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あさのあつこが語る『NO.6再会#4』紫苑とネズミの新たな境地 どこまでが愛で、どこからが依存なのか

  • 2026.11.3

待望の最新刊『NO.6[ナンバーシックス]再会#4』の発売を記念し、著者・あさのあつこさんにインタビュー!

今作で明かされた紫苑とネズミの真意や物語の終盤に向けた想い、さらには10月2日より開幕する「NO.6の世界展」の裏話まで、あさのさんが語る『NO.6』の「いま」をお届けします。

▼▼以下のインタビューは『NO.6[ナンバーシックス]再会#4』のネタバレを含みます。ネタバレを避けたい方は、『NO.6[ナンバーシックス]再会#4』をお読みになってからご覧ください。▼▼

「あんたの側にいる」──『#4』で描かれた紫苑とネズミの「本音」と「愛」

──『NO.6[ナンバーシックス]再会#4』では、紫苑とネズミの台詞が印象に残りました。ひとつは紫苑の「NO.6を愛してなどいない」と言うシーンです。

あさの 「NO.6」シリーズから「NO.6再会」シリーズまで、紫苑という人と付き合ってきて、ずっと彼がもがき苦しんでいるのを感じていました。この台詞で出たことで、紫苑が漠然と悩んでいたことがはっきりしましたよね。

紫苑は自分が守らなければいけない場所を、きちんと愛せていなかった。あれほどストレートに言うとは思っていなかったけれど、ネズミとふたりだったことで、引きずりだされた本音だったのかなと思います。

──一方のネズミは、紫苑に対して「おれがいる。何があっても、あんたの側にいる」と伝えました。ネズミはどんな想いだったのでしょう。

あさの 紫苑が壊れちゃうと思ったのではないでしょうか。「NO.6を愛してなどいない」と言った紫苑が、じゃあどうやって生き延びられるのだろうと考えたとき、当然のように、ネズミのあの台詞が必要だったと感じます。

きっとネズミは、この言葉を紫苑に伝えるためにNO.6に戻ってきたのでしょうね。だったらもっと早く言ってよ、と思いますけれど(笑)。

紫苑は、能力的にも性格的にも、独裁者になる傾向があると思います。前シリーズの市長のようにね。じゃあ人を支配することや絶大な権力を持つことよりも、紫苑にとって大切なことは何なのかと考えたら、それはきっとネズミが自分の側にいることなんだろうと思います。

──今作では紫苑がネズミと一緒に暮らすと告げ、ネズミを困惑させるシーンもありました。紫苑とネズミ、ふたりきりの夜にはどんな時間が流れていたのでしょうか。

あさの どうなんでしょう。そこは読者の皆さんの想像にお任せしようと思います。でもほら、ネズミが紫苑に「寝息があまりに規則正しいものだから、聞き惚れていた」って言っていたので、ネズミは紫苑の寝顔を眺めている時間があったのかもしれませんね。

紫苑とネズミを、すごく愛し合っているとか、体を重ねたいとか、信頼しているとか、心を許しているとか、そういう言葉で表現できない関係として書きたいと思っています。

恋人も夫婦も親子も、本当は1つの言葉で括れない存在なんです。子どもだから母親を慕わなくちゃいけないとか、母親だから子どもをちゃんと認めなきゃいけないとか、括りにとらわれると自由に考えられなくなるでしょ。紫苑もネズミも火藍も、自分の心に従って生きてほしいと思って、書いています。

ただ紫苑とネズミに対して私の個人的な心配事としては、ふたりがこんなにお互いを大切にしすぎると、どこまでが愛で、どこからが依存なのか、考えてしまう部分もあるなと。それぞれが自分の足で立って一緒に生きていけるのか、答えがわかるのはこれからです。

「NO.6の世界展」には「あるモノ」を置いてほしいとリクエストしました

──前作で登場したシャラメが、今作ではイヌカシと対等に口論していて、とってもかわいらしくて魅力的なシーンでした。

あさの シャラメを登場させたとき、じつは頭の片隅に沙布(さふ)のことが浮かんでいました。でも書きすすめるうちに、沙布よりもたくましくて、現実をちゃんと生きられる子だと感じました。

シャラメは大きくなっても、好きな人のために死んだりすることはないんじゃないかしら。イヌカシと意外と息があって、「ボス」なんて呼んで主従関係を結んだところは微笑ましかったですね。

──NO.6を取り巻く他の都市との戦いが少しずつ明らかになってきました。ここから終盤に向けて、あさの先生が描き切りたいと考えていることを教えてください。

あさの 「NO.6」を脅かす「NO.4」、そして紫苑の父である来懼(らいく)が登場しましたけれど、彼らを紫苑とネズミの対照的な「悪役」としては書きたくないんです。悪とみなされる側にもいろんな想いや、背負っているものがありますから。正義と悪ではっきり線引きするような、単純な物語にはしたくないと思っています。

何巻まで続くでしょうね……。6で終わったら綺麗だなと思いますけれど、あと2巻で終わるってことは、さすがにないと思います(笑)。

──「NO.6」の執筆に影響がありそうな、気になるニュースはありますか。

あさの 戦争のニュースからは、やはり目を逸らすことはできません。特にガザ地区の問題。イスラエル軍は過去にユダヤの民として親や祖父母がされてきた惨忍な攻撃を、ガザの人にしているんです。どうしてこんなにも酷い歴史が繰り返されるのでしょうか。

「NO.6」は国家と個人を書きたいという想いから始まっている物語なので、やはりそういうニュースを見ると、考え込んでしまいます。解決策が出るわけではないけれど、考えることから逃げると、書けなくなってしまうので。これからも、目を背けずにいたいと思います。

──2026年10月2日から「NO.6の世界展」が銀座でおこなわれますが、どのような想いですか。

あさの 私の文章を具現化してくださるのは、いままで体験したことのないことなので、とても楽しみにしています! 紫苑やネズミの部屋、火藍のパン屋さんも見ることができるみたいです。

スタッフさんからいただいた資料を拝見して、ネズミの部屋にはマグカップやシャツを置いてくださいとか、いくつかリクエストさせてもらいました。ぜひ会場で探してもらえたらと思います。

作品の世界を再現! 「NO.6の世界展」が銀座で開催

2026年10月2日(金)から10月26日(月)までのあいだ、松屋銀座 並木通り館のギンザミライミュージアムで「NO.6の世界展─紫苑とネズミの軌跡をたどる旅─」を開催します。会場では作品の世界を再現した空間演出や、展覧会限定のオリジナルグッズを販売予定。詳細は公式サイトをチェック!

少年たちの絆が胸を打つ、いま読みたいディストピア小説

描きおろしのキャラクター帯が好評! 「NO.6」シリーズを振り返りたいあなたへ

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撮影/安田光優(講談社写真映像部)

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