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TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』出演声優たちが語り合う、現代社会で大切な「考えるという事」

  • 2026.9.12
【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』出演声優たちが語り合う、現代社会で大切な「考えるということ」 1枚目
ABEMA TIMES

秋田書店「Souffle(スーフル)」にて連載中の『天幕のジャードゥーガル』(著・トマトスープ)が、山田尚子総監督、Abel Gongora監督のもとサイエンスSARUにてTVアニメ化されている。

【映像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』

本作は学者一家に拾われた少女・シタラが、捕虜としてモンゴル帝国に身を委ねる事になり、培った知恵を駆使して第三皇子オゴタイの第六妃ドレゲネとともに復讐を画策していくストーリーが展開する。

中世に繁栄したモンゴル帝国を舞台とした重厚な物語がユーモアも交えつつ、繊細なアニメーション表現によって描かれていくが、知識を活かして復讐をはたすべく暗躍していくシタラを通じて、自ら考える事の大切さが伝わってくる魅力的な作品だ。

本記事では、シタラ役の関根明良、ドレゲネ役の小清水亜美、ムハンマド役の齋藤潤、オゴタイ役の下野紘、トルイ役の鈴木崚汰らTVアニメ『天幕のジャードゥーガル』の主要キャストによる座談会にて、本作でも非常に重要なポイントになる自ら考える事・経験する事の大切さについて語られた内容をお届けする。

——本作のストーリーを拝見して、シタラが自らの知識を糧にしてルーツの異なる強大なモンゴル帝国のなかで立ち回るさまが印象的でした。自ら考えて学んでいく事や経験する事は、AIやSNSによる情報社会と化した現代日本に生きる我々から見て、当たり前のようだけれど見失いがちな事だなと。ある種、中世のときより現代の人々の心は殺伐としているのではないかと感じる事もあります。

小清水:異文化の事もそうですが、みんながいい距離感で生きていくためには、みんなが等しく学ぶべきなのだろうとすごく感じまして。軋轢が生まれる時の根本には何があるのかを考えた時に、その一つとして恐怖心の影響がある。恐怖心の原因も様々ですが、知らないから怖いという場合がかなりあるのだなと。

知らないが故に理解する事が出来なくて怖い。はっきりと言葉にするのは難しいのですが、知識と理解で緩和出来る事は結構あるように思います。

下野:たとえば、目の前にポップコーンがあって(自分がその存在を知らなかったとして)誰かからこれはしょっぱくて美味しいよって教えてもらう事で、そういう食べ物だという知識を得て、これは食べていいものなのかどうなのかっていう恐怖心がなくなっていく。

人同士もそうなんですよね。この人はこういう人だと勝手に思っていたけれど、話をしてその人を知る事で、自分が感じていた存在とは違うものだと理解して恐怖心をなくしていくという。それに関して、我々の業界でいうと、役をほかの人と取り合わなければいけない仕事じゃないですか。

自分が演じたいキャラクターのオーディションを受けたとして、自分は落ちてしまってライバルが受かったとします。悔しい気持ちはあるけれど、そのライバルと話してみたら、実はその役に対して自分よりも大きな想いを抱いていた事がわかって、実際に作品を観てみると(自分よりその役に)合っているねと思う瞬間もある。

そこで悔しい気持ちを持っているだけだと、何であいつが受かったんだという感情だけになってしまう。そうじゃなくて、実際に相手の考えや意見を聞いてみて、ときには喧嘩をする事もあるなかで、そこから自分自身を知っていく事にもなるし、その人がすごく面白い人だったんだと思える瞬間もあって。

ただ単に知識を得ていくのではなくて、自分の中でいろいろな事を感じて考えて、自分の中で答えを見つけていく事も大切だなと思うんだよね。

鈴木:そうですね。僕の場合は昔から、僕の事を怖がっている人とか、お互いの印象があまりよくなかった人とめちゃくちゃ親友になってきていて。

小清水:あはは(笑)。青春ヤンキー漫画みたいね! ただ、オーディションの話でいうと、努力を人に見せたくないタイプだった場合、何の努力もしないで受かりましたって言う、見せる人もいるじゃない? 実際には裏で寝る間も惜しんで努力をしていたとしても。

見えたものや見せてきたものがすべてとは言えなくて。会話だけでの判断では難しいところもあるよね。

【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』出演声優たちが語り合う、現代社会で大切な「考えるということ」 2枚目
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——そういう部分も含めて、いろいろな人と出会って経験から学んでいく事が大事といいますか。お仕事としては、キャリアを重ねていく事でそこは自然と増えていきますよね。

