1. トップ
  2. エピソード
  3. 「明日、午後から会いに行ける」。日付の変わり目に間に合わなかった俺が、その約束のために会社に残った夜

「明日、午後から会いに行ける」。日付の変わり目に間に合わなかった俺が、その約束のために会社に残った夜

  • 2026.9.18
ハウコレ

会社を出るころには、スマホの電源が落ちていました。電車を降りた俺は、ホームの端で駅の時計だけを見ていました。

半休の申請を出した直後にポケットの中で一度鳴ったスマホの画面には、彼女の名前が出ていました。

既読をつけたまま、返せませんでした

彼女とは付き合って3年。お互いの勤め先が離れていて、平日に会うのは難しく、会えるのはほとんど週末だけです。連絡は毎日チャットで、付き合ってから、お互い誕生日には日付が変わった瞬間におめでとうを送りあっていました。今年の誕生日は平日でした。おめでとうの文だけ送って、次の週末まで会わないのを、今年はやめると決めていたのです。本来なら明日に回す予定だった資料を、半休を取るために今日のうちに終わらせる必要がありました。申請を出して席に戻ったとき、彼女からの「今日は早いの?」が一番上にありました。開いて既読をつけたところで、上司に呼ばれました。残業とだけ返すのも気が引けて、返事は仕事を仕上げてからにするつもりでした。

駅の時計が、日付を変えるのを見ていました

資料を送り終えて会社を出たときには、電池の残りを示す線が消えていました。電車を降りると、駅の時計は日付を変える直前でした。俺はホームの端で、彼女が誕生日を迎えたことを知りました。電源の落ちたスマホを持ったまま、彼女が今頃チャットを開いているのだろうかと考えました。去年まで、この時刻に遅れたことは一度もありません。既読だけ残したメッセージのことを考えると心が痛みました。

3行目に、会いに行くことを書きました

家に帰り携帯を充電器につなぎ、画面がついたのは日付が変わって10分ほどしてからです。1行目に「誕生日おめでとう。」、2行目に「遅くなってごめん、充電が切れてた。」と書きました。3行目は「明日、午後から会いに行ける。」です。そこから先に、半休を取れたこと、そのために残業して資料を仕上げたこと、駅の時計を見ながら日付が変わるのを迎えたことを書いて、送りました。既読はつかないまま、充電器につないだスマホを枕元に置いて、目を閉じました。

そして...

俺は彼女からの返信を通知する音で目を覚ましました。「充電、切らさないでよ。」というメッセージを見て、俺は「うん。会って謝る。」と返しました。

その日の改札で、俺は謝るより先に、充電が満ちたスマホの画面を彼女に見せました。今も、玄関を出る前にバッテリー残量を一度確認しています。

(20代男性・営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