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「木を切る体力がないんだよ」塀を越える枝を5年放置した隣人。だが、息子さんが父に言った一言

  • 2026.9.29

塀を越えてくる隣の枝

左隣の家には、80代くらいのおじいさんが一人で住んでいる。

5年ほど前から庭の手入れをしなくなり、木の枝が境目の塀を越えて、うちの敷地まで伸びてくるようになった。

特に困るのが秋だった。

朝、庭へ出ると隣の木の落ち葉が一面に広がっている。出勤前に掃き集めても、夕方にはまた葉が積もっていた。

雨の翌日には、濡れた葉が雨どいに詰まることもある。

そのたびに、僕がはしごをかけて取り除いていた。

最初の秋、塀越しに縁側のおじいさんへ声をかけた。

「すみません。こっちに出ている枝だけでも、切ってもらえませんか」

おじいさんは木を見上げてから言った。

「年寄りには木を切る体力がないんだよ」

次の秋にも、もう一度お願いした。しかし返ってきたのは同じ言葉だった。

それから僕は頼むのをやめ、こちら側に出てきた枝を自分で切るようになった。

「また今年も始まったね」

脚立を出す僕を見て、妻が台所の窓から苦笑いする。庭の物置の横には、毎年、落ち葉を詰めた袋がいくつも並んだ。

脚立の上で声をかけられた

5年目の秋の日曜日。いつものように脚立に上って枝を切っていると、隣の庭から声がした。

「すみません。それ、うちの木ですよね」

見ると、50代くらいの男性がこちらを見上げていた。おじいさんの息子さんだった。

「ええ。こちらに出ている分だけ、切らせてもらっています」

息子さんは少し驚いた様子で聞いた。

「父には、前に話してくださったんですか」

「はい。前にもお願いしました」

息子さんは黙って木を見上げ、それから物置の横に置かれた落ち葉の袋へ目を向けた。

そして、縁側のおじいさんに向かって言った。

「父さん、ずっとお隣さんにやってもらってたの?切れないなら、僕が業者さんを頼むよ」

おじいさんは何も言わず、しばらく落ち葉の袋を見ていた。

やがて、塀越しにこちらを向いた。

「…すまなかったね」

「業者さんに入ってもらえるなら、それで十分です」

そう答えると、台所の窓の向こうで妻が小さくうなずいた。

翌週、庭の景色が変わった

翌週には業者さんが来て、塀を越えていた枝をきれいに切っていった。

その週末には息子さんが菓子折りを持って玄関に立ち、頭を下げた。

「長いあいだ、父の木でご迷惑をおかけしました」

その秋、うちの庭に落ちてくる葉はほとんどなくなった。

ある朝、久しぶりにほうきを持たずに庭へ出ると、縁側にいたおじいさんのほうから声をかけてきた。

「おはよう。そっちにはもう、葉っぱは落ちてないかい」

以前とは少し違うその声に、僕も「大丈夫ですよ」と返した。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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