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寒くなると「足がつる」のはなぜ?冬にこむら返りが増える原因と対策

  • 2026.10.23

夜中にふくらはぎが突然ぎゅっと固まり、痛みで目が覚めて布団の中で身をよじる。寒い季節になると、そんな夜が増えたと感じる方もいるでしょう。

なぜ気温が低くなると足がつりやすくなるのでしょうか。予防のコツとは。林外科・内科クリニック理事長・林 裕章先生監修のもとお届けします。

足がつる(こむら返り)とは? 起こる仕組み

足がつる状態は「こむら返り」とも呼ばれ、ふくらはぎの筋肉が意思とは関係なく強く縮んで固まる現象です。

強い痛みを伴いますが、多くは数秒から数分でおさまります。この記事で中心に扱うのは、寝ている間や安静にしているときに起こるタイプです。

仕組みとしては、筋肉に指令を送る運動神経が過剰に興奮し、細かな信号が連続して出てしまうことが関わるとされています。

筋肉の伸び縮みを感じ取る「筋紡錘」と「腱紡錘」のバランスの乱れが原因と説明されることもあります。筋紡錘は筋肉が伸びすぎないよう縮める指令を、腱紡錘は縮みすぎないよう緩める指令を出す、いわばアクセルとブレーキのような存在です。

ただ、はっきりした原因がわからないケースも多いのが実情です。

足がつりやすい人の特徴とは。どんな人が「よく足をつる」のか。病気の危険サインは?

こむら返りは年齢とともに増え、60歳以上では約3人に1人が、過去2か月のあいだに安静時のこむら返りを経験したという報告もあります。高齢の外来患者では約半数にのぼるという報告もあり、決して珍しい症状ではありません。

冬に足がつりやすくなる原因とは

寒い時期に足がつりやすいと感じる方は多く、冬の生活習慣が関わっている可能性があります。ただし、季節による違いを調べた研究では夏に多いという報告もあり、冬だけの悩みではないようです。

冷えによる血行不良と筋肉の緊張

体が冷えると筋肉の感度が鈍くなり、こむら返りの引き金になるとされています。とくに体の中心から遠い足先の冷えが、背景のひとつに挙げられています。

寒さで体がこわばり、血管が縮んで足先まで血液が届きにくくなる点も、要因として疑われています。

水分摂取量の減少とミネラルバランスの乱れ

冬は暑い時期ほど汗をかく実感がなく、のどの渇きも感じにくいため、水分を飲む量が減りやすくなります。慢性的な水分不足は、こむら返りのリスク因子のひとつに挙げられています。

暖房の効いた乾燥した部屋では、汗をかいていなくても、皮膚や吐く息から水分が失われています。その量は、大人で1日にコップ4〜5杯分ほどになります。

脱水やミネラルの乱れは原因の候補とされますが、はっきりした因果関係は確立していません。実際、足がつったときに効くイメージのあるマグネシウムも、高齢者の夜間のこむら返りについては、サプリメントで補っても回数や痛みはほとんど変わらないという研究結果がまとめられています。

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運動量の低下による筋力の衰え

寒さで外出や運動の機会が減ると、ふくらはぎの筋肉を使う場面が減り、筋力が落ちやすくなります。運動不足による筋力の低下は、高齢者のこむら返りの背景として挙げられることがあります。

一方で、運動のしすぎによる筋肉の疲れもリスクのひとつです。動かなさすぎも使いすぎも避けて、日常的に足を動かす習慣を保ちたいところです。

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次:冬は夜中や明け方に足がつりやすい? 就寝中に起こりやすい理由

冬は夜中や明け方に足がつりやすい? 就寝中に起こりやすい理由

足がつるのは、日中よりも寝ている間に起こりやすいとされています。夜間のこむら返りは眠りの質を下げ、日中の眠気につながることもあります。

睡眠中は、筋肉の動きを調整する腱紡錘が働きにくくなるため、こむら返りが起こりやすいと説明されています。同じ姿勢で長く動かない状態が続くと、ふくらはぎの筋肉が縮んだままになり、神経が興奮しやすくなるとも。

