1. トップ
  2. エピソード
  3. 「これ、頼んだのと違うんだけど」近所の定食屋で始まった苦情。だが、店長が毅然と対応した結果

「これ、頼んだのと違うんだけど」近所の定食屋で始まった苦情。だが、店長が毅然と対応した結果

  • 2026.9.12
「これ、頼んだのと違うんだけど」近所の定食屋で始まった苦情。だが、店長が毅然と対応した結果

昼のレジの前で、止まってしまった列

近所の定食屋は、昼になると近くの会社で働く人たちでいっぱいになる。

その日も席はほぼ埋まり、レジの前には会計を待つ人が何人か並んでいた。私は入口に近い席で、昼食を取っていた。

そのとき、伝票を持った男性客がレジの店員を呼び止めた。

席に運ばれてきた定食が、注文したものと違っていたらしい。

「これ、頼んだのと違うんだけど」

「申し訳ありません。すぐ確認します」

店員は伝票を受け取り、厨房へ声をかけた。まだ若い女性で、混み合う店内をほとんど一人で回っているようだった。

少しして戻ってくると、男性に頭を下げた。

「いま作り直しています。もう少々お待ちいただけますか」

「いや、時間がないんだけど」

「申し訳ありません。厨房には急いでもらっています」

「急いでるって、あと何分?」

店員が答えに迷ったように厨房を見ると、男性はさらに続けた。

「こっちは昼休みなんだよ。そんなに待てないよ」

気持ちは分からなくもなかった。昼休みの時間が限られている中で、注文を間違えられたら焦るだろう。

ただ、店員が何度謝っても男性の言葉は止まらなかった。

最初に声が上がったとき、何気なく見た壁の時計をもう一度見ると、5分近くたっていた。

会計を待つ人たちも、やり取りを避けるように少し離れたところで立っていた。

「時間がないんだけど」と、昼のレジの前で5分ほど言われ続けていた。

店長が確認して伝えた、あと3分という言葉

やがて厨房の暖簾が上がり、白衣姿の店長が出てきた。

「お待たせして申し訳ありません。店長の⚪︎⚪︎です」

男性は店長のほうを向いた。

「注文を間違えられて、ずっと待ってるんですよ。もう時間がなくて」

「申し訳ありません。いま厨房にも確認しました。あと3分ほどでお出しできます」

店長はそこで一度頭を下げた。

「こちらの間違いですので、今回のお代はいただきません」

男性は少し驚いた顔をした。

「いや、お金のことじゃないんだけど…」

「はい。ただ、3分より早くお出しするのは難しい状況です。申し訳ありません」

責めるような言い方ではなかった。ただ、できることと、できないことをはっきり伝えていた。

男性は壁の時計を見てから、小さく息を吐いた。

「…分かりました。じゃあ待ちます」

店長が厨房へ戻ると、止まっていた会計も少しずつ動き始めた。

しばらくして、湯気の立った皿を先ほどの店員が運んできた。

「大変お待たせしました。熱いのでお気をつけください」

男性は皿を受け取ると、「はい」と短く返して席へ戻った。

食べ終わって店を出るとき、男性はレジの前で一度足を止めた。

「さっきは、すみませんでした」

店員は少し驚いたように顔を上げてから、「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

注文を間違えた店にも落ち度はあるし、昼休みの残り時間を気にする男性の焦りも理解できる。それでも、焦っているときほど、同じ言葉を相手にぶつけ続けても時間が早く進むわけではない。

店長が伝えた「あと3分」という具体的な言葉で、ようやくその場の空気が落ち着いたのを覚えている。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