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「挨拶のお返事がなかったので」ゴミ出し直後に鳴ったチャイム。下の階の奥さんが訪ねてきた理由

  • 2026.9.29

昼過ぎに鳴ったチャイム

生まれてはじめてのアパート暮らしで、私が借りたのは2階建ての2階の角部屋でした。

日当たりのいい窓が気に入り、ほとんど迷わずに決めた部屋です。

半年ほどして、下の階に60代くらいの夫婦が越してきました。

菓子折りを手に挨拶に来た二人は、何度も頭を下げる感じのいい人たちでした。

「下に越してきました。どうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

それからひと月ほどたった平日、仕事が昼までで終わり、帰宅して掃除機をかけているとチャイムが鳴りました。

ドアを開けると、下の階の奥さんが一人で立っています。

「あの、掃除機の音がちょっと気になって…」

「すみません。気をつけます」

奥さんは「お願いします」と笑って会釈をすると、そのまま階段を下りていきました。

時計を見ると、まだ昼の1時を少し回ったところです。昼間でも気になるほど響いていたのだろうかと思いながら、それ以降は以前より音を気にするようになりました。

ゴミ出しのあと、また鳴った

それから気になり始めたのが、下の階の窓でした。

ゴミを出して階段へ戻ると、窓のカーテンが少し動くことがあります。

階段の近くにある窓なら、外を見たときに人が目に入ることもあります。

洗濯物を取り込んでいただけかもしれません。そう考え、なるべく気にしないようにしていました。

ところがある朝、ゴミ出しから戻ったとき、窓の向こうに人影が見えました。

私は小さく会釈をして部屋へ戻ります。鍵をかけ、靴を脱ごうとしたところで、またチャイムが鳴りました。

ドアの前にいたのは、下の階の奥さんでした。

「挨拶のお返事がなかったので」

一瞬、何を言われているのか分かりませんでした。

「…さっき、会釈はしたつもりだったんですが」

「ええ。でも、お返事がなかったので」

奥さんは怒っている様子ではなく、いつもと同じように笑っています。

だからこそ、私はどう返せばいいのか分からなくなりました。

部屋に戻ったあと、その日のうちに不動産会社へ電話をしました。

「下の階の方が、これまでに2度チャイムを鳴らしに来ていて…。最初は掃除機の音のことで、今朝は『挨拶のお返事がなかったので』と言われました」

担当者は少し間を置いてから聞きました。

「ほかに何かされたことはありますか?」

「いえ。ただ、ゴミを出すと窓のほうから見られているように感じることがあって……」

「そうですか。今のところは、少し様子を見てもらえますか」

結局、その日はそれ以上の話にはなりませんでした。

夫婦は会えばにこやかに頭を下げてくれます。何か危害を加えられたわけでもありません。

それでも、私は今もゴミを出して階段を上るとき、無意識に足音を小さくするようになりました。

今朝もゴミを出して戻ると、下の階の夫婦が自分たちの部屋の前に並んで立っていました。二人とも、こちらを見て笑顔で会釈をしました。

私も小さく頭を下げながら、その前を通って自分の部屋へ戻りました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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