1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 「理解されない」つらさへの向き合い方を教えてくれる、中学生の青春物語

「理解されない」つらさへの向き合い方を教えてくれる、中学生の青春物語

  • 2026.11.3
cocreco写真:アフロ

周りの人が、自分のことを理解してくれない、と感じたことはありますか?

だれしも一度はその苦しさを味わい、時にはやりすごしたことがあるはず。そんな「理解されない」ことに向き合うためのヒントをくれる小説が、10代向けの「YA(ヤングアダルト)小説」にあります。

「ホラー映画」をテーマに、中学生女子たちのひたむきで、苦しくて、でもかけがえのない青春を描いた本作は、ある程度年を重ねた大人にこそ読んでほしい深みのある作品です。

この記事では、YA小説『放課後死体クラブ(仮題)』をご紹介。「理解されない」ことに向き合う中学生たちの、リアルな青春物語の魅力をお伝えします。

周りとの「ずれ」に悩む子どもたち

自分の趣味が否定されることを恐れて、周囲に話を合わせながらやりすごす主人公のひより。対して、もう一人の主人公である由木は、自身の趣味を隠さず、そのことが原因でいじめられてもおかまいなし。

自分を貫ける由木の「強さ」にひよりは憧れます。しかし、この物語はそんな「強い」由木を肯定するだけでは終わりません。

『放課後死体クラブ(仮題)』

作:ひなたきな

第66回(2025年度)講談社児童文学新人賞受賞作

〈あらすじ〉過去のトラウマから本音を隠して過ごすひよりは、周囲を気にせず堂々と振る舞うクラスメイトの由木(ゆき)に惹かれていく。二人は、共通の趣味であるホラー映画を通じて意気投合。ひよりの過去を知る由木から「死体」の演技指導を頼まれたことで、二人は「放課後死体クラブ」を結成。異なる傷を抱える二人が、支え合いながら唯一無二の絆を築いていく物語。

cocrecoひなたきな作『放課後死体クラブ(仮題)』

傷つくことができる強さ

「あたしは昔から、この世界は無人島だと思うようにしている」(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)

由木が作中で放った非常に印象的なセリフです。

由木の「強さ」は、心を閉ざし、自分の負の感情に鈍感になることで得られたものだということがわかります。その「強さ」は、歪みともとれるでしょう。

そんな由木が自分の気持ちと向き合い、周囲との関わりを考えていく成長の過程が、本作の魅力的なポイントです。

周りのことがわからないときこそ、自分と向き合う

私たちに人と違った部分があることは自然であり、分かり合えないことが起きることも多々あります。

そんなとき、「動じない自分」を目指すのは本当に正しいのでしょうか? むしろ、自分の感情や性質と向き合ったうえで、まわりとの関係を考えていくことが大切なのかもしれません。

この記事でご紹介した『放課後死体クラブ(仮題)』は、そういった人との関わりを考えるうえでの、杖のような存在になってくれる作品です。思春期の子どもたちが悩みながら成長していく姿は大人にも新たな発見と明日を生きるためのパワーをもたらしてくれるでしょう。

『放課後死体クラブ(仮題)』

cocrecoひなたきな作『放課後死体クラブ(仮題)』

第66回(2025年度)講談社児童文学新人賞を受賞した、中学校を舞台に、それぞれが抱えた傷と向き合いながら、唯一無二の友情を築いていく物語『放課後死体クラブ(仮題)』は、全国の書店やネット書店にて発売中です。

自分の本音を押し込めて過ごすひよりと、周りを気にせず堂々と振る舞う由木は、「ホラー映画」という共通の趣味から、意気投合。そして「放課後死体クラブ」というホラー映画の死体役を目指すクラブを結成します。それまで関わりのなかった二人がクラブ活動を通じて、互いにかけがえのない友情を築いていきます。正反対だった二人が向かうその先にあるものは──。

10代向けの児童書ながら、大人にも読みごたえたっぷりの一冊。中学生だったあのころの自分を思い出しながら、読んでみてください。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