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保育園の避難訓練ってなにをするの?警察のガチ訓練に保育士が泣いた話

  • 2026.9.9

こんにちは。保育士のはるです。最近、地震や大雨のニュースを目にする機会がとても増えたように感じます。「うちの子は大丈夫かな」「もし保育園にいるときに何かあったら……」と不安になる保護者の方も多いのではないでしょうか。実は保育園では、そんな「いざというとき」に備えて、毎月欠かさず避難訓練をおこなっています。地震、火事、津波、そして最近では水害も。さらに、警察の方に協力してもらって行う「不審者訓練」というものもあります。今回は、保育園の避難訓練で実際に何をしているのか、その裏側をお伝えしたいと思います。そして、私が保育士人生でいちばん怖かった、警察官による不審者訓練の話も。正直、思い出すだけで今でも心拍数が上がります。それくらい本気の訓練でした。保護者の方には、送り出した我が子が園でどんなふうに守られているのか、少しでも知ってもらえたら嬉しいです。

保育園の避難訓練、実は毎月やっています

「避難訓練」と聞くと、小学校のときに経験した「放送が鳴ったら机の下に隠れて、校庭に整列する」あの訓練を思い出す方が多いかもしれません。保育園でも基本は同じですが、0歳から6歳までの自分で動けない子もまだまだ多いです。だからこそ、保育園の避難訓練は「毎月」「想定を変えながら」実施するのが基本。年に1回とか、学期に1回ではありません。月齢の低い子どもたちにとって、「体で覚える」ことがなにより大切だからです。

想定は地震・火事・津波・大規模震災……様々

まず基本となるのが、地震・火事・津波・大規模な震災を想定した訓練です。地震を想定した訓練では、「まず机やテーブルの下に体を隠す」「頭を守る」という基本行動を繰り返し練習します。0歳児クラスでは保育士が布団やクッションで子どもを覆うところから始まり、年長になると自分で防災頭巾をかぶり、指示がなくても身を守る姿勢が取れるようになっていきます。火事を想定した訓練では、「煙を吸わないように口や鼻をハンカチやタオルで覆う」「低い姿勢で歩く」といった行動を練習します。実際に煙を焚くわけにはいかないのですが、園によっては発煙筒を使う訓練を年1で行っていると聞いたこともあります。津波や大規模震災を想定した訓練では、避難場所まで実際に歩いて移動する練習をします。私の勤める園では近隣の高台にある小学校まで行き、実際にそこまでのルートを子どもたちと一緒に歩いて確認しています。乳児クラスはお散歩カートを高台まで押していきますが、夏にこの避難は無理があるのではないかと思う時も正直あります……。

新たに増えた想定「水害」への備え

そしてここ数年、想定に新しく加わったのが「水害」です。線状降水帯や台風による大雨のニュースを目にすることが増えましたが、それは保育園にとっても他人事ではありません。水害の怖いところは、地震と違って「じわじわと迫ってくる」ことです。突然揺れるわけではなく、雨が降り続き、川の水位が上がり、気づいたときには周囲が浸水している、というケースが想定されます。だからこそ、地震とはまったく違う避難行動が必要になります。実際に先日の訓練で取り入れたのが、「垂直避難」と呼ばれる考え方です。外に避難するのではなく、園舎の上の階へ移動して、水が引くまで、あるいは保護者のお迎えが来るまでその場で待つという行動です。訓練のときは、実際に0歳児クラスから順番に、保育士が抱っこやおんぶをしながら、あるいは年長さんは自分の足で階段を上り、2階や3階の部屋へ移動します。そしてそのまま「ここでお迎えを待つよ」という想定で、絵本を読んだり手遊びをしたりしながら過ごす時間まで含めて訓練しています。私の園はビルインの保育園だったのでできる訓練ですが、玄関が1階、水没したらどうするか……というのは一度考える必要があるかと思います。以前はここまで丁寧に水害を想定していませんでした。しかし、ここ数年の大雨の被害を見て、園全体で「これは他人事じゃない」と、訓練メニューに加わった経緯があります。子どもを預かる立場として、想定しなければならない「もしも」がどんどん増えているのを肌で感じています。

