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「どっちか帰れってことですか?」一家庭1人の参観日に夫婦で現れた保護者。だが、先生のお願いを聞いた夫婦が選んだこと

  • 2026.9.12
「どっちか帰れってことですか?」一家庭1人の参観日に夫婦で現れた保護者。だが、先生のお願いを聞いた夫婦が選んだこと

玄関の紙に、はっきり書いてあった

保育園の玄関に貼られた案内には、「参観は各家庭1人まで」と大きく書かれていた。

感染症対策に加え、教室が狭いことも理由として添えられている。

うちでも一週間ほど前、夫とお便りを見ながら話していた。

「今回、どっちが行く?」

「俺、この前の行事に行ったし、今回はお願いしていい?」

「じゃあ私が行くね。ちゃんと見てくる」

「頼む。撮れそうだったら動画も少しお願い」

少し残念そうではあったものの、夫も人数制限があるなら仕方ないと納得していた。

当日は下駄箱の前で受付を済ませ、来客用のスリッパに履き替えた。

教室の後ろには白いテープが貼られ、保護者が立つ場所が一人分ずつ区切られている。

受付の先生も、入ってくる保護者に声をかけていた。

「こちらにお一人ずつお願いします。荷物は足もとで大丈夫ですよ」

私は一番端に立った。周囲を見ても、来ている保護者はみんな一人だった。

ところが少しして、同じクラスの子の両親が二人そろって教室へ入ってきた。

父親はカメラを持ち、母親と並んでひとつの区切りの中に立っている。

担任の先生がそれに気づき、二人のところへ近づいた。

「すみません。今日、お便りにも書かせていただいたんですが…参観は一家庭お一人でお願いしているんです」

母親が少し驚いた顔をした。

「えっ、でも二人とも仕事を調整して来たんです。せっかくの参観なので…」

父親もカメラを下ろして先生を見る。

「二人で少し見るだけでも、やっぱりだめですか?」

「どっちか帰れってことですか?」

先生は困ったように眉を下げながら、それでも小さな声で答えた。

「申し訳ありません。ほかのご家庭にも、お一人でお願いしていまして……」

母親は教室の中を見回した。確かに、周囲は一家庭につき一人しか立っていない。

それでもすぐには納得できない様子だった。

「でも、せっかく二人とも来たのに…。どっちか帰れってことですか?」

「帰っていただくというより、どちらかお一人に教室の外でお待ちいただければと思います」

「うーん…どうする?」

母親が夫を見ると、父親はしばらく黙ってから小さく息を吐いた。

「じゃあ、俺が外にいるよ。動画、撮れたら撮っておいて」

「…分かった。ごめんね」

父親は少し残念そうにカメラを下ろし、そのまま廊下へ出ていった。

先生は「ありがとうございます」と頭を下げ、子どもたちの前へ戻っていく。

ちょうどそのとき、前に座っていた子どもの一人が待ちきれないように声を上げた。

「先生、もう歌っていい?」

先生が思わず笑った。

「ごめんごめん。じゃあ、始めようか」

ピアノの音が鳴り、子どもたちの歌が始まった。

私も自分の子を探す。椅子に座ったわが子は、後ろでそんなやり取りがあったことなど知らない様子で、隣の子と顔を見合わせながら楽しそうに歌っていた。

夫婦そろって見たい気持ちは、私にも分かる。うちの夫だって、本当なら来たかったはずだ。

ただ、みんなが同じ条件で一人を選んで来ているからこそ成り立っている参観でもある。

教室の外へ出ていく父親の背中を見ながら、少し複雑な気持ちになった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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