下野:確かに、失敗談も経験値になりますからね。

関根:私は小さい頃から母に「壁にぶつかったときは、どうしても立ち向かう事が出来なければ避けてもいいよ」と言ってもらっていたんです。もしかしたら避けた先に階段やはしごがあるかもしれないし、それを見つける事も一つの手であると。

試行錯誤して壁を乗り越える事が出来たときは、次の壁にぶつかったときに(前の壁の経験から)自分ではしごをかける事が出来るかもしれない。だから壁を一つ一つどうやって越えていくのか見極めて、でも本当にダメなときは逃げなさいと教えられていて。

下野:何その教え! すごいね。

関根:なので、シタラも楽しい事も、辛い事も経験し、それを乗り越えたからこそドレゲネ様と共感出来、自分が得てきた知識を使って立ち向かう事が出来ている。でも相対する相手を見ると知識だけではなく経験も大切で。知識を学んでいく事と経験する事の両方を大切にしければいけないなと感じました。

——知識を行動に活かすという事は、第1話でもムハンマドが桶を落とす事で印象的に提示していましたよね。

下野:齋藤くんはそういう教えとか、考えている事はある?

齋藤:みなさんのお話を聞いていて、自分はまだ視野が狭いなと感じました。最近になってようやく自分が何を感じているのかという事にセンサーを向けられるようになって、この感情は何だろうと考えたりもするのですが、それでも悔しいという事やわからないという感情のまま終わってしまって、自分なりの答えというものがまだ遠いところにあって……。

下野:この仕事を始めてからすぐは、どういう感情を抱いていたの?

齋藤:そうですね……今までの自分を否定したくはないのですが、本当に何も考えずにやってきたのだと思います。とにかくやってみてチャレンジしてみるという事だけで、自分のやりたい事が通用していた事もあって。

でも、いろいろな作品に携わらせていただいて、それが通じなくなってきて「芝居って何だろう? 作品作りって何だろう?」という疑問を抱くようになってきたのですが、まだまだ全然わからなくて。

下野:そういう意味では壁にぶつかっているのかもしれないよね。

小清水:これからだよ。なんかいいですね! (悩む事も)楽しいぞ!

——やっぱり考える事って、答えがすぐに見つかる事も少ないので、難しいですし大変じゃないですか。現代ではAIを使って考えないで済ませてしまう事も出来るなかで、改めて自分で考える事の大切さを実感しています。

小清水:『天幕のジャードゥーガル』のお話に触れていると、“自分で考える事”を“当たり前に出来る事”って幸せなんだなって思いますよね。

下野:でも、そんなに難しい事じゃなくても、人間って基本的に何か考えているでしょ。考える事自体はやめられないと思うから、それならいろいろな事を考えていろんな答えを自分なりに導き出していった方が、自分の人生豊かになっていくよね。

現代ではAIに頼る事があるかもしれないけれど、そこで頼ると(AIが出力した)文字だけを覚えるだけで終わっちゃう可能性があって。

自分なりに気になるものを調べて、見て触れられる機会があるのなら触れていった方が本当の経験値になっていくのだろうなっていう意味では、自分の力だけで深掘りしていく事ってけっこう大切な事なのかもなって思います。

小清水:私は考える事は好きだからいろいろ考えて、いったんは仮定して進む事が多いけど。答えが出ないときには保留して、これ以上考えないっていう“ヤメ時”が肝心かなとも思っています。

最近はAIも自分なりに上手く活用しているんですけれど。方法として、AIに答えを求めるのではなく、まとめを記録しておいてもらう事。自分の思考した内容・仮定を、期間を空けた後日に続きからスタートしやすいように、要点まとめだけして、意見や感想は要らないよ、と頼んでます。

下野:それも知識というか経験というか、AIはこういう事が出来るからこう使おうという答えの導き出し方だよね。

小清水:(考える事の)いったん保留がないと、どうせ答えはいますぐに出ないのに、ぐるぐるって考え続けてしまい、結果メンタルを病んじゃう、なんて事もあるじゃない?

齋藤:(深くうなずく)

【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』出演声優たちが語り合う、現代社会で大切な「考えるということ」 3枚目
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——めちゃめちゃ刺さっていますね。でも、とてもわかります。

小清水:二周しても同じ考えしか出せず解決しないのに考え続けているだけの時間って、立ち止まっててそれ以上は一旦成長性が見込めない。だから、置ける強さと言うのかな。考えてる課題を一回置いちゃう、でも捨てるわけじゃなくどこかに持っている上で前に進める状態が、つえーって思って(笑)。

一同:(笑)

小清水:そうすると、意外と近い未来に答えに繋がる出来事や他人との会話があって。置いているからこそ前に進めて、別の楽しい事をちゃんと楽しめて。私はそんなメリハリみたいなものをとても大切に生きています!