時間帯や状況を変える理由

もうひとつ大事にしているのが、「毎回シチュエーションを変える」ということです。お昼寝中に地震が来たら? 園庭で遊んでいるときに火事の放送が鳴ったら? 散歩に出ているときに緊急地震速報が鳴ったら?こうした「もしも」は、想定するタイミングによって子どもたちの反応もまったく違います。お昼寝中の訓練では、眠っていた子がびっくりして泣き出してしまうこともありますし、散歩中の訓練では、道路のどのあたりに避難すればいいのか、保育士自身も瞬時に判断しなければなりません。「決まった時間に、決まった手順で行う訓練」だけでは、本当に災害が起きたときには対応できません。だからこそ、あえて子どもたちにも保育士にも「予告なし」で行う訓練を織り交ぜながら、どんな状況でも体が動くように準備しています。

見落とされがちだけど大事な「アレルギー児対応」

避難訓練というと、どうしても「逃げる・隠れる」という行動そのものに注目が集まりがちですが、実はその裏で欠かせないのが、アレルギーを持つ子どもへの対応です。

なぜビブスをつけるのか

私の勤める園では、避難訓練のとき、食物アレルギーを持つ子どもに専用の色つきビブス(ゼッケンのようなもの)を身につけてもらっています。これは、災害時に配布される非常食や炊き出しなどで、誤ってアレルギー対応が必要な子どもに食べ物を渡してしまうことを防ぐためです。平常時であれば、担任がその子の顔と名前とアレルギー内容をすべて把握していますが、災害時は違います。大規模な災害が起きたときは、他クラスの保育士が対応にあたることもありますし、外部からの支援者や、自治体の職員が食料を配ることもあります。そのとき、「この子はアレルギーがある」とひと目でわかるようにしておかないと、命に関わる事故につながりかねません。ビブスの色は園によって異なりますが、たとえば「赤=乳製品アレルギー」「黄=卵アレルギー」というように、アレルギーの種類ごとに色分けをしているところもあります。訓練のたびに、対象の子どもたちには「今日はこれを着けて逃げようね」と伝え、本人にも「自分は特別な色を着けている」ということを、負担に感じさせない範囲で自然に理解してもらうようにしています。

誰が見ても分かる仕組みが命を守る

大事なのは、「担任が把握しているから大丈夫」ではなく、「誰が見ても一目で分かる」状態を作っておくことです。保育士は毎年クラス替えがありますし、パートの職員や、応援に入る他クラスの保育士もいます。さらに言えば、災害時にその場にいるのが必ずしも普段からその子を知っている大人とは限りません。避難所では園の関係者以外の大人もいます。ビブスのような視覚的な工夫は、「知っている人がいなくても、安全を守れる仕組み」を作るためのものです。

引き取り訓練はなぜ必要?園の「合言葉」の工夫

避難訓練の中でも、保護者の方に直接関わってもらうのが「引き取り訓練」です。実際に園まで来てもらい、子どもを引き取って帰るところまでを体験してもらう訓練です。保護者の中には「仕事なのに休まなければいけない」「確認するのが面倒……」と思われる方もいるかもしれませんが、大事な訓練の一つです。

引き取り訓練の目的

災害が起きたとき、園はできる限り安全な場所に子どもたちを避難させます。でも、いつまでも園に子どもたちを留めておくわけにはいきません。保護者と連絡がつき、迎えに来てもらえる状態になったら、できるだけ早く「誰が」「どの子を」「間違いなく」引き渡すかが重要になります。ここで一番怖いのは、「誰でも子どもを連れて帰れてしまう」状態です。災害時は園も混乱していますし、普段は面識のない祖父母やご近所の方が代わりに迎えに来ることもあります。そのときに、きちんと本人確認ができないと、最悪の場合、まったく関係のない人に子どもを渡してしまうというリスクさえあります。だからこそ、「訓練」として実際に手順を確認しておくことが欠かせません。

保護者の本音と、園側の工夫

正直に言うと、引き取り訓練は保護者の方にとって「わざわざ仕事を抜けて園まで来ないといけない」「面倒だな」と感じられてしまいがちな行事だと思います。私たちもそれは重々承知しています。保育園側も「誰の祖父母?」「今誰と連絡取れてる?」「職場から歩いてきたら3時間かかるみたいだよ…」と提出書類を一つ一つ確認する大変な作業でもあります。だからこそ、園としてはできる限り「意味のある時間」にしたいという工夫をしています。その一つが、「合言葉」を使った引き渡しの仕組みです。これは子どもの園が実際に行っていたものですが、祖父母など普段送迎する機会がない方は提出いただいている書類や本人確認書類などを通してチェックをしながら、実際に避難の際に通知するアプリや災害専用伝言ダイヤルに保護者が本当に確認したか、という部分をチェックするために取り入れました。ちなみに合言葉は毎年スタッフの好きな食べ物なので、簡単には予測できません。私の時は冷やし中華でした(笑)。

