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私たちの生殖器が「全身の老化ペース」を決める可能性

  • 2026.9.9
私たちの生殖器が「全身の老化ペース」を決める可能性
私たちの生殖器が「全身の老化ペース」を決める可能性 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

健康診断の帳票で「血管年齢」だけが実年齢より上だった、という経験がある人もいるのではないでしょうか。

血管は若いうちに構造の変化が速く進み、子宮は閉経のころに変化が速まります。老化の速さは臓器ごとに違い、進み方も一定ではありませんでした。

サンフォード・バーナム・プレビス医学研究所の研究チームは、40種類の組織の顕微鏡画像から構造の老化を数値にし、そのうち条件を満たす15種類について、構造がいつ大きく変わるのかを求めました。

使ったのは、970人の提供者から集めた25,306枚の組織の画像です。

同じ人の中では、消化器と男性の生殖器のように離れた臓器の老化に連動が見られ、性ホルモンとの関連が示されています。

これは21〜70歳で亡くなった人の組織を年齢ごとに比べた観察研究で、個人の老化を追いかけたものではなく、臓器の連動も相関です。

卵巣に見つかった二つの「加速の山」と、臓器同士のつながりを、研究チームは分子のデータと突き合わせて確かめています。

研究内容の詳細は2026年8月31日に『Nature Aging』にて発表されました

目次

  • 顕微鏡の画像から「構造の老化」を数値にする
  • 食道が老けている人は、前立腺も老けていた

顕微鏡の画像から「構造の老化」を数値にする

顕微鏡の画像から「構造の老化」を数値にする
顕微鏡の画像から「構造の老化」を数値にする / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

老化を測る物差しにはいろいろあり、暦の年齢を数える方法や、DNAに付く化学的な印を数える「エピジェネティックな年齢」があります。

今回の方法は、病理検査で普通に使う染色した組織の画像を、10万枚以上のスライドで学習した画像モデルに読ませ、組織の形の特徴を数値に変えるものです。

隣り合う10年ずつの年齢層で画像の特徴を比べ、1年ずつずらしながら「構造が1年あたりどれだけ変わるか」を求めると、変化が速い時期と落ち着いた時期が分かれます。

この方法は暦の年齢を当てるように訓練していないので、年齢とともに一直線に進むとは限らない変化も拾えます。

卵巣は、働きの衰え方が一直線でないことがよく知られている臓器です。閉経は50〜55歳ごろですが、卵胞の減少はそれよりずっと前の30代後半に速まり、妊孕性(妊娠するための力(生殖能力))の低下は30代前半から始まります。

卵巣の試料250点の画像から求めた構造の変化の速さには二つの山があり、35〜40歳と55〜60歳にありました。前者は妊孕性の低下、後者は閉経の時期と重なります。

同じ試料の遺伝子の働きやDNAの化学的な印を同じ方法で解析しても、この二つの山は現れませんでした。構造を見るからこそ拾えた変化だったことになります。

一つ目の山では炎症に関わる経路の働きが上がり、二つ目の山では成長因子や細胞分裂に関わる経路の働きが下がっていました。

食道が老けている人は、前立腺も老けていた

食道が老けている人は、前立腺も老けていた
食道が老けている人は、前立腺も老けていた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

40種類の組織の画像に方法を当てはめたうえで、構造がいつ変わるかの軌跡を求めたのは、年齢が形の変化の主な要因で、試料が年齢の幅にわたってそろっている15種類です。

老化が加速する時期には、臓器を問わず炎症の増加と、エネルギー産生・修復・品質管理の低下が伴っていました。

見つかったつながりの一つが、食道と前立腺です。食道に老化の徴候がある人は、前立腺でも同じ型の変化を示していました。同じ臓器の中の組織なら足並みがそろうのは予想どおりですが、これは臓器の境を越えた連動です。

研究チームは、消化器と生殖器の構造の老化が、加齢で衰えるホルモンの信号を通じて結び付いている可能性を挙げています。

卵巣で見られた構造の変化と同じ型は、調べた組織の半分以上に現れました。

手応えは大きい一方で、これは横断的な比較です。老化の速さは年齢層の違いから推定した集団の値で、一人の人を長年追いかけたものではありません。

この方法は集団の軌跡だけでなく、その年齢・その組織で予想される老化の経過から一人ひとりの試料がどれだけ外れているかも数値にします。老化が速い人や遅い人を見つけ、その差に関わる生活習慣や遺伝の要因を調べる道具になります。

もしかしたら食道が弱い方は一部元気が無いという可能性もあるのかもしれませんね。

参考文献

Our sex organs could be pacemakers for aging through our body
https://newatlas.com/imaging-diagnostics/organs-age-different-rates-one-could-be-setting-pace/

元論文

Mapping structural aging across human tissues reveals tissue-specific trajectories and coordinated deterioration
https://doi.org/10.1038/s43587-026-01200-4

ライター

天道銀河: 科学、歴史、心理、宇宙、生き物、テクノロジーなど、気になるものにはジャンルを問わず首を突っ込む雑食系ライターです。ひとつの分野を深く極めるというより、さまざまな知識を広く集め、意外なつながりを見つけるのが好きです。専門家ほど深くはなくても、好奇心の広さなら負けません。「こんな世界もあるのか」と思えるような、面白くてわかりやすい話題を届けていきます。

編集者

ナゾロジー 編集部

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