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廃棄されるはずだった真珠をアートに。三重・南伊勢町のパールジュエリーアーティストが世界に発信する、真珠の新しいかたち

  • 2026.10.8

美しい海と自然に囲まれた風光明媚な三重県・南伊勢町。ここで三代にわたり真珠の養殖を行ってきた「上村真珠養殖」のパールジュエリーアーティスト、上村栄司さん。真珠の新たな価値を探求し続ける上村さんに話を聞いた。

パールジュエリーアーティストとして活躍する上村さん
パールジュエリーアーティストとして活躍する上村さん

1928年から続く「上村真珠養殖」の三代目として家業を継いだ上村さん。仕事をしながら真珠の養殖技術を修得するうちに、丸く美しい形の真珠は商品となり、形がいびつなものは商品にならないという現実を目の当たりに。1990年代をピークに真珠産業自体も徐々に衰退をしていく中で、「個性を持って生まれた真珠の価値を活かしたい」とパールジュエリーアーティストとして独立。独創的なパールジュエリーを手がけるようになった。

なかでも特徴的なのは、真珠に漆と金粉で模様を描いた「蒔絵シリーズ」だ。「蒔絵師に相談して、少し陥没したパールに模様を描いてもらいます。他にも彫金師や藍染師などさまざまな職人と一緒に作品を作ることもあります。職人同士、時には意見がぶつかることもありますが、お互いにリスペクトし合いながら、廃棄されるはずだった真珠に新たな価値を作っています」と上村さん。真珠だけではなく、職人の新たな可能性も広がりつつある。

【画像】存在感を放つ上村さんの作品
【画像】存在感を放つ上村さんの作品
ジュエリーだけではなく、ボトルキャップなど暮らしに役立つものも
ジュエリーだけではなく、ボトルキャップなど暮らしに役立つものも

さらに上村さんは、つけるだけではなく「飾ることができる」真珠の作品を考案。「若い世代にも真珠に興味を持ってもらえるような作品を創りたいと考えています」と話し、壁に飾ることができる多種多彩な真珠作品を生み出している。額のフレームをマグネット式にし、壁から外さずに中の真珠を取り出して身につけられたりするのも、上村さんならではの画期的なアイデアだ。

「眺めているだけで心が豊かになる、そんな作品を作っていきたいです。個性的な真珠を活用することだけではなく、未来へとつながる真珠の新しい価値を作っていくことも、サステナブルな活動のひとつだと思っています」。

額装された真珠のアートは、アクセサリーとしても活躍
額装された真珠のアートは、アクセサリーとしても活躍
遊び心をくすぐるアートも
遊び心をくすぐるアートも

上村さんは、こうした作品づくりとともに、暗闇で光る新たな真珠「ほたる」の養殖にも取り組んでいる。「真珠養殖の技術を利用し、母貝の中に入れる真珠の核に特殊な技術を施します」と話す上村さん。真珠層のもととなる細胞も厳選し、母貝の様子を見ながらいつ真珠を取り出したらよいかを見極めるなど、何度もテストを繰り返したという。

2024年、美しいブルーの光を放つ真珠「ほたる」がようやく完成。ニューヨークで行われた個展で反響を呼び、現在も国内外で評判を呼んでいる。

「今まで存在しなかったものを生み出すことはとても大変ですが、あきらめずにできる方法を考え続けていくことで、さまざまな気づきや価値が生まれます」と上村さん。こうした真珠の価値をより大勢の人々に伝えたいと、2026年11月4日(水)から8日(日)まで名古屋市内のギャラリー「アートスペースエーワン」で個展を開催予定だ。

「日本の宝である真珠の新しい価値を、世界の人々に知ってもらうことで、地域活性化につながればうれしいです」。

青く優しい光を放つ「ほたる」と、穏やかな中に情熱を秘めた赤い「夕日」
青く優しい光を放つ「ほたる」と、穏やかな中に情熱を秘めた赤い「夕日」
上村さんのアトリエ
上村さんのアトリエ
豊かな自然からインスピレーションを受け、さらに多くのアートを生み出し続ける上村さん
豊かな自然からインスピレーションを受け、さらに多くのアートを生み出し続ける上村さん

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