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バイク乗り能楽師・大倉正之助が奏でる新作能「新皇将門」を求め群馬へ

  • 2026.9.16

重要無形文化財保持者(人間国宝・総合指定)でありながら生粋のバイク乗りとしても知られる能楽師・大倉正之助が大鼓を演奏する新作能「新皇将門」が、2023年10月29日に群馬県伊勢崎市の「いせさき能」で上演された。読者からバイクで会場まで駆けつけた際のツーリング記録が届いたので紹介する

平将門を養蚕の恩人として描く新作能「新皇将門」

能楽は室町時代から600年以上続く日本の古典芸能で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。現在伝わる演目は約200曲にのぼるが、朝廷から「逆賊」とされた平将門を題材にした作品はほとんど例がない。2013年に茨城県坂東市が将門公生誕1111年を記念して制作・初演した新作能「将門」に続き、2022年に前橋市で初演されたのが「新皇将門」だ。

物語は、上野国(現在の群馬県)の国府を制圧した平将門を祝い、赤城山の龍神が桑の枝を届けたという逸話がモチーフになっている。群馬には世界遺産・富岡製糸場があるように養蚕が盛んな土地柄で、作中の将門は反逆者としてではなく、この地に養蚕をもたらした人物として描かれる。将門の営所があったとされる坂東市でも、地域に貢献した郷土の英雄として親しまれているという。

バイク乗り能楽師・大倉正之助とオートバイの縁

今回の「新皇将門」で大鼓を演奏したのは、重要無形文化財保持者(総合指定)の能楽師・大倉正之助。『週刊新潮』2023年11月30日号の連載記事によると、上演当日は自身のFJRで会場入りし、近くの蕎麦店で食事を済ませてから楽屋入りしたという。

大倉とバイクの関わりは今回に限らない。ヤマハの「MT-01」は大倉の大鼓の音にインスピレーションを受けて開発されたという逸話があり、2000年8月8日に宝生能楽堂で行われた「翁附五流五番能」の会場には、ヤマハが用意したMT-01のコンセプトモデルが展示されていたという。今年2026年8月19日の「バイクの日」には、大倉自身が「佐渡ライダーズミーティング2026」を佐渡島内で開催している。世阿弥が晩年に流罪となった佐渡は能楽が盛んな土地で、全国に現存する能舞台約80棟のうち33棟が集中しているという。

投稿者は上演当日、道中の安全を祈願して東京・大手町の「将門塚」(首塚)にも参拝してから伊勢崎へ向かったという。能楽堂ではなく多目的ホールでの上演だったため、舞台の柱が短くカットされ、能舞台特有の屋根もない構成だったが、初心者向けに新作能制作の経緯や「上野国府と平将門」をテーマにした講演も行われ、作品理解の助けになったそうだ。

能とオートバイ、一見交わらないようで、実は各地で縁を結んできた両者。「新皇将門」を制作した「いせさき能」実行委員会や大倉正之助の公式サイトでは、今後の公演情報も発信されている。興味を持ったなら、次の公演にバイクで足を運んでみるのも一興だろう。

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