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性格の暗い人ほど創作で成果を出す傾向、鍵は「自分で考え抜く癖」

  • 2026.9.17

クラスで人気があるわけではないのに、作品だけはやたらとほめられる。そんな同級生がいませんでしたか。

人をあやつろうとする性格、人の痛みが分かりにくい性格、自分を大きく見せたがる性格。

ふつうなら、困った性質の側に置かれます。

ところがイタリアのラクイラ大学の研究者が、大学生212人を調べました。

その傾向が強い人ほど、絵や文章や料理で実際に成果を出している、という関連が見えたのです。

あいだをつないでいたのは、まわりに流されず、自分で情報を切り分ける考え方の癖でした。

ただし、調べたのは大学生だけです。

研究内容の詳細は2026年7月27日に『Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts』にて発表されました

目次

  • 嫌われる性格と、作品の成果が同じ線でつながった
  • 「切り分ける癖」は、本当に測れていたのか

嫌われる性格と、作品の成果が同じ線でつながった

嫌われる性格と、作品の成果が同じ線でつながった
嫌われる性格と、作品の成果が同じ線でつながった / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

研究が目を向けたのは、心理学でダークトライアド(暗い三つ組)と呼ばれる性格の傾向です。

人をあやつろうとする傾向。

後先を考えず、人の痛みや後悔を感じにくい傾向。

自分は特別だと思い、ほめられることを求める傾向。

平均年齢は21歳、生物学や医学、心理学などいろいろな学部から集まっています。

どれも歓迎されない性質ですが、程度の差はふつうの人のあいだにもあります。

そして創造性と結びつくことは、前から知られていました。

ラクイラ大学のマルコ・ジャンコラ氏が集めたのは、大学生212人です。

生物学や医学、心理学など、いろいろな学部から来てもらいました。

まず、性格をたずねる質問紙に答えてもらいます。

「ほしいものを手に入れるために、嘘をついたりごまかしたりする」。

こういう文に、自分がどれくらい当てはまるかを答える形です。

あわせて、創作の成果もたずねました。

ここが大事なところで、聞いたのは「発想力があるかどうか」ではありません。

絵、音楽、文章、科学の発見、料理。

実際に作って人に認められたものに、印を付けていく形です。

成果の質問紙が聞いたのは、作って認められたこと
成果の質問紙が聞いたのは、作って認められたこと / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

もうひとつ測ったのが、場独立性(ばどくりつせい)と呼ばれる考え方の癖でした。

こみいった背景から、必要な細かい部分だけを切り分けて取り出せる。

この癖が強い人は、まわりの人の様子や空気より、自分の中の判断を頼りにする傾向があります。

結果は、3つの傾向が強い人ほど、この切り分ける癖も強い、というものでした。

ただし、調べたのは大学生です。

世の中の人みんなに同じことが言えるかは、この研究では分かりません。

では、その「切り分ける癖」は、どうやって測ったのでしょうか。

「切り分ける癖」は、本当に測れていたのか

「切り分ける癖」は、本当に測れていたのか
「切り分ける癖」は、本当に測れていたのか / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

使ったのは、埋め込み図形テストという課題です。

まず、色のついた複雑な図形をしばらく見ます。

次に、白黒の簡単な形を見せられます。

そしてもう一度、複雑な図形に戻り、その中に隠れているかんたんな形を、なぞって見つけ出す。

かかった時間が短いほど、まわりの模様に邪魔されずに必要な形を抜き出せた、と考えます。

まちがい探しをやったときのことを思い出してください。

絵の中の細かい模様に目を取られていると、いつまでも違いが見つかりません。

模様を無視できる人ほど、答えにたどり着くのが速い。

この課題が測っていたのも、その速さでした。

実際、3つの傾向が強い参加者ほど、隠れた形を見つけるのが速いという結果になりました。

これだけ取りのぞいても、筋道は残った
これだけ取りのぞいても、筋道は残った / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

ここで、それはただ頭が良いだけではないか、と思った人がいるかもしれません。

創造性は、いろいろなものに左右されます(なぜシャワーを浴びていると「創造的なアイデア」が浮かびやすい)。

年齢や性別、学歴。それに、創造性と結びつくと知られている「開放性」という性格。

これらの影響を取りのぞいたうえで計算しています。

新しい問題を解く力と、積み上げた知識の量も、同じように取りのぞきました。

それでも、性格から成果へ、考え方の癖を通る筋道は残った。ジャンコラ氏はそう述べています。

とはいえ、測ったのは図形を見つける速さです。

ひとつのことをじっくり考え抜く習慣そのものを測ったわけではありません。

性格も成果も、本人が質問紙に答えた内容である点も、頭に置いておく必要があります。

そして、示されたのは統計の上でのつながりです。暗い性格が作品を生む、と言い切れる段階ではありません。

それでもこの研究は、性格と成果のあいだに「情報の受け取り方」という一段を置いて考える道を示しました。

まわりに流されない癖は、うとまれることもあれば、作品として実を結ぶこともある。

空気を読まない、と言われる人。図形の中からは、ちゃんと読み取っているのかもしれません。

参考文献

A specific thinking style explains why dark personality traits are linked to creativity (PsyPost)
https://www.psypost.org/a-specific-thinking-style-explains-why-dark-personality-traits-are-linked-to-creativity/

元論文

Breaking the mold: How dark personality traits shape creative achievement through cognitive styles.
https://doi.org/10.1037/aca0000895

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、絵や図を1枚はさむ。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。 好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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