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かつて“ダンス甲子園”で2連覇した兄弟デュオ。35年前のデビュー曲は、【自分たちの名前】だった

  • 2026.10.13
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

制服姿の高校生が、テレビの中で本気になって踊っていた時代がある。学ランの裾をひるがえし、全国から集まった若者がステップのキレを競い合う。画面越しに見ているだけで、つい肩でリズムを取ってしまう。見るだけでは物足りず、思わず振りをなぞってみたくなる。そんな熱が、90年代初期のテレビの中にあった。

画面に映っていたのは、踊ることが楽しくて仕方ない若者たちの真剣な顔だ。音が鳴れば身体が動く。シンプルで強いその快感が、学生服という窮屈な衣装を突き破って、お茶の間まで届いていた。

その熱の真ん中で頂点に立ち、自分たちの名前をそのまま曲名に掲げてデビューした兄弟がいる。踊りで名を馳せた二人が、今度は歌で堂々と名乗りを上げた一曲だ。

L.L BROTHERS『L.L BROTHERSのテーマ』(作詞:川村真澄/作曲:羽田一郎)ーー1991年10月7日発売

同じ服の群れから抜け出した兄弟のステップ

L.L BROTHERS(現・LL BROTHERS)は、兄のTAKANORIと弟のMASAYAによる実の兄弟デュオだ。福岡出身の二人は、日本テレビ系『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の名物企画「ダンス甲子園」で、第1回、第2回と続けて優勝をさらった。

連覇の重みは、勢いだけでは説明がつかない。1度目の勝利なら若さの勢いで手が届いても、2度目に頂点へ立つには、見る側の期待をさらに上回る踊りが要る。

兄弟の踊りには、一人が動けばもう一人が同じ角度で応える、言葉のいらない呼吸があった。兄弟ならではのシンクロしたパフォーマンスも、二人の持ち味だ。踊りで大事なのは、派手な大技よりも、ビートの裏で身体がどう揺れるかだ。兄弟の動きには、その揺れの気持ちよさ、確かなグルーヴがあった。

学生服は、全員を同じ形にそろえてしまう服でもある。その中で二人が誰よりも目を引いたのは、着ているものではなく、動きそのもので自分を語っていたからだ。

流行語の熱の真ん中で自分の名を歌う

「ダンス甲子園」という言葉は、1991年の新語・流行語大賞で大衆部門の銅賞に輝いた。高校生が制服で踊る企画の名前が、その年の世相を映す言葉の一つに並んだのだ。

彼らのデビューシングル『L.L BROTHERSのテーマ』が8cmCDで世に出たのは、ブームがもっとも熱かった同じ1991年の10月7日。日立マクセル「BLACK」のCMソングにも起用された。

曲の中身は、ダンスに取り憑かれた語り手が都会の夜に踊る快感と解放を歌うものだ。ラップパートに織り込まれた「1991」の年号は、あの年の空気をまるごと閉じ込めたタイムカプセルだ。年号を歌い込んだ曲は、時が経つほど味が増す。聴き返すたびに、あの年の熱気へ一息に引き戻されるからだ。

テレビ発の踊り手にポップスの名匠が用意した土台

デビューに用意された布陣は、作詞が川村真澄、作曲が羽田一郎、編曲が新川博。ポップスの第一線を知る職人たちが、惜しみなく集結した。

作曲の羽田一郎は、大学時代に久保田利伸とファンクバンド「ホッテントット」を組んでいた盟友。作詞の川村真澄も、渡辺美里『My Revolution』を手がけたヒットメーカーであると同時に、80年代の久保田作品を数多く作詞した名手だ。

さらに編曲の新川博は、数々のヒットソングを手掛けたポップス界屈指のアレンジャーである。

バラエティ番組から現れたダンサーに、職人たちが仕立てたのは、踊るための頑丈な床だった。踊りで名を上げた二人にとって、曲はまず身体を動かすための場所でなければならない。英語のサビとラップという組み立ては、兄弟の踊りがいちばん映える置き場所を作っている。のちの兄弟がR&Bへ深く分け入っていく歩みを知る者からすれば、この最初の布陣に、その道の入り口を重ねて聴くこともできる。

名乗りの歌はいまも先頭で鳴る

兄弟はのちにアメリカ直系のR&Bへ深く傾倒し、プロデューサーのT.Kuraと出会って2000年に再デビューを果たした。以降、作詞の仕事などでも確かな足跡を残している。MASAYAは、故郷の福岡で歌の指導にあたっている。踊りで世に出た二人は、歌と言葉の深淵へも歩みを広げていったのだ。

2025年7月30日に発売された『ゴールデン☆ベスト L.L BROTHERS 〜WARNER YEARS』でも、冒頭を飾るのはこのデビュー曲だ。2026年10月7日、兄弟はデビューから35年を迎えた。

踊りで注目を集めた二人が、自分たちの名前を掲げて歌の世界へ踏み出した。その一曲が、長い歩みを振り返るベスト盤の先頭に置かれている。そこには、制服姿でテレビの前の人々を夢中にさせていた頃の勢いと、新しい舞台へ向かう二人の誇らしさが、いまも息づいている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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