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「もう別れたんだから、こういうのやめてよ」別れてから半年ほど続いた、同じ時間の訪問。30代になっても思い出す元恋人の行動

  • 2026.9.16
「もう別れたんだから、こういうのやめてよ」別れてから半年ほど続いた、同じ時間の訪問。30代になっても思い出す元恋人の行動

別れたはずなのに、前と同じ時間に鳴った

三十代になった今でも、あの半年のことだけは順番どおりに思い出せる。二十代の半ばに二年ほど付き合った人がいて、別れ話は私から切り出した。その場では言い争いにもならず、静かに終わったはずだった。

別れて二週間ほど経った夜だった。部屋の時計が九時を回った頃、玄関のチャイムが鳴った。

宅配の予定はなかったし、友人が来る約束もしていなかった。

覗き穴から見ると、付き合っていた頃とまったく同じ立ち方で、彼が扉の前にいた。

「いるんでしょ?電気ついてたから」

声を聞いた瞬間、別れる前に戻ったような気がした。私は鍵に手をかけず、扉の内側から答えた。

「…何しに来たの?」

「近くまで来たから。ちょっと顔見ようと思って」

「もう別れたんだから、こういうのやめてよ」

少し間があってから、彼は不思議そうに返した。

「そんな怒らなくてもいいじゃん。前だって普通に来てたでしょ」

「前とは違うよ。もう付き合ってないんだから」

「分かってるよ。別に中に入れろって言ってないじゃん」

付き合っていた頃、彼が連絡をせずに来て、この扉の前でチャイムを鳴らすことは確かにあった。

けれど、今はもうその頃とは違う。そのことが、彼にはうまく伝わっていないように思えた。

何度目かの夜に、合鍵のことを聞いた

それからも、何日か空いたあとに、また夜九時前後にチャイムが鳴ることがあった。

何度目かの夜、私はずっと気になっていたことを聞いた。付き合っていた頃に渡した合鍵を、返してもらった記憶がどうしてもなかった。

「ねえ、前に渡した合鍵って、まだ持ってない?」

扉の向こうが一瞬静かになった。

「合鍵はもう返したよ」

「いつ?私、受け取った覚えがないんだけど」

「別れたときだったと思うけど」

「本当に?全然覚えてなくて……」

すると、彼の声が少し強くなった。

「だから、合鍵はもう返したよ。何回言わせるの」

二度そう言われても、私の中には返してもらった場面が浮かばなかった。

「……分かった。でも、もう来ないで」

「なんでそんな言い方するの?」

「別れたからだよ。夜に急に来られるの、もう嫌なの」

しばらく返事がなかった。

やがて、彼が小さな声で言った。

「前はそんなこと言わなかったのに」

「だから、前とは違うんだって」

そこまで言うと、向こうから返事はなかった。しばらくして覗き穴を見ると、もう彼の姿は消えていた。

それでも、何日か、時にはもっと間を空けて、同じ時間帯にチャイムが鳴ることがあった。それが半年ほど続いた。

私は一度も扉を開けなかった。彼も扉を叩いたり、大きな声を出したりはしなかった。

ただ、いつまたチャイムが鳴るのか分からないことと、合鍵を本当に返してもらったのか確信が持てないことが、ずっと引っかかっていた。

私は契約の更新を待たずに、電車で三十分ほど離れた街へ移った。新しい住所は、当時の友人にも伝えなかった。

それから彼には一度も会っていない。

今でも夜に不意にチャイムが鳴ると、ほんの一瞬だけ、あの頃の玄関を思い出すことがある。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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