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モノにテトラって何のこと?化粧品の成分名と「数」との意外な関係について解説します!

  • 2026.4.16

化粧品の成分名や化学物質の名前を見ると、カタカナばかりで「なんだか難しそう」と感じることはありませんか?
でも、その言葉をよく見てみると、実は『数』を表すパーツが入っていることがあります。
呪文みたいな化学物質名がちょっと身近になる(かもしれない)豆知識。
現役化粧品メーカー研究員で特級コスメコンシェルジュでもある船木彩夏さんの解説です。

呪文のような物質名・・・でもルールもある!

『ジペンタエリスリチルヘキサヒドロキシステアレート、ヘキサステアレート、ヘキサロジネート!』
ステッキを振りながら唱えれば、変身ぐらいはできてしまいそうなコレ、もちろん魔法の呪文ではなく、とある物質の名前です
※呪文っぽくするために、ここではスラッシュを読点に置き換えています。
また、化粧品では「ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル」という成分名で表示されています。
化粧品の箱や容器の裏面に書かれている成分名って、こんな言葉が多くて、よくわかりませんよね。
でも、これらの言葉にはギリシャ語やラテン語由来の「数」の接頭辞が使われていて、ルールを知ると、少しわかることもあります。
化学成分だけでなく、身近なものにも使われているので、ご紹介します。

※英語や外来語では、同じ数字でもギリシャ語系・ラテン語系など複数の形が使われています。
ここでは、身近な言葉に出やすい、代表的な形を紹介します。

1:モノ/ユニ(mono/uni)
単一色の濃淡や明暗で表す「モノクロ」や、1本のレールで走る「モノレール」などがあります。
「ユニコーン」は1本の角” をもつ想像上の動物です。

2:ジ/バイ/デュ(di/bi/duo・du)
「ジレンマ」は2つの選択肢で悩むこと、「バイリンガル」は 2言語を話せることです。
「デュエット(二重唱や二重奏)」や「デュアル(二重の、二つの)」などもよく使用されています。

3:トリ(tri)
「トリプル」「トライアングル」「トライアスロン」などがあります。
また、3本の角を持った恐竜は、「トリケラトプス」と名付けられています。

4:テトラ/クォート系(tetra/quart)
「テトラロジー」は4部作の物語や作品のことです。
音楽の「カルテット」も4重奏や4人編成に使われる言葉です。

5:ペンタ/クイント系(penta/quint)
5角形の意味となる「ペンタゴン」。
米国国防総省の本庁舎の形が5角形であることから、こちらもペンタゴンと呼ばれています。
占いや歴史などに興味のある方は「ペンタグラム(五芒星)」もご存じかもしれません。
また、TⅤ番組のタイトルになったこともある、音楽の「クインテット(5人編成5重奏)」も、「5」の仲間です。

6:ヘキサ/セクスト系(hexa/sext)
6角形の屋根を作る「ヘキサタープ」という日よけは、アウトドアが好きな方にとってはポピュラーかもしれませんね。
音楽の「セクステット」は6人編成・6重奏を指しています。

7:ヘプタ/セプト系(hepta/sept)
「ヘプタスロン」は7種競技を指します。
音楽の「セプテット」は7人編成・7重奏のことです。

8:オクタ/オクト(octa/octo)
「オクトパス(タコ)」は8本の腕をもつことから名づけられています。
「オクターブ」は8度音程(ドレミファソラシド)を表しています。

9:ノナ/ノベム/エンネア(nona/novem/ennea)
「ノネット」は9重奏や9人編成を指す音楽用語です。
「エニアグラム」は9つの図という意味ですが、9種類に分類した性格タイプの診断に使用されることもあります。

10:デカ/デセム(deca/decem)
外国文学がお好きな方には、イタリアのボッカチオ作の短編集「デカメロン(10日間の物語)」が思い浮かぶかもしれません。
「デカローグ」は旧約聖書に登場する十戒を意味します。

意外と、よく使っている言葉や聞いたことのある言葉も多かったのではないでしょうか?

英語の月名もいくつかは・・・ただ、数はずれている?!

8のオクトですが、英語のOctoberも数字の8が語源になっています。
Octoberはocto(8)、Novemberはnovem(9)、Decemberはdecem(10)に由来します。
今の暦ではOctoberは10月、Novemberは11月、Decemberは12月なので、ずれており、少し不思議に感じますよね。
その理由は、古いローマ暦にあります。

初期ローマ暦は3月はじまりだったので、10月は8番目の月になるから、と考えられています。
ちなみに、暦では、2月が短いのって不思議に思いませんか?
これも、3月はじまりだったローマ暦の名残と考えられています。
2月(最後の月)に帳尻合わせで日数をいれたので、28~29日となっているのです。
ちょっと面白いですよね!

化粧品の成分名にも『数』はよく出てくる

話を成分名に戻しますね。
化粧品や美容の話で見かける「ペプチド」という言葉は、2個以上のアミノ酸が結合したものです。
たとえば ジペプチドは2つのアミノ酸が結合した物質、トリペプチドは3個のアミノ酸が結合した物質となります。
もちろん、成分名の一部が読めたからといって、その成分の働きがすべてわかるわけではありません。
それでも、「これは数を表す部分かも」と気づけるだけで、成分がちょっと身近に感じられるのではないでしょうか?
難解に見えるカタカナも、分解してみると案外やさしいのです。
最初の呪文のような化学物質「ジペンタエリスリチルヘキサヒドロキシステアレート/ヘキサステアレート/ヘキサロジネート」は化粧品の表示名称だと『ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル』となります。
ここにも数字が入っていますよね?
これは、カッコ内の「ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸」という脂肪酸が、6つ(ヘキサ)結合していることを表しています。
また、「ジペンタエリスリチル」は、ペンタエリスリトール由来の骨格が2つ分あることを示しています。
つまりこの成分名は、「3種類の脂肪酸が合計6つ結合した、ジペンタエリスリトール系のエステル」と考えると、少し読みやすくなります。
数字を理解することで、なんとなくの形が見えてくるかもしれませんね。

言葉の意味がわかると、成分名は少し身近になる

化粧品の成分表示や化学名は、「理解不能なカタカナの塊」にみえることもあります。
でも、その中には今回紹介したような、mono、di、tri、tetra、penta、octa、decaといった、数を表すヒントが隠れていることがあります。
こうした接頭辞は化学名やそれ以外でも広く使われています。
「難しそう」で終わらせず、少しだけ意味を分けて見てみる。
それだけでも、成分名や化学の言葉との距離はちょっと縮まるはずです。
身近な言葉から美容や化学をのぞいてみると、思いがけず面白い発見があるかもしれません。

参考文献:
●日本化粧品工業連合会. 日本化粧品工業連合会表示名称作成ガイドライン [Internet]. 日本化粧品工業連合会; 2002 Feb 27 [cited 2026 Apr 3]. Available from: https://www.jcia.org/user/common/download/business/ingredients/mgl.pdf
●Merriam-Webster. peptide [Internet]. Merriam-Webster; [cited 2026 Apr 3]. Available from: https://www.merriam-webster.com/dictionary/peptide
●Merriam-Webster. When words stray from their roots [Internet]. Merriam-Webster; [cited 2026 Apr 3]. Available from: https://www.merriam-webster.com/grammar/when-words-stray-from-their-roots
●Britannica Editors. The early Roman calendar [Internet]. Encyclopaedia Britannica; 2026 Feb 20 [cited 2026 Apr 3]. Available from: https://www.britannica.com/science/calendar/The-early-Roman-calendar

[執筆者]


船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ

[監修]キレイ研究室編集部

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