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7人がけの座席を独占するように眠る男性。「あそこ、なんなんですか」空席だと思って近づいた乗客が、次々と足を止めた

  • 2026.9.7
7人がけの座席を独占するように眠る男性。「あそこ、なんなんですか」空席だと思って近づいた乗客が、次々と足を止めた

座れる、と思った朝だった

平日の朝、いつもの時間に出勤していたときのことだ。

一つ前の駅で人がどっと降り、車内が急にすいた。

ずっとつり革につかまっていた私は、ようやく座れると思って目の前の座席へ向かった。

七人がけの長い座席だった。

少し離れたところから見ると空いているように見えて、私はどこに座ろうかと考えながら、かばんを持ち直した。

ところが、一歩近づいたところで足が止まった。

座席には一人の人が横になっていた。頭から足まで座席の上に伸ばし、七人がけをほとんど一人で使っている。

電車が揺れても、駅に停まっても、その人はほとんど動かなかった。

「7人がけの席を1人で使って、微動だにしない人がいた」

あとで人に話すとき、私はそう説明した。

どういう事情でそこに横になっていたのかは分からない。ただ、その姿を見た瞬間、座ろうと思っていた気持ちはすっかり消えてしまった。

近づいた人が、同じところで足を止める

私は少し離れた場所に立つことにした。ほかにも何人か立っていたが、誰も横になっている人へ声をかける様子はなかった。

次の駅で、新しく何人かが乗ってきた。

そのうちの一人が空いているように見える座席へ向かう。けれど、近くまで行くと私と同じように足を止めた。

少し迷ったあと、その人は近くに立っていた乗客へ小さな声で聞いた。

「あそこ、なんなんですか」

聞かれた人も座席のほうを見て、困ったように答えた。

「横になってる人がいるんですよ」

「そうですよね…」

それだけ言うと、その人も結局立ったままだった。

そのあとも、空席だと思って近づいては足を止める人が何人かいた。けれど、少なくとも私が乗っていた間、横になっている人へ直接声をかける人はいなかった。

怒鳴る人もいなければ、注意する人もいない。ただ、その座席だけには誰も座れないまま、電車は駅をいくつも通り過ぎていった。

帰りの電車で思い出した、朝の光景

その日の帰り、私はまた同じ路線に乗った。

朝とは違う車両だったが、乗り込んで少しして、思わず座席のほうを二度見した。

そこにも、一人で長い座席に横になっている人がいた。

朝に見た人と同じ人物だったのかは分からない。

服装まで細かく覚えていたわけでもない。ただ、長い座席に体を伸ばしている姿があまりにも似ていて、朝の光景が一気によみがえった。

私は少し離れた場所に立ちながら、朝もこんなふうに、みんな近づいてから困った顔をしていたなと思った。

電車の座席は、本来なら何人もの人が使える場所だ。それでも、見知らぬ相手に声をかけるのは意外と勇気がいる。

私自身も結局、何も言えないまま目的の駅で降りた。

今でも朝の電車で長い座席を見ると、ときどき思い出す。座れると思って近づいた人たちが、一人ずつ同じ場所で足を止めていた、あの日の車内のことを。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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