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歌に救われ、催眠療法で解放された––––【EPOさん】が母との傷を越えてカウンセリングスタジオを開くまで

  • 2026.9.4

歌に救われ、催眠療法で解放された––––【EPOさん】が母との傷を越えてカウンセリングスタジオを開くまで

幼少期に母親に受けた虐待や深いトラウマを乗り越え、カウンセリングスタジオを開業したEPOさんは、セラピストして多くの人の心を癒している。そして自らの傷と向き合うことで、新たな音楽の境地を切り開いていった。

催眠療法で呪縛から解き放たれる

EPOさんは音楽活動に加えて、2004年にはカウンセリングスタジオ「MUSIC&DRAMA」を開業した。セラピストとして心や声のカウンセリングを行っている。こうした活動を始めた背景には、長年苦しんできた母親との関係による心の傷、そこから抜け出せず、人生さえも諦めようとした自身の体験がある。

2019年、「婦人公論」のインタビューにて、EPOさんは幼少期から境界性パーソナリティー障害を持つ母親による虐待を受けていたことをカミングアウトしている。物心がついた頃から怒られ、罵られ、時には暴力を振るわれることもあり、いつしか「全部悪いのは私」と自分を責めるようになってしまった。

「家のゴタゴタがあった時、音楽が私の支えでした。歌を作っている時は嫌なことも忘れられるし、感情をシフトしてくれるのが音楽でした。それがなかったら私はもっと大変だったと思います」

音楽によってなんとか心を保っていたものの、その心の奥底には深い傷が残っていた。浴びせられ続けた母親の否定的な言葉が頭の中を駆け巡り、自己肯定感を持てずにいたという。そんな精神的な呪縛から自身を解き放ってくれたのが催眠療法だった。

「友人が父親との関係で悩んでいて催眠療法を受けると言って、良い先生を探してきたんです。調べてみたら催眠療法の第一人者の先生で、私も母のことで診てもらおうと思いました。実際に催眠療法を受けたら自分の中にこんなにもリリースできない感情があったんだなってことに気がついて、自分の思い込みが外れて、背負っていたものが下ろされ、とっても生きやすくなったんです」

催眠療法、カウンセリングを受けて、EPOさんは過去のトラウマから立ち直ることができた。そして「私と同じように心に悩みを抱える人たちが前向きに生きられるようにお手伝いをしたい」と考え、勉強して資格を取り、カウンセリングスタジオを開業したのだった。

大嫌いだった母に感謝できるようになった

2004年の開業を機に、様々なクライアントと接するようになり、さらに知識を深めたいと考えたEPOさんは、2006年に渡米してNASAの科学者でもあったセラピストのバーバラ・アン・ブレナンが設立したバーバラ・ブレナン・スクール・オブ・ヒーリング(通称BBSH)に入学。スピリチュアルな手法にとどまらず、物理学、心理療法、解剖生理学を融合させた具体的で科学的なカリキュラムでヒーリングを学んだ。

「ある時、差別というテーマの授業がありました。ベネズエラの人が白人社会に入っていって、すごく差別を受けたというプロセスを先生が目の前でやるんです。それを聞いていると、いろんな人が自分に思い当たるエピソードで反応を起こしていくんです。私もすごく反応が出て、先生に『エイコ、かかってきなさい』と呼ばれました。布団を持った先生に泣きながら、怒りながらぶつかっていくんです。他の10人くらいの生徒が先生を後ろから支えているんだけど、それを押し倒してしまいました。先生に『あなたはこれだけ強い力を持っているの。忘れないで』と言われて、私の中にこれだけのライフフォースがあったということを知りました。本当に素晴らしい学校でしたね」

過去に起こった事実を変えることはできないが、見方、受け取り方を変えることで、それまでとは違う感情を持つこともできるようになった。大嫌いだった母親への思いも変化している。

「私は母親のことが大嫌いでしたけど、産んでもらって、健康なボディーといい声をもらって、育ててもらったんです。ということは、私の好きなやり方はではなかったけど、ちゃんと愛されていたんだなということがわかるようになりました。父も母といる時は急に態度が変わって、さっきまでは私の味方だったのにどうして母の味方をするの?と思うこともあったけど、母の味方をしないと私がもっと攻撃されるからそうしてたんだなとわかった。俯瞰してみると、私は憎まれていたわけではなくて、それなりのやり方で愛されていたんだと思えるようになって、感謝ができるようになりました」

自らの壮絶な体験と向き合い、深いトラウマを乗り越えたEPOさん。傷を負ったからこそ身につけた深い共感力と、癒しのスキルはカウンセリングを通じて、悩める人々の救いとなっている。そして、内なる自分と向き合い、人に寄り添うことで、彼女が紡ぐ音楽は新たなステージへと突入していった。

PROFILE
EPOさん・歌手

えぽ●1960年東京都生まれ。1980年3月、シュガー・ベイブのカヴァー「DOWN TOWN」でデビュー。人気バラエティー番組「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマとなった「土曜の夜はパラダイス」、資生堂CMソング「う、ふ、ふ、ふ」など、数々のヒット曲で人気を博す。1987年9月レコーディングで渡英。その後、当時ヨーロッパ最大のレコード会社Virgin UKと契動。活動の場をLONDONに移す。帰国後は通常のホールコンサートだけでなく、教会、病院、学校などでもライブ活動を行う。2025年にデビュー45周年を迎え、オリジナルアルバム『EPOFUL』をリリースした。また、セラピストの資格も有し、「歌」「音楽」を通じてのカウンセリングも行っている。カウンセリング・スタジオ Music &Dramaの予約、問い合わせはTEL046-877-5653 music.drama@eponica.netまで。

【Information】EPO コンサートツアー 2026 〜 ALL EPO SONGS リクエスト・ライヴ〜

大阪 9月23日(水・祝) NHK大阪ホール 16:30開場 17:30開演
名古屋 9月26日(土) COMTEC PORTBASE 16:30開場 17:30開演
東京 9月29日(火) LINE CUBE SHIBUYA 17:30開場 18:30開演


https://epo-live.com/

撮影/本間寛 取材・文/佐久間一彦

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