1. トップ
  2. エピソード
  3. 「普通は引っ越したらすぐに来るものでしょう」挨拶を控えた私に怒る隣人。だが、同行した自治会長が告げた言葉

「普通は引っ越したらすぐに来るものでしょう」挨拶を控えた私に怒る隣人。だが、同行した自治会長が告げた言葉

  • 2026.11.4
「普通は引っ越したらすぐに来るものでしょう」挨拶を控えた私に怒る隣人。だが、同行した自治会長が告げた言葉

玄関先で聞かされた隣の家からの電話

数年前、人と会うのを控えていた時期に、私は今の家へ引っ越しました。

本来ならご近所へあいさつに行くところですが、突然訪ねるとかえって迷惑かもしれないと思い、そのときは控えることにしました。

引っ越してしばらくたったある昼、インターホンが鳴りました。

玄関を開けると、白髪まじりの男性が立っていました。

「この地区の自治会長です。突然すみません。ちょっとお話がありまして」

何事かと思って話を聞くと、隣の家のおばさんから、私のことで何度も電話が来ているというのです。

「引っ越してきたのに、あいさつがないっておっしゃるんですよ」

最初はそれほど強い言い方ではなかったそうですが、日がたつにつれて電話の回数が増え、最近ではこんなことまで言われているそうです。

「あの家、挨拶にも来ない。挨拶に来させろ!」

私は驚いてしまいました。あいさつに行かなかったことを気にされているとは思いませんでしたし、そこまで怒らせているとは想像もしていなかったのです。

「すみません。こういう時期なので、訪ねるのも迷惑かなと思って…」

「ああ、そういうことだったんですね。それなら分かりますよ」

自治会長はうなずきましたが、何度も電話が来ることには困っている様子でした。

「もしごあいさつに行かれるなら、私も一緒に伺いましょうか」

正直、一人で隣の家を訪ねるのは気が重くなっていました。そこで、自治会長の申し出に甘えることにしました。

隣の家の玄関で自治会長が告げたこと

別の日の昼、私はお菓子の入った小さな紙袋を持ち、自治会長と隣の家を訪ねました。

自治会長が玄関の前に立ち、私は少し離れたところで待ちました。

出てきたおばさんは私を見るなり、腕を組みました。

「あら、やっと来たのね。普通は引っ越したらすぐに来るものでしょう」

「すみません。今は人と会うのを控えたほうがいいと思っていたので…」

私が説明すると、おばさんは納得できない様子でした。

「でも、お隣なんだから。会長さんに言われるまで来ないっていうのもねえ」

どう答えればいいのか分からず、私は紙袋を握り直しました。

すると、自治会長が口を開きました。

「こちらの方も、今の時期だからと気をつかっていたんですよ」

「それは分かりますけど、あいさつくらいは…」

「お気持ちは分かります。ただ、何度もお電話をいただいて、私も困っているんです」

自治会長は穏やかな口調のまま続けました。

「自治会は、あいさつをさせるところではありませんから。そこは分かっていただけませんか」

おばさんは少し黙ったあと、「……そうですか」と短く答えました。

通りの向かいでは、水やりをしていた奥さんが手を止め、こちらを見ていました。

私は気まずさを感じながらも、一歩前に出て紙袋を差し出しました。

「ごあいさつが遅くなって、すみません。よろしければ、こちら……」

おばさんは黙って紙袋を受け取り、そのままドアを閉めました。

帰り道、自治会長が苦笑いしながら言いました。

「気にしなくていいですよ。困っている人は、ほかにもいるんです」

その言葉を聞いて、少しだけ肩の力が抜けました。

後から聞いたところでは、それ以来、おばさんから自治会長への電話は来なくなったそうです。

今でも道で顔を合わせることはありますが、おばさんは目をそらして軽く会釈するだけ。私も会釈を返しています。

親しいご近所づきあいにはなりませんでしたが、余計なトラブルもなく、今は落ち着いた気持ちで玄関先を掃いています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