヴィエ・ドランが描く、母と息子の痛々しいほどの愛 『Mommy/マミー』

『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre

2014年の第67回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品で、当時まだ20代半ばだったグザヴィエ・ドラン監督の才気が絶賛されました。
 
舞台は、架空のカナダ。シングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルヴァル)とその一人息子で発達障害を抱えるスティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)、彼らの隣人で吃音症を抱える女性カイラ(スザンヌ・クレマン)の関係を描いています。

『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre

15歳のスティーヴは発達障害のために突然に反抗的で衝動的になることがあり、そうなると周囲は手が付けられません。ただ、彼は母のことが大好きです。そんな息子を一人で育てているダイアンですが、彼女自身も口や態度が悪く、なかなかエキセントリック。そんな二人ですが、あれこれ言い合いながら一緒に歩く様子は楽しそうでもあります。
 
それを見ている隣人のカイラには夫も子どももいますが、彼女は吃音症により休職していることもあり、家庭に居場所がありません。そんなカイラがダイアンとスティーヴの手伝いをすることで、3人の関係が築かれていきます。

『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre

社会の中で肩身の狭い思いをしている3人は、不器用ながらも打ち解けていき、絆を育んでいきます。楽しそうな3人。それなのに、この関係が長くは続かないだろうと思って見てしまうのは、映画の冒頭に掲げられた法律の一文のせいです。彼らが住む架空のカナダでは、発達障害を持つ子どもの親が、子を育てられない状況に陥った場合、法的手続きを経ずに養育を放棄して施設に入院させる権利を保障した法律が可決されたのです。

『Mommy/マミー』©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre

この映画の画面は、正方形のフレームで始まります。今ではInstagramの画像で見慣れた正方形ですが、登場人物の顔がアップになると周囲の背景がほとんど映らないため、感情移入しやすいとともに息苦しさを覚えます。ダイアンたちはまさにそんな息苦しさのなかにいるのです。それが、あるシーンだけ横幅が広がり、世界が広がります。そしてまた正方形のフレームに戻っていく演出は見事です。
 
映画の結末には賛否両論あるようですが、ダイアンはどのような道を選んだのか、ぜひ自身で観ていただきたいと思います。

『Mommy/マミー』

2014年製作

Blu-ray ¥5,170/DVD ¥4,180
発売元:ピクチャーズデプト
販売元:ポニーキャニオン

©2014 une filiale de Metafilms inc. / Photo credit : Shayne Laverdiêre

母、娘、友人、固い絆で結ばれた女性たちの愛おしい群像劇 『マグノリアの花たち』

『マグノリアの花たち』©1989 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

アメリカ南部ルイジアナ州の小さな町を舞台にした、女性たちの物語。しっかり者の母親マリン(サリー・フィールド)は、娘シェルビー(ジュリア・ロバーツ)の結婚式の準備やその弟たちの世話で大忙し。
 

『マグノリアの花たち』©1989 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

町の社交場であるトルービィ(ドリー・パートン)の美容院では、いつも通り女性たちがおしゃべりに花を咲かせていましたが、素敵な髪に仕上げてもらっていたシェルビーが糖尿病の発作に襲われて倒れてしまいます。彼女は重い糖尿病を抱えていて、子どもを産んではいけないと医者に言われたと打ち明けます。
 

『マグノリアの花たち』©1989 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

クリスマスの日、シェルビーはマリンに妊娠したことを打ち明けます。素直に喜べない母と、子どもを産み育てたいと主張する娘。そんな母娘を中心に、明るいトルービィ、偏屈な未亡人ウィザー(シャーリー・マクレーン)、町長の未亡人クレリー(オリンピア・デュカキス)、美容院で働いているアネル(ダリル・ハンナ)の絆を描いていきます。

『マグノリアの花たち』©1989 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

母娘に訪れた人生の試練と互いを思いやる気持ちに、涙なしでは見られない本作。美容院でにぎやかにおしゃべりをしながら人生の悲喜こもごもを分かち合う女性たちの連帯感も力強く、温かな余韻を残します。

『マグノリアの花たち』

1989年製作

Blu-ray ¥2,619
権利元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
 
©1989 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

母の日なのに無視!? 3人の女たちが息子たちを突撃訪問! 『アザーフッド 私の人生』

Netflix映画『アザーフッド 私の人生』独占配信中

「人生の節目を共に過ごしたのに、今では何も知らされない」と悲嘆にくれる50代と思しき母親たち。長年の友人であるキャロル (アンジェラ・バセット)、ジリアン (パトリシア・アークエット)、ヘレン (フェリシティ・ハフマン)の3人は、「夫も息子もいない方が楽しいわよね」と言いながら集まり、自立した息子から音沙汰がない寂しさを分かち合っています。「正しく子育てした結果、子は独立し、母は干される」という彼女たちのやるせない気持ちに、共感する人は多いのではないでしょうか。

Netflix映画『アザーフッド 私の人生』独占配信中

母の日さえないがしろにされていると憤る3人は、それならばこっちから会いにいこうと、それぞれの息子が住むニューヨークへと車で向かうことを決意。母の突撃訪問に息子たちは面喰らいますが……。

Netflix映画『アザーフッド 私の人生』独占配信中

息子たちを訪ねる旅で、3人の女性たちは今後の自身の生き方を模索し、家族や友人との関係も新たなステージに入っていかざるを得ないことを実感します。母親業に一区切りついたものの寂しさでいっぱいの彼女たちの変化を、ユーモラスに描いた作品です。

『アザーフッド 私の人生』

2019年製作

Netflixにて独占配信中


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※この記事の内容および、掲載商品の販売有無・価格などは2025年5月時点の情報です。販売が終了している場合や、価格改定が行われている場合があります。ご了承ください

構成・文

ライター
中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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