一番怖かった、警察官による「不審者訓練」

ここまで、地震や火事、水害、引き取り訓練についてお話ししてきましたが、私が保育士人生の中でいちばん怖かったのは、警察に協力してもらって行った「不審者訓練」でした。

公園にやってきた「不審者」

その日は、普段通り近くの公園にお散歩に出かけるいつもの一日のはずでした。でも実はこの日、事前に園長先生と警察の方だけが「今日、公園で不審者訓練をします」という打ち合わせをしていて、担任の私たち含め、現場の保育士にはあえて知らされていませんでした。というのも、「訓練だと分かっていると、本気の対応にならない」という理由からです。私たち保育士自身が、本当に「何か起きた」と感じられる状態で訓練をすることで、初めて実践的な動きができるという考え方でした。公園で子どもたちが遊んでいると、見知らぬ男性が公園に入ってきました。私服の警察官の方だったのですが、もちろん私たちはそのことを知りません。最初はとても自然で、「こんにちは、いい天気ですね」というような、ごく普通の声かけから始まりました。子どもに近づいて「一緒に遊ぼうか」と話しかけるような、よくある「感じのいい大人」という雰囲気です。私は内心「ちょっと距離感が近いな」と警戒しながらも、まだ「変質者」というほどの緊張感はありませんでした。

模擬ナイフが出てきた瞬間

ところが、ここからが本気でした。その男性の態度が徐々に変わっていき、子どもに近づく距離がどんどん縮まっていきます。一緒にいた先輩が「あの、少し離れていただけますか」と声をかけたところで、その方は突然、鞄から模擬のナイフを取り出したのです。あの瞬間のことは今でも鮮明に覚えています。「本当に?」という驚きと、「あ、これ訓練だ(ナイフが黒いゴム製だったので理解した)」という気づき、「子どもを瞬時に逃げさせたいけど、連携ができない」というまさに思考回路はショート寸前でした。とはいえ体が勝手に動いて、とにかく子どもたちを自分の後ろに回し、申し訳ないけど変質者は先輩に任せました。近くにいた担任にも声をかけ、一斉に子どもたちを抱きかかえて、公園の出口の方向へ誘導……数名何が起きているかわからない子どもたちが変質者(役の警察官)に近づいて行ったときにはあわてましたが、先輩という尊い存在のおかげで、後ろはすぐに動けたように感じます。模擬とはいえ、本物さながらの刃物を目の前に突きつけられる恐怖は、経験したことのない人には想像がつかないと思います。頭では「守らなきゃ」と分かっていても、足がすくむ感覚を初めて味わいました。そして、その場にいた保育士のひとりが、恐怖のあまり涙を流してしまいました。訓練が終わった後、「頭では分かっていたのに、体が全然言うことを聞かなかった」と話していたのを今でもよく覚えています。余談ですが、もともと予定ではナイフ出す予定はなかったようで「いやぁすいません、本気出しちゃった」と警察の方が笑いながら講評をしていただいたことは忘れもしません。

「いざというとき」が増えた今だからこそ

地震、火事、津波、そして最近増えた水害への備え。アレルギー児を守るための工夫。引き取り訓練の意味。そして、警察に協力してもらったガチの不審者訓練。正直、こんなにたくさんの「もしも」を毎月想定しながら働くのは、決して楽なことではありません。でも、最近のニュースを見るたびに、「これくらい本気でやっておいてよかった」と思う場面が増えています。大雨による被害、痛ましい事件、いつどこで何が起きてもおかしくない時代になったと感じます。保護者の皆さんにとって、避難訓練や引き取り訓練は、正直「面倒な行事」に見えることもあると思います。でも、その裏側では、保育士たちがこれほど本気で、子どもたちの命を守るために準備をしています。そして何より、こうした訓練は保育園だけで完結するものではありません。ぜひご家庭でも、避難訓練や引き取り訓練の日をきっかけに、「もしも」の話をしてみてほしいと思います。

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【Profile】はる(@hr_hoiku)

 (1712313)

小4女子と小1男子の2児のママ。新設保育園の立ち上げも経験した12年目の現役保育士。現場の経験を生かして、保育園側の視点と保護者側の視点からの情報や、子育てが少しでもラクになる保育士のハックを発信。保育士、幼稚園教諭1種、認定ベビーシッターの資格も保有。

Instagram:はる(@hr_hoiku)

Blog:保育士ママのリアルな毎日

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