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90年破られていないジンクス。マルコヴィッチが初のヴォルピ杯

  • 2026.9.14

マーティン・マクドナー監督の新作『ワイルド・ホース・ナイン』がヴェネチア国際映画祭のワールドプレミアで約15分間のスタンディングオベーションを浴びたのは、今月初めのことだった。その第83回ヴェネチア国際映画祭が閉幕し、主演のジョン・マルコヴィッチが最優秀男優賞にあたるヴォルピ杯を受賞した。自身初の受賞となる。(フロントロウ編集部)

「今夜と明日の夜はモントリオールで撮影があるためです」

マルコヴィッチは授賞式を欠席した。代読されたスピーチで、本人はその理由をこう説明している。

「今晩の式典に出席できず申し訳ありません。ぜひ出席したかったのですが、今夜と明日の夜はモントリオールで撮影があるためです」

撮影現場を優先した、という淡々とした欠席理由だ。もっとも、これはワールドプレミアでの発言と地続きでもある。彼はその場で「私は人生を通して、大好きなことをやってきました。これからもそれを続けていくつもりです。引退するつもりはありません。時が来れば、周りが私を引退させてくれるでしょう。それが物事の自然な流れだと思いますから」と語り、生涯現役を宣言していた。

スピーチでマルコヴィッチは、「この素晴らしい脚本を執筆し、見事な演出を手掛けてくれたマーティン・マクドナー、そして私にこの素晴らしい役を授けてくれたことにも感謝します」と監督に触れ、さらに「素晴らしい共演者の皆様、とりわけ私の相棒である偉大なサム・ロックウェルにも感謝します」と続けた。

『ワイルド・ホース・ナイン』ヴェネチア国際映画祭のワールドプレミア
(C)2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

ポール・ムニ以来、誰も破っていない

ヴォルピ杯の受賞者には、ジャン・ギャバン、三船敏郎、アレック・ギネス、ジェームズ・スチュアートといった名前が並ぶ。近年でもショーン・ペン、ハビエル・バルデム、ウィレム・デフォー、ブラッド・ピットが受けている。

ただし、ヴォルピ杯を獲った同じ主演作でアカデミー賞主演男優賞まで手にした俳優は、5度のオスカーノミネートを誇るポール・ムニ(1936年・第4回)ただ一人しかいない。90年ものあいだ、誰も並んでいない記録だ。マルコヴィッチがそのジンクスを破れるかどうかに、早くも注目が集まっている。

批評の評価は高い。ハリウッドレポーター誌はマルコヴィッチについて「この役柄に無限の深みを築き上げている。彼の最高傑作」と書き、ヴァラエティ誌は「ジョン・マルコヴィッチとサム・ロックウェルは完璧なコンビ」と評した。デイリー・テレグラフ誌は満点の5つ星をつけ、「観る者の心を焼き尽くし、かつ涙が出るほど笑わせてくれる」としている。

1973年、クーデター直前のイースター島

『ワイルド・ホース・ナイン』は、『スリー・ビルボード』『イニシェリン島の精霊』のマーティン・マクドナーが、三たびオリジナル脚本と監督でサーチライト・ピクチャーズと組んだ作品。

舞台は1973年、チリ軍事クーデターの直前。モアイ像で知られるイースター島に降り立ったCIAエージェントのクリス(マルコヴィッチ)とリー(サム・ロックウェル)が物語の中心にいる。長年のパートナーである彼らが、それぞれの過去と現在進行形の陰謀に格闘するなか、自由を求める反権力派の学生モニカ(マリアナ・ディ・ジローラモ)とアリシア(アイリン・サラス)に出会う。そこからCIA南米支局長のMJ(スティーヴ・ブシェミ)を巻き込んだ事態へと転がっていく。

共演にはトム・ウェイツ、パーカー・ポージーも名を連ねる。北米公開は2026年11月6日。日本公開は2027年1月29日(金)で、その前に10月26日(月)開幕の第39回東京国際映画祭ガラ・セレクションでジャパンプレミアが行なわれることも決まった。

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