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チャットで彼女を「相棒」と呼び続けた俺→「ちょっと寂しいな」と言われて、初めて書いた両親の話

  • 2026.11.6
ハウコレ

「俺にとって相棒って、」。そう書きはじめたメッセージは、気づけば画面に収まらない長さになっていました。読んだ彼女が泣いていたと知ったのは、そのあとのことです。
送ったメッセージに既読がついて、俺はスマホを握ったまま返事を待っていました。同じ会社の別部署で働く、付き合って半年の彼女から、寂しいと言われたばかりです。言われるまで、自分の呼び方がそう見えているとは思ってもいませんでした。

父が母を呼ぶ言葉

俺の実家は、商店街の小さな定食屋です。厨房に立つのは父で、配膳と会計は母。物心ついたときから、2人はずっと並んで店を回していました。
父は母を、名前で呼びませんでした。
「相棒、ご飯あと何杯いける?」
忙しい時間帯、背中合わせで動きながら、父はいつもそう声をかけていました。母はそのたびに笑って「はいはい」と返していました。店が苦しかった時期も、2人が言い争う姿を見た記憶はありません。
子どもの俺には、それが一番かっこいい夫婦の形に見えていました。

同じ言葉を選んだ理由

彼女と付き合いはじめてしばらくして、締め切り前の資料を手伝ってもらいました。終わったあと、俺は自然とこう返していました。
「相棒のおかげで間に合った」
自分の中では、最上級のほめ言葉のつもりでした。一緒にいて頼れて、並んで歩ける人。父が母を呼ぶのと同じ言葉を、ようやく使える相手に出会えた気がしていたのです。
先日、取引先との会食のお店探しを手伝ってもらった日も、候補を3つ送ってくれた彼女に「さすが相棒、助かった」と送りました。送るたびに、少し誇らしい気持ちになっていたほどです。彼女がどう受け取っているかなど、考えたこともありませんでした。

届いた本音

ある夜、いつものように「相棒、今日もお疲れ」と送ると、少しして返事が届きました。
「ねえ、相棒って、なんだか友だちみたいでちょっと寂しいな」
読んで、しばらく画面から目を離せませんでした。考えてみれば、彼女は俺の両親のことを知りません。言葉だけを見れば、恋人に向ける呼び方には見えないはずです。
短く謝って済ませたら、また同じすれ違いが起きる気がしました。
「寂しい思いさせてたなら、ごめん。でも、ちゃんと聞いてほしい」
彼女から「うん」と届いたのを見て、長いメッセージを打ちはじめました。

そして...

「俺にとって相棒って、」から始めて、定食屋のこと、父と母のこと、2人の姿にずっと憧れてきたことを書きました。最後にこう添えて、送信しました。
「だから相棒は、俺が一番好きな人にしか使わない言葉です。来月、店に一緒に来てほしい。父と母に、俺の相棒だって紹介したい」
しばらくして、彼女から返事が届きました。
「読みながら泣いちゃった。行く。でも、たまには名前でも呼んでね」
次のメッセージで、俺は初めて彼女の名前を打ちました。
毎晩送っていた「相棒、今日もお疲れ」は、店を閉めたあとの父が、必ず母にかけていた言葉でした。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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