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七夕まつり|いつまで自分でせいいっぱい?【佐津川愛美】

  • 2026.9.6

一人ではたどり着けなかった場所へ

出張で行った仙台。ちょうど七夕まつりの時期だった。仙台の七夕まつりは、今回が初めて。せっかくだから見て帰りたいなぁと話していたら、レッスンの仕事を終えたあと、七夕飾りを見ながら駅へ向かえるルートを選んでくださった。

商店街には大きな七夕飾りが、ずらりと並んでいた。

想像していたより、ずっと大きい。長い。見上げるほどの高さから、色鮮やかな飾りが垂れ下がっている。その下を、暖簾をくぐるようにして歩いていく。

華やかなもの、流行りのもの、面白いもの、かわいらしいもの。凝ったデザインのものもあれば、手作りの温かさが伝わってくるものもある。会社やお店、学校ごとに作られた作品もあった。

長く続く駅までの道を、何度も立ち止まりながら歩いた。

どれだけの人が、この飾り作りに携わっているのだろう。デザインを考える人がいて、材料を集める人がいて、ひとつひとつ手を動かす人がいる。細かい飾りを切ったり、貼ったり、つなぎ合わせたり。きっと華やかに飾られるまでには、目立たない作業がたくさんある。

そして、完成を楽しみに待つ人がいる。毎年ここには、どれだけの物語があるのだろう。

今年はどんなものを作ろうかと話し合った時間。うまくいかずに作り直した時間。みんなで完成を喜んだ瞬間。私が知らないたくさんの人の時間が重なり合い、大きな七夕飾りとなって、街を彩っていた。

一人では作れない景色だなぁ。

そんなことを思いながら歩いていると、今回のレッスンに参加してくれた子たちと、そのお母さんに偶然遭遇した。

仙台の街の中で知っている顔を見つけると、それだけで嬉しくなる。一緒に駅まで歩くことになった。

歩きながら、お母さんが仙台のおいしいものを教えてくれた。

「シーラカンスモナカがおすすめです!」

とにかくおいしいらしい。聞けば聞くほど気になったけれど、お店は私が向かう方向とは違いそうだった。

「じゃあ、またの機会に行ってみます」そんな話をしながら駅に着くと、突然、お母さんが声を上げた。

「あっ!あっ!ほら!シーラカンス!!」

見ると、駅でちょうどポップアップショップが開かれていた。

「たまに駅で売っているとは聞いていたけど、私も見るの初めて!これはラッキーですよ!」

それならばと、みんなで列に並んだ。一人だったら、そのお菓子の存在すら知らなかった。たとえお店を見つけても、何のお菓子かわからないまま通り過ぎていただろう。

でも、その日はみんなで並んだ。どんな味なんだろうと話したり、どれを買おうかと迷ったり。買うまでの時間まで、なんだか楽しかった。

冷やして食べるのがおススメと教えてもらって、翌日食べたシーラカンスモナカは、とびきりおいしかった。

あんこの中に塩気のあるバターが入っていて、甘さとしょっぱさが口の中で重なる。一口食べて、「これは力説したくなる」と思った。

知らなかったものを、人に教えてもらう。一人では選ばなかったものを、誰かと一緒に選んでみる。

そうすると、自分の世界に、それまで存在していなかった味や景色が増えていく。

七夕飾りも、きっと同じなのだと思う。一人では作れないものを、誰かと話し、考え、手を動かしながら作っていく。そこに、見上げて楽しむ人たちが集まって、街全体がお祭りになる。

一人で過ごす時間も好きだ。自分の好きな方向へ、自分の速さで歩ける気楽さがある。

けれど、人といることでしか広がらない世界も、確かにある。人と話す。人に教えてもらう。人と一緒に笑う。

そうやって私たちは、自分一人ではたどり着けなかった場所へ、連れていってもらうのかもしれない。

初めて見た仙台の七夕飾り。初めて食べたシーラカンスモナカ。

そのどちらも、みんなのお陰で楽しめた。ずっと心に残る仙台の思い出。

【楽】圧巻!いろんなおまつり。行きたいな。
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