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メットガラのアフターパーティーで学んだこと。通算20回以上参加した『VOGUE』エディターの個人的感想

  • 2025.5.2
The 2023 Met Gala Celebrating "Karl Lagerfeld: A Line Of Beauty" - Street Sightings

数年前、US版『VOGUE』の元エディターで、現在はUK版『VOGUE』の編集長を務めるチオマ・ナディが、あるアイデアを私に持ちかけてきた。その頃からメットガラMET GALA)のアフターパーティーの数は爆発的に増えており、たった一夜ですべてに足を運ぶのは不可能だと、誰かが何気なく言った。ナディのアイデアは、まさにその「不可能」にチャレンジすること。5月の第一月曜日、メットガラ後に開催されるすべてのパーティーに参加することだった。

そして私に白羽の矢がたったのだ。2022年、カーダシアン一家がメトロポリタン美術館に到着した頃、メインイベントのメットガラはまだまだこれからというタイミングで、私は会場を後しに、早々にアフターパーティー巡りをする準備をした。

『VOGUE』には8年間籍を置いているが、その間、私は20ほどのアフターパーティーに参加してきた。パンデミックが起きていなかったら、その数はおそらくもっと多かっただろう。そしてすべてが予定通りに運べば、今年で参加回数は少なくても25くらいには到達するはずだ。

来週に迫っているパーティー三昧の一夜を前に、あらゆる夜の宴に参加することで得た学びというか、気づきのようなものを振り返ってみることにした。一晩でこんなにもたくさんの集まりに顔を出すことは、普通に暮らしていればほぼないとは思いつつも、この記事を読んでいるみなさんの参考になるようなことがあれば幸いだ。

お酒はほどほどに、自分に合ったものを飲む

Boom at The Standard Met Gala After Party

初めてお酒を口にしたときのことを今でも覚えている。ある同級生の家での集まりで、私は片思いしていた先輩の気を引きたくて、なぜだか甘いスポーツドリンクとラム酒を割った謎の飲み物を作った。

言うまでもなく、散々の夜だった。しかしこの経験から、私は自分に合うお酒を徹底的に追求し始め、やがて、酔い潰れることなく、その場を楽しめる「ベストなお酒」がわかってくるようになった。一番気持ちよく飲めるのはシャンパンだ。テキーラを飲むと手に負えなくなる。ウォッカは少しならいいが、ちょっとでも飲み過ぎると、酔った勢いでいろいろな人に変なメールを送ってしまう。白ワインとロゼを飲んだ日には、翌朝4時くらいに目が覚めてしまうものの、赤ワインは逆にいくら飲んでも、次の日は早朝からランニングに行けるくらい元気だ。

初めてのメットガラのアフターパーティでは、ウェイターから手渡されたものをとりあえず何でも飲んだ。それもかなりの量を。案の定、翌朝目覚ましで起きると、猛烈な二日酔いに襲われた。仕事のメールもその時点ですでに100通くらい溜まっていて、朝から相当に気を揉んだ。

いくらメットガラとはいえ、私のように9時-5時勤務をしている人間は、羽目を外さず、ほどほどに楽しまなければならい。でなければ、翌日は到底仕事にはならないし、お財布も悲鳴をあげる。最近では、iPhoneのメモアプリに何杯飲んだかを記録している。これは、大人の飲み方を覚えたということだろうか。とにかく、どんなパーティーであれ、飲み過ぎには注意。

セレブが美しいのには、それなりの理由がある

2019 Up & Down Met Gala After Party

昨年、メットガラの前に、私はセレブ御用達のエステティシャンにフェイシャルエステをしてもらった。ただ、これは俗に言うフェイシャルエステなどではなかった。マッサージに角質除去、レーザーに保湿、マイクロカレント(微弱電流)美容法など、詳しい説明を受けたのによくわかならないその他いろいろな施術を顔にほどこされた。2時間後、施術が終わり鏡を見ると、そこにはいつもの自分ではない自分が映っていた。

このフェイシャルエステは、自腹ではなかった。自分で払おうと思っても、払えないような値段だったのだ。担当してくれたエステティシャンのサイトに料金は掲載されていないが、似たような施術で1回1,800ドルくらいかかることがある。そしてこの日、この高級エステを無料で受けた人は、私以外にもいた。某大手メゾンからメットガラに招待されたゲスト複数人も、お代はメゾン持ちで受けていたのだ。

