1. トップ
  2. 回想シーンに隠された“はじまりの殺意”…怖いけど続きが気になると話題の『死ぬほど愛して』

回想シーンに隠された“はじまりの殺意”…怖いけど続きが気になると話題の『死ぬほど愛して』

  • 2025.4.18
undefined
(C)AbemaTV,Inc.

ドラマ『死ぬほど愛して』第4話でついに明らかになったのは、主人公・神城真人(成宮寛貴)が、ただの「裏の顔を持つ男」ではなく、“人を殺している可能性が極めて高い男”であるという事実だ。いや、可能性ではない。すでに視聴者の目には明らかになっている。少なくとも、記者・南沢夕陽(久間田琳加)は、彼の手にかかって命を落とした。真人は一体、なぜ人を殺すのか。その理由は「妹のため」なのか、「金のため」なのか。それとも、もっと深い闇が隠されているのか。

“叔母の急死”が示す、南沢夕陽と真人の接点

undefined
(C)AbemaTV,Inc.

第4話の冒頭、夕陽の死後、先輩記者である石黒颯馬(細田善彦)が居酒屋である話をする。「夕陽の叔母が心臓発作で急死した」と。もともと持病があったものの、年下の夫と結婚してからは体調が安定し、むしろ回復に向かっていたという。しかし、何の前触れもなく命を落としてしまった。

この“年下の夫”こそ、ほかでもない神城真人であると推察できる。つまり、夕陽はすでに真人という存在に辿り着いていた。そして、彼女は自らの家族を殺した男を、冷静に、綿密に追っていたのだろう。

その調査を途中で終わらせたのは、彼女の死だった。だが、彼女は石黒から譲り受けた御守りのなかに、重要な取材データを隠し持っていた。まるで自らの死を予期していたかのように。そして、石黒がそれを託され、物語は次のフェーズへと突入していく。

神戸に残る痕跡……真人の動機は?

石黒は真人を追い、神戸へと向かう。だが、そこで得られたのは「痕跡は何も残っていない」という不穏な情報だった。しかし、すでに回想シーンで、真人が神戸で妹・茜と共に暮らしていたことが明らかになっている。震災で母親を失い、義理の父親を“事故”に見せかけて殺した描写もある。

神戸での体験が、真人の人間性に決定的な影を落としたことは間違いない。貧困、暴力、喪失……そうした環境下で育った少年が、大人になって「家族のため」という正義を手にしたとき、それがどれだけ危ういものか、私たちは目の当たりにしている。

病院のベッドで眠る女性に、真人が宮沢賢治の『永訣の朝』を読み聞かせる場面は、視聴者に強烈な印象を残す。茜(蓬莱舞)は、今なお意識を取り戻さず、眠り続けている。おそらく莫大な治療費がかかっているのだろうが、生きている限り、希望はある。真人が犯してきた罪の理由は、その妹の命を守るためだったのか?

だとすれば、彼は「家族思いの男」なのか。しかし、そう呼ぶには、すでに彼の手は血で染まりすぎている。保険金目当てに何人も殺し、いまや妻・澪(瀧本美織)さえターゲットになっている可能性が高い。共依存に陥らせ、生活や精神を真人なしでは成り立たないよう仕組んでいる。そこに愛があるのか、それとも支配と欲望だけがあるのか。まだ判断はできない。

『死ぬほど愛して』が描く“深すぎる愛”の行方

undefined
(C)AbemaTV,Inc.

もし、真人が本当に「妹の治療費のため」だけに人を殺しているのだとしたら、物語はやや凡庸なものになってしまう。しかし、このドラマはそんな単純な枠には収まらないように思える。なぜなら、真人のターゲットは女性に限られており、それは単なる効率の問題では説明できないからだ。

自分を守ってくれなかった母、自分を愛してくれなかった女性たちへの憎悪。その裏返しとして、妹・茜という「絶対的に守るべき存在」だけが、彼のなかで唯一の“純粋”な愛として存在しているのかもしれない。そう考えると、真人の殺人は「正義」の仮面を被った、非常に私的な復讐に見えてくる。

唯一真人に立ち向かおうとしているのが、記者の石黒である。彼は夕陽の死にただならぬ違和感を抱き、その遺志を継ぐ形で調査を進めている。真人と同じマンションに越してきたことも、偶然ではない。

石黒はある意味でもう一人の主人公であり、視聴者の目線を代弁する存在でもある。彼が真実に近づくごとに、ドラマの緊張感は増していく。真人の裏の顔が暴かれる日は、果たして来るのか。

『死ぬほど愛して』は、単なるラブサスペンスではない。愛という名のもとに繰り返される暴力、支配、そして悲しみを、濃密な心理描写と緻密な伏線で描き出すサイコスリラーである。

「怖いけど続きが気になる」……SNS上の声はまさにこのドラマの核心を突いている。私たちは、真人の罪が暴かれる日を待ち望みつつ、同時に彼の“救い”をどこかで願ってもいる。だが、それが訪れる日は、あまりに遅く、また物語の結末も、あまりに切ないものになるのかもしれない。


ABEMA『死ぬほど愛して』
[放送日時]3月27日(木)夜11時より ABEMAで配信開始
[出演者]成宮寛貴、瀧本美織ほか
[番組トップページ]https://abema.tv/video/title/90-2024

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_