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「1,500円も払うのに半日しか持たないのは詐欺だ!」和菓子店で値引きを迫る男性。値引きした店主に感じた違和感とは

  • 2026.9.7
「1,500円も払うのに半日しか持たないのは詐欺だ!」和菓子店で値引きを迫る男性。値引きした店主に感じた違和感とは

ガラスのケースの前で、声が変わった

数年前、近所の小さな和菓子屋でのことだ。

ガラスのショーケースには、季節の生菓子がきれいに並んでいた。私は来客用のお菓子を買うつもりで、夕方前に店へ入った。

私の前には、男性が一人いた。

五個入りの詰め合わせを指して、店員に尋ねていた。

「これ、全部今日までなの?」

「はい。生菓子ですので、本日中にお召し上がりください」

店員がそう答えた瞬間、男性の声が大きくなった。

「1,500円も払うのに半日しか持たないのは詐欺だ!」

細長い店の奥まで聞こえるような声だった。さっきまで耳に入っていた店内の音楽が、急に遠く感じられた。

「だったら安くしろよ。3割引くらいにできるだろ」

店員は困った顔をしながら、「申し訳ありません。こちらの商品は通常、お値引きしておりません」と答えた。

けれど男性は納得しなかった。

「今日中に食べなきゃいけないものを、普通の値段で売るのか」

店員が何度説明しても、同じ話に戻ってしまう。

後ろに並んでいた人が、そっと一歩下がった。新しく入ってきた客も、レジの様子を見て、そのまま店を出ていった。

私も財布を持ったまま立っていた。生菓子なら日持ちしないのは珍しいことではない。

そう思っていても、あの大きな声を前にすると、何も言えなかった。

しばらくして、奥から店主が出てきた。

「申し訳ありませんが、生菓子ですので、どうしても日持ちはしないんです」

「そんなことは分かってる。だから安くしてくれって言ってるんだ」

店主も何度か同じ説明をした。それでも話は終わらず、気づけば二十分近くたっていた。

最後に店主が出した答え

結局、店主はその詰め合わせを半額にすると伝えた。

男性はようやく声を落とし、代金を払って箱を受け取ると、そのまま店を出ていった。

急に店内が静かになった。

私の番になると、店主が頭を下げた。

「長いことお待たせして、すみませんでした」

「いえ、大丈夫です」

そう答えるのがやっとだった。

家に帰ってからも、あの二十分のことが引っかかっていた。

最初は、あれだけ強く言えば値引きしてもらえるという結果になったことが嫌だったのだと思う。

でも、それだけではなかった。

今になって思うと、店主は男性に納得してもらうことより、長く待っている私たちも含めて、このやり取りを終わらせることを選んだのかもしれない。

そう考えると、あの半額は男性のためだけではなく、後ろで黙って待っていた私たちを帰すためのものでもあったように思えた。

私は何も悪いことをしていない。それでも、何ひとつ言えずに立っていた自分のことまで思い出してしまう。

その店は今もある。前を通るたび、私はショーケースより先に、レジの前に列ができていないかを見てしまう。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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