寝ている間の足の位置や姿勢も、起こりやすさに関わる可能性があるでしょう。

なぜ?布団の中で伸びをすると足がつる!その原因と、つりやすい人の特徴

冬の夜は室温が下がり、布団から出た足先も冷えやすくなります。とくに室温が下がりやすい明け方は、足元が冷えやすい時間帯です。

また、眠っている間は水分をとれないため、日中の水分が足りない日は、なおさら注意したいところです。

足がつったときの対処法。すぐにできる応急処置は「ストレッチ」

足がつると痛みで焦りがちですが、まずはゆっくり息を吐いて落ち着きましょう。そのうえで、つった筋肉をやさしく伸ばすのが基本です。

1.あわてて立ち上がらず、座るか横になったまま、膝を伸ばす

2.つま先を自分のほうへゆっくり引き寄せて、ふくらはぎを伸ばす。手が届かないときは、タオルを足の裏にかけて引く

3.痛みがおさまったら、ふくらはぎをやさしくさすって温める

壁に手をついて、つったほうの脚を後ろに引き、かかとを床につけたまま伸ばす方法もあります。反動をつけず、痛みの出ない範囲でゆっくり行ってください。

夜中にあわてて立ち上がると、痛みと寝起きのふらつきが重なって転び、けがをするおそれがあります。とくに高齢の方は、座ったまま伸ばすのが安全です。

痛みがおさまったあとに少し歩くと楽になることもありますが、痛みが残るときは無理をしないようにしましょう。

漢方薬も選択肢のひとつ

こむら返りによく使われる漢方薬に「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」があります。飲んで比較的早く効くことが多く、市販もされている身近な薬です。

ただし、含まれる「甘草」をとりすぎると、体のカリウムが減って、むくみや血圧の上昇、手足に力が入りにくいといった副作用が出ることがあります。

皮肉なことに、この副作用の初期症状のひとつが、こむら返りそのものです。

毎晩のように飲み続けたり、甘草を含むほかの漢方薬やかぜ薬と重ねて飲んだりするのは避け、続けて使いたいときは医師や薬剤師に相談しましょう。

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次:冬のこむら返り、どう防ぐ? おすすめの対策

冬のこむら返り、どう防ぐ? おすすめの対策

対策の基本は、足を冷やさないこと、水分をこまめにとること、ふくらはぎをほぐしておくことです。できそうなものを取り入れてみましょう。

足元の冷え対策(保温・入浴)

就寝前は靴下やレッグウォーマーで足元を保温し、体を冷やさないようにしましょう。ふくらはぎまで覆えるタイプなら、冷えやすい部分をしっかり守れます。

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電気毛布や湯たんぽ、あんかを使うときは「低温やけど」に注意が必要です。

44℃前後の、それほど熱く感じない温度でも、同じ場所に長時間当たり続けると、皮膚の奥までやけどを負うことがあります。見た目は軽そうでも治りにくく、手術が必要になることもあります。

入浴で温めるときは、湯温は41℃以下、湯船に浸かるのは10分までを目安にします。冬の入浴事故を防ぐため、脱衣所や浴室もあらかじめ暖めておきましょう。

湯上がりは足元が冷えないよう、早めに靴下をはくのもおすすめです。

水分とミネラルをこまめに補給する

日中のうちにこまめに水分をとり、夕方以降のカフェインやアルコールは控えめにしましょう。どちらも尿の量を増やすため、寝ている間の水分不足につながります。

一度にたくさん飲むより、食事の合間や休憩時間に少しずつとるほうが続けやすくなります。

ミネラルは、サプリメントよりもまず、大豆製品や海藻類、野菜や果物などの食事から取り入れるのがおすすめです。持病のある方や薬を飲んでいる方は、始める前に医師や薬剤師に相談してください。

