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放送禁止スレスレの"禁句"連発…!「攻めてる」従来の芸能ものとは"一線を画した"異色の新ドラマ『ダメマネ』

  • 2025.4.25

日本テレビ系 日曜ドラマ『ダメマネ! ―ダメなタレント、マネジメントします―』の第1話が、4月20日(日)に放送された。本作は、かつて天才子役として一世を風靡した主人公が、芸能マネージャーとして返り咲く……どころか“まったくの別人”として芸能界の裏側に飛び込んでいく異色のドラマだ。

主演を務めるのは、元AKB48の川栄李奈。アイドル出身女優のなかでも、確かな演技力に定評のある彼女だが、本作ではついに“本格コメディエンヌ”としての扉を開いた。冒頭からテンポよく繰り出される毒舌セリフの数々と、芸能界のリアルとフィクションが絶妙に混ざり合った舞台設定。初回から放送禁止スレスレの“禁句”が連発される物語に「攻めてる!」という声がSNSで飛び交ったのも頷ける展開だった。

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(C)SANKEI

出だしから全方位に噛みつく道子節

川栄李奈演じる主人公・隅田川道子(本名は神田川美和)は、名前からしてクセ強。しかもその正体は、過去に天才子役として一世を風靡したが、とある不祥事で芸能界を去った人物。そんな彼女が“マネージャー”として芸能界に舞い戻ることから、物語は始まる。

だが、配属されたのは“お荷物部門”と陰口を叩かれる芸能4部。そこには、かつての大御所だったが現在はCMを飛ばす厄介者・五味良介(竹中直人)をはじめ、事務所がもはや戦力外と判断したような面々ばかりが集められていた。

そんななかで道子は、かつての輝きを失った五味に関わる仕事を突然任される。業界を知り尽くした犀川真一郎(安田顕)からは、「自分で考えずに演じろ」と謎めいた台詞が渡される。だが、この“マネージメント=演技”という設定が、本作をただの芸能ドラマに終わらせないポイントでもある。

名言(迷言?)連発!痛快マネジメント劇に垣間見える復讐の色

道子が投げるセリフが、いちいち鋭い。五味に対して「老害ナメんな!」と真っ向から言い放つなど痛快な啖呵が次々と飛び出すが、単なるコメディではない。

道子の行動には、過去の“傷”がある。芸能界を去るきっかけとなった出来事と、それに背を向けた事務所・マネージャーたちへの不信。だからこそ、今度は裏側から芸能界に“仕返し”するように、あえて最底辺から這い上がる決意を感じさせる。

その背景がセリフや表情の端々ににじむことで、道子というキャラクターが“ただおもしろい”だけで終わらない厚みを持って描かれている。

川栄李奈が“演じる”ということの奥深さ

本作最大の見どころのひとつは、川栄李奈の“演じ分け”にある。彼女が演じる隅田川道子は、現実世界でいう「落ちぶれた元スター」。にもかかわらず、マネージャーとしては素人で、さらに犀川に渡されたセリフ通りに喋ることで、マネジメントをこなしていくというメタ構造になっている。

つまり、川栄李奈は「天才子役だった女性がマネージャーを演じる」役を、演じている。さらに、その道子が演技でマネジメントをこなすという“三重構造”が成立しており、そこに川栄の高い演技力がフル活用されているわけだ。SNS上でも川栄の演技に対して「さらに上手くなってる」「熱い、カッコいい!」と評判の声が見られる。

コミカルでありながら、どこか切実。本人にしか出せない“哀愁と怒り”が交差する台詞回しは、さながら新しいジャンルの開拓といっても過言ではない。

『ダメマネ!』は、従来の芸能ものとは一線を画す。華やかさや成功譚ではなく、落ち目のタレントや、使い捨てられる人材、見切られる者たちの再起を描こうとする意図がある。だからこそ、マネージャーという立場からの目線は新鮮で、妙なリアリティと説得力を伴う。

1話のラストで、道子は五味に再起を促す。「私たちはまだ終わっていない」と。これは彼女自身にも向けた言葉だった。演じることは、生き直すことでもあるのだ。

テンポの良さ、川栄李奈の演技力、そして芸能界という舞台に垣間見える苦さと再生の物語。1話を終えて感じるのは、道子という人物の“芯”をもっと見てみたいという欲望だ。犀川との関係性、妹の借金、そして自分の過去。彼女が“本当の自分”を取り戻すとき、きっとドラマはさらにおもしろくなるだろう。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_