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「“ごちそうさま”はマナー違反」令和に横行する謎指摘に「なぜそうなる」の声。『馳走』の由来から紐解くと?

  • 2025.3.25
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出典:photoAC(画像はイメージです)

最近、「『ご馳走様』は本来、お金を出してくれた人に向ける言葉なので、お店に言うのは誤用では?」という趣旨の投稿が、SNS上で注目を集めています。実はこの話題、今回だけでなく、以前から度々取り沙汰されてきました。たとえば、ラーメン屋さんで女性が「ごちそうさま」と言ったら行儀が悪いと指摘された事例や、ランチの返却口でお礼を述べたところ、周囲の視線が気になってしまったケースなどが報告されています。はたして、ご馳走様をお店へ伝えることは本当にマナー違反なのでしょうか?

そもそもご馳走様にマナーって…

ここでは、「ご馳走様」の使い方に関するSNS上の声をご紹介します。

お金を払っても感謝は伝えたい

  • お金を払って食べてても、感謝の言葉は普通に伝えたいよね
  • それをマナー違反って思う人のほうが、考えがひねくれてると思う
  • 言わないほうがむしろ非常識じゃないの? 昭和っぽい考えなのかな

「ご馳走様」をお金の支払いとは切り離して単なる感謝の挨拶だと捉えている様子がうかがえます。支払っている以上こそ、素直にお礼を口にしたいという声も多い印象です。

そもそもマナーって何?

  • マナーは他人を不快にさせないことだし、『ごちそうさま』はむしろ場が和むでしょ
  • 誰が作ったルール? ずっと言ってるけど注意されたこと一度もないよ
  • 準備する労力が『馳走』なんだから、感謝を込めて『ごちそうさま』で当然でしょ

“周りを気分良くするのがマナーだ”という考えに立つと、むしろ挨拶しないほうが感じが悪いのでは?という視点です。お店に対する「ご馳走様」も自然にコミュニケーションを円滑にする手段だと捉えているようですね。

「馳走」の由来から紐解く「ご馳走様」

「馳走」とは、もともと客をもてなすためにあちこち走り回る様子を表す言葉とされており、そこに対する感謝の気持ちを表すのが「ご馳走様」です。

「馳走」の意味を辞書で確認すると、次のように説明されています。

( 用意のためにかけまわる意から ) 心をこめたもてなし。特に、食事のもてなしをすること。饗応すること。あるじもうけ。また、そのためのおいしい食物。ごちそう。(※出典:精選版 日本国語大辞典)

さらに、農林水産省も以下のように紹介しています。

「ごちそうさま」は、料理を作ってくれた人だけでなく、お米や野菜を作ってくれた人、魚を獲る人、食事が並ぶまでに関わったあらゆる人への感謝の気持ちが含まれています。四方を海に囲まれ、山々の緑豊かな地域性もあり、昔から自然に寄り添い、深く関わってきた日本人ならではの気持ちの込め方ですね。
(※出典:「いただきます」「ごちそうさま」に込められた本当の想い|おいしい和食のはなし。)

お金を出してくれた相手に向けるだけでなく、食事に関わるすべての人へ「ありがとう」を伝える意味合いがあるというわけです。つまり、「ご馳走様」は奢られたときだけに言うものではなく、広く“いただいた労力”に対する感謝の表現として成立しているのです。

「ご馳走様」は料理を支えてくれた人々へ思いを寄せる一言

「ご馳走様」をお店に言うのはマナー違反だという声もある一方で、実際のSNSの意見を眺めると、「支払う・支払わないにかかわらず、感謝の言葉は伝えたい」という考え方が多数派のようです。言葉の由来や農林水産省の見解から見ても、「ご馳走様」は料理を支えてくれた人々へ思いを寄せる一言として、十分に理にかなった表現だといえます。もし周囲の意見が気になるなら、一度「ご馳走様」の本当の意味を振り返ってみると、新たな気づきがあるかもしれません。