超がつくほど高いのは、エステだけではない。ネイルにヘアにメイクなど、本当にありとあらゆるものにお金がかかり、どれも一般的な給料をもらっている人間には到底払えない価格設定なのだ。セレブたちが指名するような、トップレベルのメイクアップアーティストにメイクをお願いしようと思ったら、1,000ドル以上はする。ヘアスタイリストもそうだ。また、専属のビューティーチームを雇っているセレブも多い。専属でない場合は、アンバサダーなどを務めているブランドが手配したチームがついている。なので、たとえ予算があったとしても、セレブと同レベルのサービスを受けられるとは限らないのだ。私が今回お世話になったエステティシャンは、ネットで予約することはできない。彼女自らが、請け負うクライアントを選ぶ。最後に確認したときは、新規の人は受け付けていなかった。

何が言いたいのかというと、レッドカーペットや華やかなパーティーで見かけるセレブは、外見に何千、何万ドルもかけているということだ。水をたくさん飲んでも、頑張ってピラティスをやっても、彼らのような肌や体型にはなれない。ごく一部の人しか受けることができない、最先端の美容治療を受けているからこその見た目なのだ。

もちろんセレブであれば、受けるのが当然だろう。何せ、見た目が商売道具なのだ。エステティシャンも、ヘアメイクも、パーソナルトレーナーも、栄養士も、皮膚科医も、すべて経費で落とせる。だからこそ、自分をセレブと比べないでほしい。あれは一種の幻なのだから。

知り合いがいなければ、誰だって心細くなる

Richie Akiva's 10th Annual "The After" Met Gala After Party

理想では、私はどのメットガラのアフターパーティーでも、友人に囲まれている。私たちは全員シックなコーデに身を包み、センスのいい写真を撮り、その場にいるみんなの気になる存在となる。

だが、現実では、私は自分で配車したライドシェアでひとりパーティーに向かい、入り口にいるPR担当者の注意をどうにか引いて、そそくさと中に入る。そして、最初に目についた人に張り付く。相手は誰だっていい。それこそ、嫌いな人でも元カレでも構わない。何ならペテン師でも。とにかく、それが誰であろうと、私はその人たちのところへ一直線に行き、「久しぶり」「また会えてうれしい」など、それっぽいセリフを口にする。その間、友人や知り合いたちに「みんなどこ?」と、必死にメールするのが常だ。

正直に言うと、毎回そんな行動に出る自分を、落ちこぼれのように感じていた。しかしあるとき、セレブたちも全く同じことをしているのに気づき、開眼した。顔見知りでもない人たちとぎこちなく世間話をするセレブたち。ひと目のつかないところに隠れ、おそらく待ち合わせをしている友人か誰かにメールを送り、返事を待つ間、手持ち無沙汰でインスタグラムをチェックするセレブたち。緊張をほぐすために、バーでひとり、とりあえずお酒を1杯、勢いよく飲むセレブたち。結局のところ、セレブたちも私たちと同じ人間。確かに、私たち庶民とは違う、不思議な次元に生きているが、隙がない人などいないのだ。

露出が多い服は考えもの

The 2023 Met Gala Celebrating "Karl Lagerfeld: A Line Of Beauty" - Street Sightings

“ぽろり”を何回見てきたことか。カットアウトがあちらこちらに施された服は、いくらパーティーでも控えるべきだと思う。

パーティー中もパーティ後も、自分を労わる

Après Met 2 Met Gala After Party hosted by Carlos Nazario, Emily Ratajkowski, Francesco Risso, Paloma Elsesser, Raul Lopez and Renell Medra

私はヒールを長時間履いて立ち続けたせいで、小指の神経を損傷し、再発性足底筋膜炎を患っている。普通ではあり得ないことのように思えるかもしれない。実際のところ、普通ではないのだ。なぜなら、私は何年もの間、痛みを感じず一晩中駆け回れるように、足に麻酔スプレーを吹きかけて、パーティーを巡っていたのだから。

今やひとりで家にいるときは、「カレックス」という会社が作った足用の装具をつけて過ごし、毎日のように効果的なアイシング方法をネットで検索している。

パーティーに行き続けることは、負担となる。心にも、肌にも、体にも、いつかガタがくる。最近の人々は「セルフケア」の力を過信し過ぎているところがあり、言葉自体も使い回され過ぎて、陳腐な響きを持つようになったと思う。しかし、自分自身を労わりケアすることは、本当に大切なことなのだ。スペインの探検家、フアン・ポンセ・デ・レオンがかつて探し求めた「若さの泉」などは、この世に存在しない。若くて、今が楽しいからといって、無敵なわけではない。嫌な気持ちにさせるものからは距離を置き、寝る前にはちゃんと化粧を落とし、パーティーに行くときも、足の負担を軽減するヒール用のインソールを仕込んでから出かけるべきなのだ。

ということで、私は今年もまた、5月の第一月曜日に開催されるメットガラに備えている。何を着ていくか、どんなアフターパーティーに招待されるのか、高級フェイシャルエステをまた受けられるのか、まったくわからない。でも、ネタになるような出来事が起きるのは確かだ。

Text: Elise Taylor Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

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