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娘に「今年も頼む」と送らなかった俺が、孫とのチャットで選んだ妻への贈り物

  • 2026.10.29
ハウコレ

中学生の孫とのやりとりは、いつの間にか100件近くに。宛先を間違えた俺のスマホに、やがて娘から届いたのは、思っていたのとは違う返事でした。

単身赴任先の部屋の壁に、妻の誕生日に丸をつけたカレンダーを貼ったのは、今年が初めて。丸の横には、店の名前と色の候補を小さく書き込みました。それを見るたび、娘とのトーク画面を開いては閉じていました。

娘に任せきりだった贈り物

妻の誕生日の贈り物は、娘が高校生のころからずっと任せきりでした。毎年この時期に「今年も頼む」と送り、娘が決めたものの代金を払う。それで務めを果たした気でいたのです。

単身赴任で1人暮らしを始めて、2年。電話で妻が「最近、首元が寒くてね」とこぼしたとき、妻の好きな色さえ知らない自分に気づきました。

今年は自分で選ぼう。ただ、娘に相談すれば、きっと代わりに選ぶと言ってくれるだろう。そうなれば、俺はまた甘えてしまいます。

だから相談相手には、部活帰りによく妻の顔を見に寄ってくれる、娘の息子で中学1年の孫を選びました。

孫が教えてくれたこと

最初に送ったのは「母さんの誕生日、何がいい?」の1行です。家では妻を「母さん」と呼んでいます。

孫からはすぐに「ばあばって何色が好き?」「予算いくら?」と返ってきました。どちらにも答えられず、妻がふだん何を着ているのか思い出そうとしても、浮かんでくるのはエプロン姿ばかり。

孫は部活帰りに妻と商店街を歩き、妻が店先で紺のストールに2度触れていたと知らせてくれました。写真の送り方も、お辞儀をするクマのスタンプも、孫に教わったものです。

途中で、孫から「ママにも聞けば?」と届いたこともありました。ママとは、俺の娘のことです。俺は「今年はじいじが選ぶ。ママには内緒な」と返しました。

紺にするか、黒にするか。その2色の間を行き来するうちに、やりとりは100件近くになっていました。

宛先を間違えた1通

孫に最後の意見を聞くつもりで、トーク画面を開きました。送ってから見直すと、そこにあったのは娘の名前です。

「ストール、紺と黒どっちがいいと思う?」

慌てて「すまん、間違えた。今のは忘れてくれ」と送りました。

すぐに娘から「何の話?」と届きました。事情を説明しようと、長い文を打っては消しました。「今年も頼む」を送らなかった理由を、どう書けばいいのか分からない。既読だけをつけたまま、時間が過ぎていきました。

しばらくして、孫から「ママにばれた。100件くらいって言っちゃった。ごめん」と届きました。

そして...

次に届いたのは、娘からの1行でした。

「紺がいいと思うよ」

俺は「ありがとう。母さんには内緒な」と返し、孫に教わったクマのスタンプを添えました。練習以外で押したのは、それが初めてでした。

紺のストールは、妻の誕生日に届くよう手配しました。

娘には、高校生のころからの「今年も頼む」への礼を、まだ伝えていませんでした。トーク画面の一番下では、あのクマが礼の代わりに、娘へお辞儀をしたままです。

(50代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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