1. トップ
  2. エピソード
  3. 宿を取り忘れた俺が送った、同じ謝り方の28回目。書けと言われて、はじめて数えたこと

宿を取り忘れた俺が送った、同じ謝り方の28回目。書けと言われて、はじめて数えたこと

  • 2026.9.16
ハウコレ

宿の話から先へ進まないまま、書き出しては消すことを繰り返していました。やりとりを上へたどっていくと、続いていたのは同じ文字の並びばかりです。

入力欄に文字を入れると、続きが変換の先頭に出てきました。選んで押すだけで送れる形になっていたのは、喧嘩のたびに使ってきた文面です。宿を取っていなかったことを責められて、俺はそれをそのまま送りました。

宿を押さえると言ったのは俺です

連休の行き先を決めたのは俺で、宿は自分が押さえると言いました。休みを合わせて取ったのは彼女のほうです。空きを調べたところで止めて、そのまま忘れていました。出発の前の日に予約番号を送ってほしいと頼まれたときには、取っていないと分かっていました。それでも予約の画面は開きませんでした。開けば取っていないと確かめることになるので、そのまま寝ただけです。頼まれた文には既読だけをつけて、返事は翌日へ回しました。

笑をつけると、それ以上は返ってこない

翌日に「宿、取れてなかった。ごめん」と送り、「いつ分かったの?」と聞き返されて、俺は「はいはい、ごめんごめん笑」を送りました。この文面を送ると、たいていの喧嘩はそこで止まります。言い返されることもなければ、何が悪かったのかを説明させられることもありません。言い合いになりかけたら笑って流すのは、家でも友人の間でも通ってきたやり方でした。通ってきたぶん、相手が黙るのは納得したからだと都合よく数えていたのだと思います。謝っているように見えて、あれは話を先へ進ませないための道具でした。彼女のためではなく、自分が面倒から抜けるために使っていたものです。

同じ文字の並びを数えました

返ってきたのは「何が悪かったのか、自分の言葉で書いて。書けるまで返さなくていい」でした。書き出しては消すことを繰り返しても、宿の話から先へ進みません。やりとりを上へたどって数えると、同じ文面は28回ありました。並んでいる日付を見ても、そのときの喧嘩が何の話だったのかを俺は挙げられませんでした。怒りが収まる形だけを覚えて、中身のほうは一度も読んでいなかったのだと思います。書けたのは「取ると言ったのに取らなかった。前の日に聞かれたときも、確かめずに寝た。それを笑って終わらせようとした」という文です。笑はつけませんでした。

そして...

別の日で宿を取り直して、番号だけを先に送りました。あの文面は変換の履歴から消しています。今は返信を打つ前に、自分が何をしたのかを先に書き出すようにしています。書き終わるまで送らないので、返事はどうしても遅くなります。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