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「嗚咽」はオエッじゃない?知っているようで間違えやすい言葉を文化庁の調査をもとに解説

  • 2026.10.9

普段何気なく使っている言葉の意味を正しく理解していますか?実は本来は違う意味で覚えていた例が多かったということが最新の文化庁調査で明らかになっているそうです。

「嗚咽した」で、あなたは何を想像しましたか?

「映画を観て嗚咽した」。
この一文で、声を詰まらせて泣く姿を思い浮かべましたか?それとも、吐き気を催す姿を思い浮かべましたか?

「嗚咽」の本来は「泣くこと」

「嗚咽(おえつ)」は、デジタル大辞泉(小学館)では「声をつまらせて泣くこと。むせび泣き」と説明されています。吐き気を催すことではありません。
漢字を分解すると、意味が見えてきます。「嗚」は「ああ」と嘆く意味を持つ字で、「嗚呼(ああ)」にも使われています。「咽」には「むせぶ」という訓読みがあります。つまり「嗚咽」は、嘆きながら喉を詰まらせる、という組み合わせです。言葉は、意味より先に音で頭に入ってくることがあります。その意味で、「嗚咽」は音のイメージに引っ張られやすい言葉なのかもしれません。
ここからは、文化庁の調査で実際に数字が出ている言葉を見ていきます。

「ひもとく」「流れに棹(さお)さす」「噴飯もの」の意味を知っている?

この調査は、文化庁が平成7年度から毎年行っているものです。令和7年度は2026年1月13日から3月3日に、全国の16歳以上の日本国籍を持つ人6,000人を対象に郵送で実施され、3,777人(63.0%)が回答しました。
※調査方法が令和2年度から郵送に変わったため、令和元年度以前の結果は、文化庁も参考値として扱っています。この記事でも、過去の数字との比較は、あくまで参考として読んでください。

今回の調査で「本来の意味と違う方が多数」だった3語

文化庁は、今回尋ねた5つの語句のうち「ひもとく」「流れに棹(さお)さす」「噴飯もの」の3つで、辞書等で本来の意味とされてきたものとは異なる方が多く選ばれたと発表しています。
(1)噴飯もの(ふんぱんもの)
・本来の意味(辞書等):おかしくてたまらないこと→34.1%
・本来とは異なる意味:腹立たしくて仕方ないこと→55.1%
全ての年齢層で、「腹立たしい」を選んだ人が「おかしい」を10ポイント以上上回っています。平成24年度は、「腹立たしい」49.0%に対し、「おかしい」は19.7%でした。
個人的に面白いと思うのは、今回「おかしい」が増えている点です。ただし、調査方法が違うため、「本来の意味が盛り返している」とまでは言い切れません。この数字は参考にとどめたほうがいいと思います。
(2)ひもとく
・本来の意味(辞書等):関係する書物を読む→13.1%
・本来とは異なる意味:真相を明らかにする→69.9%
・両方:15.0%
今回いちばん差が大きかったのが、この言葉です。全ての年齢層で、「真相を明らかにする」が「書物を読む」を20ポイント以上上回りました。50代以下では、その差が60ポイント以上に開いています。
「古代史をひもとく」という文を見ると、確かに「謎を解き明かす」と読みたくなります。「紐解く」という字面が、そう思わせるのだと思います。個人的に、この言葉が近い将来、辞書の記述に追いつく筆頭だと考えています。
(3)流れに棹さす(ながれにさおさす)
・本来の意味(辞書等):傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為をする→22.7%
・本来とは異なる意味:傾向に逆らって、ある事柄の勢いを失わせるような行為をする→68.9%
全ての年齢層で、「逆らう」を選んだ人が「乗る」を30ポイント以上上回りました。平成24年度、18年度、14年度でも「逆らう」が6割前後で、この傾向は昔から続いています。
気になるのは、この言葉が、本来とは逆の意味で定着している点です。ここまでくると、使うなら注釈が要る言葉だと思います。