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ふくらはぎのストレッチ・運動習慣

寝る前などに、痛みを感じない範囲で、壁に手をついて片脚を後ろに引き、かかとを床につけたまま、ゆっくり20秒ほど伸ばしてみましょう。

寝る前のストレッチを続けた高齢者では、夜のこむら返りの回数や痛みが減ったという研究もあります。

日中は、ウォーキングやかかとの上げ下げなど、ふくらはぎを動かす習慣もつけたいところです。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、成人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。

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次:足がつりやすい人の特徴。気をつけたいのはどんな人?

足がつりやすい人の特徴。気をつけたいのはどんな人?

こむら返りは誰にでも起こりますが、次のような方は特に起こりやすいとされています。

  • 60歳以上の方。年齢とともに筋肉量が減り、腱も硬くなりやすいためと考えられています。女性に多いという報告もあります)
  • 妊娠中の方。とくに妊娠中期から後期(体重の増加や足の血流の変化が背景に挙げられます)
  • 立ち仕事が多い方や、運動で足をよく使う方
  • 飲酒量が多い方
  • 糖尿病などの持病がある方や、人工透析を受けている方
  • 利尿薬、降圧薬、コレステロールを下げる薬などを使っている方(とくに利尿薬との関連が指摘されています)

こうした特徴に当てはまらなくても、冷えや疲れ、水分不足が重なると、誰にでも起こりえます。薬が関係している可能性があっても、自己判断で服用をやめるのは危険です。

気になるときは、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

頻繁に足がつるのは病気のサイン? 受診の目安

足がつる回数が増えても、多くはその場限りで、すぐに病気と決めつける必要はありません。ただ、頻繁にくり返す場合は、背景に別の原因が隠れていることもあります。

こむら返りの背景として、糖尿病、閉塞性動脈硬化症、腰椎の病気、甲状腺の病気、腎臓や肝臓の病気などが挙げられています。

たとえば閉塞性動脈硬化症は足の血管が狭くなる病気で、歩くと足が痛む症状が特徴です。糖尿病では神経に障害が生じることがあり、こむら返りやしびれにつながる場合も。

次のような場合は、様子を見すぎず、整形外科や内科に相談しましょう。

  • 頻繁にくり返し、眠りに支障が出ている
  • 様子を見ても、なかなか良くならない
  • 歩くと足が痛くなり、休むと楽になる
  • 足のしびれや、感覚の鈍さがある
  • 足がむずむずして、動かしたくなる(「むずむず脚症候群」という別の病気のことがあります)
  • 新しく薬を飲み始めてから、足がつる回数が増えた

こむら返りと似ている「深部静脈血栓症」に要注意!

こむら返りと間違えやすく、見逃すと危険な病気があります。足の静脈に血の塊ができる「深部静脈血栓症」です。

ふくらはぎの痛みが何時間も続く、片方の足だけがむくんで太くなる、赤みや熱っぽさがあるといった場合は、この病気が疑われます。

血の塊が肺に流れて詰まると、命にかかわる「肺塞栓症」を起こすことがあります。いわゆるエコノミークラス症候群です。

長時間の移動や手術のあと、寝込んで動けなかったあとなどに起こりやすいため、こうした症状があれば早めに受診し、急な息苦しさや胸の痛みを伴うときは、すぐに救急車を呼んでください。

糖尿病や腎臓・肝臓の病気で通院中の方は、足がつる回数が増えたことを、かかりつけ医に伝えておくと安心です。

夜中に足がつる原因と対処法。病気の前兆って本当?[医師監修]

監修者プロフィール

林外科・内科クリニック理事長 林 裕章(はやし・ひろあき)

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定スポーツ医

公式サイト https://www.hayashi-cl.jp/

<Text:外薗 拓/Edit:編集部>

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