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アルザスに輝く二つ星「ラ ターブル ドゥ オリビエ・ナスティ」。人間国宝シェフが紡ぐ至高のジビエ体験

  • 2026.9.16
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連載第15回で紹介するのは、フランス・アルザス地方の食文化を発信するMOF(フランス版人間国宝)、オリビエ・ナスティシェフの「ラ ターブル ドゥ オリビエ・ナスティ」。古都カイゼルベルクの歴史ある建物を改築したオーベルジュを舞台に、ジビエをはじめとするフランス食文化の担い手として注目を集めています。

アルザスに根付く「山の料理」の文化を世界へ

オリビエ・ナスティシェフ Photo:La Table d' Olivier Nasti

カイゼルベルクから南に80キロほど離れた、フランス東部、ベルフォール出身のナスティシェフは、スイスやルクセンブルグ、イギリスなどで働いた後、スパイスの魔術師としても知られるオリヴィエ・ローランジェシェフに師事。その後アルザス地方の歴史的名店「オーベルジュ・ド・リル」で経験を積んできました。

2000年に兄と共に、歴史的建造物でもある「ル・シャンバール」を購入し、オーベルジュとして開店したのが始まりです。2007年にはMOFを受章、メインダイニングであるこの「ラ ターブル ドゥ オリビエ・ナスティ」は2005年にミシュラン一つ星、2014年以来ずっと二つ星に輝き、2023年には「ゴ・エ・ミヨ」の今年のシェフに選ばれるなど、高い評価を得ています。

中世からの歴史を感じるロマンティックな建物

伝統的な街並みのカイゼルベルクの中でも、一際目を引く邸宅が「ル・シャンバール」。 Photo:La Table d' Olivier Nasti

中世の建物が多く残るカイゼルベルク、「コロンバージュ」と呼ばれる木組みを使ったハーフ・ティンバー様式の建物が立ち並び、観光地としても非常に人気です。街のほぼ中心に位置するこの「ル・シャンバール」もそんなロマンティックな雰囲気を色濃く残す佇まい。食器の多くは昔からアルザスで使われてきた古典柄のアンティークで、皿の上だけではない文化の継承が感じられます。

歴史を継ぐ館で味わう、森の恵みとジビエの情熱

15年以上、ハンターとして山と親しむナスティシェフは、アルザスに今も残る狩猟文化をジビエ料理という形で発信しようと、2023年から「狩猟フェスティバル」、さらに2025年からは「世界ジビエパイ選手権」を開催し、積極的に活動しています。宿泊施設やレストランの店内には、シェフが自ら仕留めた鹿の角が飾られ、テーブルでは様々な種類の野鳥のオブジェが迎えてくれます。

「風変わり」なシグネチャー料理

ぜひ味わいたいシグネチャー料理「風変わり」 Photo:La Table d' Olivier Nasti

近隣で獲れる淡水魚にモミの木のエッセンスを効かすなど、四季を通して山の恵みが楽しめるお店ですが、やはりその真骨頂は秋から冬のジビエの時期。アラカルトもありますが、ペルドローやリエーブルなど、様々なジビエがいただけるテイスティングコースが、色々な味を堪能できておすすめです。

冬の森を皿に映す、至高のジビエとアルザスの恵み

中でも注目は「L’ Insolite(風変わり)」という名前のついたシグネチャー料理です。アルザスの森の王様である大鹿の肉のタルタルにオシェトラキャビア、そして薄い氷のディスクが重ねられています。まるで黒い土に霜が降りた冬の森の景色が浮かぶような美しさはもちろん、しゃりしゃりする氷との食感の対比は特筆もの。また、地元の人でも賑わう、建物内にあるビストロでは、入荷次第でジビエのパイが楽しめます。

■Author's eye

第一回 世界ジビエパイ選手権の優勝者たちと主催のナスティシェフ Photo:La Table d' Olivier Nasti

筆者は昨年11月に行われた第一回の「世界ジビエパイ選手権」に参加しましたが、ヨーロッパ各地のみならず、アフリカなどからも8人の候補者が参加。審査員には、ピエール・エルメ氏 などのトップシェフの他、8人のMOF がいて(そのうちの一人は、日本からは「ジョエル・ロブション」の関谷健一朗シェフでした)まさにインターナショナルで華やかなイベントでした。今年も10月27日に第2回の開催が予定されていて、日本から「モノリス」の石井剛シェフが参戦予定とか。

ちなみに、このコンテストのあとに、エルメさんと食事をご一緒させていただいた際、「最高に美味しいクグロフ」をお聞きしたところ、オリビエ・ナスティさんのベーカリーのクグロフを挙げていらっしゃいました。お店のすぐ裏手にあるので、お土産に購入するのもおすすめです!

■La Table d' Olivier Nasti

13 Rue du Général de Gaulle, 68240 Kaysersberg Vignoble, France

【Profile】仲山今日子- KYOKO NAKAYAMA-

Photo:Kyoko Nakayama

ニュースキャスターとして日本のテレビ局で15年以上勤務した後、シンガポールのテレビ局に転職。並行してシンガポール国営ラジオ局で、DJとして食とアートの番組を担当。『THE BUSINESS TIMES』『TATLER』『日本経済新聞』など、国内外の新聞、雑誌で執筆を行う。『WORLD RESTAURANT AWARDS』では、シンガポール代表の審査員を務める。その他、実名・匿名で国内外の多くのレストランの審査を行う。リシェスにて「至福の食体験」連載中。

※この記事は2026年9月16日時点のものです。

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