下野:あと、寝る事もけっこう大切だよね。答えが出ないときこそ、寝るという行為によって脳が勝手に取捨選択してくれて、悩んでいたけれど朝起きたら「こうしたらOKじゃない?」と思える事もけっこうあるから。

小清水:うんうん。これ以上考えても答えは出ないなら「今日はここまで! これ以上は無理!」って切り上げちゃう。単純に経験が足りない可能性もあって。やってみて失敗しても、失敗のダメージ量や影響のデータが取れるのはプラスだから、今後その経験を踏まえて計算も成り立っていくというか。経験がないとわからないから、怖いし逃げられないって自分を進めなくさせてるみたいな。

鈴木:桶を落としたムハンマドにつながりますね。

下野:そういう意味では潔さは大切だよね。考えるときに考えて無理だと思った時にやめる潔さは、確かに必要だと思う。だって無理なんだもん! これ以上考えたって!

鈴木:自分が好きかどうかで考えてもいいですよね。選択肢がいっぱいあるなかで、自分が一番好きなもので選ぶ。

下野:それも大切だね。その方が興味も持てるしね。

——私もそうですが、好きな事や興味があるものを仕事にする事で、人生の知識や経験を好きなもので積み重ねられていく幸せがあるといいますか。一生かけても理解出来るかどうかわからない事を追求しているともいいますが。

関根:役者をしていると、自分の演技に満足出来る日は来ないよというお話もよく聞きます。収録後、「もっと出来たかもしれない……!」って思いながら帰るタイプなのですが、絶対満足する日は来ないのだったら、いちいちクヨクヨしていてもしょうがないから、とにかく勢いでやってみようという気概を持てるようにならなきゃなって思えました。

知識も大切ですが、経験をした時に得るものも大切だから、学びながらちゃんと経験も積んでいく。そういう意味では、シタラももちろん経験しているのですが、どちらかというと知識に固執しているなって思うところもあって。

オゴタイ様は慣習や知識に固執せず柔軟な考えを持った人だなと感じていて、この人に立ち向かうのかと思うと「シタラ、大変だぞ!」と思います。同じように私自身も凝り固まらないように、柔軟でいなきゃと感じました。

小清水:それもまた一つの経験だものね。(齋藤に対して)どう? 若者よ!

齋藤:そうですね……僕は自分の経験というよりも、先輩方に質問をしてその方の人生から意見をたくさん聞ける立場なのですが、自分の中でいろいろな道は広がっているはずなのに、受け身になってしまっている事で一歩踏み出さないと知れない事があって、自分自身にしっかり繋がっていなかったのだと反省しました。

だからとりあえずやってみる事、自分のなかの悩みは考えつつも大事な時にはいっかい振り払って、表現者として立つ時は、その責任を全うしないといけないのだなと感じました。

下野:ムハンマドが「先生が言っている事」ではなくて「僕はこういう事がしたい」と思って行動したように、いろいろな人から知識や経験談をいっぱいもらったら、自分の中で「正しいと思うもの」と「正しいと思わないもの」を選んでいかなければいけない。

いまみんなが好き勝手しゃべっている事も、自分の中では違うという瞬間があるかもしれないけれど、選んでいくのはやっぱり自分なんだよね。

齋藤:それはその考え方を実践してみて、自分の体のなかに残った感覚を第一に優先するという事ですか?

下野:そう。だからそれこそ好きなものや苦手なもの、得意不得意という事を自分で感じていくという考え方。時に逃げてもいいし。

小清水:そうそう。自分の意見とは違うなって思っても「そうなんですね!」って同意して聞ける方が、自分の物差しに偏らない情報がいっぱい収集出来て得だから。

下野:急な処世術! 俺としゃべってるときに「そうなんですね!」って言ってたら「……本当にそう思ってた?」って家帰ってから考えちゃうじゃん!

小清水:そんな深く考えなくていいんだよ!

一同:(笑)

【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』出演声優たちが語り合う、現代社会で大切な「考えるということ」 4枚目
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それぞれのキャリアに応じた考え方、経験して学ぶ事の大切さが垣間見えるトピックだったのではないだろうか。2026年7月から放送中のTVアニメ『天幕のジャードゥーガル』を見て、何を感じるのか。自分の中に湧き立った感情や考えを大切に、本作を楽しんで欲しい。

取材・テキスト/kato
(C)トマトスープ(秋田書店)/天幕のジャードゥーガル製作委員会

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