意見が真っ二つに割れた2語

残りの2語は、本来の意味と、そうでない意味が拮抗しています。
(4)気が置けない
・本来の意味(辞書等):相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい→47.4%
・本来とは異なる意味:相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない→44.3%
差はわずか3ポイントです。年齢別に見ると、40代以上では本来の意味を選んだ人が上回り、30代以下では逆の意味を選んだ人が上回っています。
平成14年度は、本来の意味が44.6%、逆の意味が40.1%でした。つまり、20年以上たっても、だいたい半々の状態が続いていることになります。
この言葉は、すでにどちらにも取れる言葉になっていると思います。
(5)佳境に入る
・物語などが特に興味深い場面になる(辞書等の本来の意味)→34.3%
・仕事などが最盛期や大詰めを迎える→37.8%
・両方:26.2%
文化庁も「拮抗している」としています。40代以下では、「最盛期や大詰め」を選んだ人が上回っています。

話し言葉でも進む「ら抜き」

文法面でも、今回の調査は興味深い結果を出しています。文化庁は、「食べれない」「来れます」「考えれない」「見れた」「出れる」は、共通語では改まった場で用いるのは適当ではないとされてきたと説明したうえで、使用状況を調べています。
・「見れた」「来れます」「出れる」を使う人は5割台
・「食べれない」は3割台半ば
・「初日の出が見れた」を選んだ人は、50代以下で半数を超え、16〜19歳では81.3%
・「早く出れる?」は、16〜19歳で77.7%
年代が下がるほど「ら抜き」が増えるのは、言葉が変わっていく自然な流れだと思います。一方で、「考えれない」は、全ての年代で「考えられない」が8割を超えています。同じ「ら抜き」でも、定着の度合いには言葉ごとに差があるのは不思議ですね。

多数派の誤用は昔からあった

言葉の使い方に誤用が多いのは今に始まったことではありません。文化庁の過去の調査では、次のような結果が出ています。
・破天荒(平成20年度):本来の意味を選んだ人は2割に届かず、「豪快で大胆な様子」が6割台半ば
・憮然(平成15年度):本来の「失望してぼんやりしている様子」は16.1%、「腹を立てている様子」は69.4%
・姑息(平成15年度):本来の「一時しのぎ」は12.5%、「ひきょう」は69.8%
・檄を飛ばす(平成15年度):本来の意味は14.6%、「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」は74.1%
つまり、「ひもとく」「流れに棹さす」のような言葉は、昔からあった「本来の意味が忘れられた言葉」の、新しい世代といえますね。

本来の意味との付き合い方

あくまで個人的な感じ方ですが言葉が持つ本来の意味を大切にしたいという気持ちも、時代に合わせて変わっていけばいいという気持ちも、どちらも自然なものだと思います。
ただ、今回の調査を見ていると、「ひもとく」を「書物を読む」という意味で選んだ人より「真相を明らかにする」を選んだ人が多くいました。もし本来の意味で使うなら、前後の文で意味を補っておくと、読み手に伝わりやすいのかもしれません。
反対に、「気が置けない」のように意見が割れている言葉は、場面によっては別の言い方を選ぶのも一つの方法だと思います。

言葉は、受け継いでいくものでもあり、相手に伝えるものでもあるのだと思います。本来の意味と今の意味、両方を知っておくと、会話も楽しくなるかもしれませんね。
あなたはどちらの意味で覚えていましたか?

引用・参考元
・デジタル大辞泉(小学館)「おえつ」(Weblio掲載):
https://www.weblio.jp/content/%E3%81%8A%E3%81%88%E3%81%A4
・文化庁「令和7年度『国語に関する世論調査』の結果について」(2026年10月2日公表): https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94441001.html
・文化庁「令和7年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」(PDF): https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94441001_01.pdf
・文化庁「平成20年度『国語に関する世論調査』の結果について」: https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/h20/
・文化庁「平成15年度『国語に関する世論調査』の結果について」: https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/h15/
・中央調査報「浸透する若者言葉、誤解目立つ慣用句」(平成15年度調査の紹介):
https://www.crs.or.jp/backno/old/No563/5631.htm

※本記事のテキストの一部にAI(人工知能)を使用しています

[執筆者]


のきわだのき
シナリオライター

ライター歴10年。子育てや家族にまつわる身近な出来事をテーマに、読者の気持ちに寄り添う記事や漫画シナリオを執筆しています。
現在は、ママ広場編集部の専属ライターとして、育児・家族・夫婦関係など、ママたちが日々感じる悩みや疑問を題材にした記事の執筆を担当。また、ママ広場オリジナル漫画のシナリオライターとして、ストーリーづくりにも携わっています。自身も一児の母として子育てを経験していることから、机上の情報だけではなく、実際の子育てで感じる迷いや葛藤、家族との関係など、リアルな視点を大切にしています。

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