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「声をかければいいのに」新幹線で響いた大きな舌打ち。その後、座席を倒された男性が見せた反応とは

  • 2026.9.12
「声をかければいいのに」新幹線で響いた大きな舌打ち。その後、座席を倒された男性が見せた反応とは

通路の向こうで、背もたれが倒れた

旅行の帰り、新幹線で東京へ向かっていたときのことです。

朝の早い友達に合わせた便で、車内にはスーツ姿の人が多く乗っていました。

私は2人がけの通路側に座り、窓側の友達は乗ってしばらくすると眠ってしまいました。

「京都、あっという間だったね」

眠る前、友達が窓の外を見ながら言いました。

「ほんと。今度はもっと長く行きたいね」

「それいいね」

そんな話をしていたのを覚えています。

通路を挟んだ窓側には、50代くらいの男性が座っていました。

眼鏡をかけ、ひざの上に書類を広げています。特に目立つところのない、ごく普通の会社員に見えました。

男性は前の座席の背面にあるテーブル付近に、小さなゴミ袋を掛けていました。中には飲み終えたボトルや弁当の空き容器が入っています。

途中の駅で、若い会社員らしき男性が乗ってきました。

「すみません、奥いいですか」

「あ、どうぞ」

通路側の人が慌てて足を引きます。

若い男性は「すみません」ともう一度小さく言いながら窓側へ入り、カバンを網棚へ上げました。

そして座って間もなく、後ろを振り返ることなく背もたれを倒しました。

ガタン、と座席が動きます。

同時に、後ろの男性が掛けていたゴミ袋が背もたれとの間に挟まりました。

男性は書類から顔を上げました。

「…おいおい」

小さな声でしたが、明らかに不機嫌そうでした。

手にしていたペンも止まっています。

何も起きないまま、東京に着いた

次の瞬間でした。

「チッ」

大きな舌打ちが響き、近くにいた何人かが一斉に顔を上げました。

男性は挟まった袋をつかむと、少し乱暴に引き抜きました。

中のボトルがぶつかり、ガラッと乾いた音がします。

そして、前の座席の背を強く叩きました。

ドン、と一度だけ。

思っていた以上に大きな音で、私まで肩が跳ねました。

前に座っていた若い男性も、びくっと身体を動かしました。ただ、振り返ることはありません。

「…今のなに?」

音で目を覚ました友達が、眠そうな顔のまま私を見ました。

「前の人が座席倒したら、後ろの人の袋が挟まったみたい」

「え、だから叩いたの?」

「たぶん…。すごい舌打ちしてた」

友達は少し目を丸くしました。

「怖…。声かければいいのにね」

「うん。私もびっくりした」

それ以上、二人とも何も言いませんでした。

男性は何事もなかったように再び書類を開き、若い男性も前を向いたままでした。

東京に着くと、若い男性が先に立ち上がって荷物を下ろしました。

その少しあと、後ろの男性もゴミ袋を手にして通路へ出ます。

二人が何か言葉を交わすことはありませんでした。

ホームへ出てから、友達がぽつりと言いました。

「さっきの、まだちょっとびっくりしてる」

「私も。急にあんな音したら怖いよね」

座席を倒したことに腹が立ったのかもしれません。袋が挟まって、余計に苛立ったのかもしれません。

それでも、一言声をかける代わりに突然座席を叩いた、その一度の音だけは、東京に着いてからもしばらく耳に残っていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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