1. トップ
  2. 他界した親友の夫に悩まされる70代女性。「干渉はやめて」と言っていい? 美輪明宏さんの答え

他界した親友の夫に悩まされる70代女性。「干渉はやめて」と言っていい? 美輪明宏さんの答え

  • 2026.9.3

他界した親友の夫に悩まされる70代女性。「干渉はやめて」と言っていい? 美輪明宏さんの答え

2026年6月、老衰のため91年の生涯を閉じた美輪明宏さん。人間関係の悩み、老いへの不安、生き方への迷い——。どんな相談にも、愛と人生への深い洞察をもって向き合ってきました。朝日新聞beの連載「悩みのるつぼ」から、美輪さんの回答をまとめた『ほほえんで生きるための人生相談』の一部をお届けします。第1回は、亡くなった親友の夫との関係に悩む、70代女性の相談です。

【相談】他界した親友の夫に悩まされる(女性・70代)

70代の女性です。7年前に親友を亡くし、そのご主人のことで悩んでいます。亡くなった親友宅に、別の友人とともに訪ね、仏壇に手を合わせるなどしているうち、ご主人と親しくなりました。女二人男一人の三人で、彼女の生前の話などで盛り上がり、近所に友人がいないご主人は「嫁が残してくれた宝物」と言って、私たちを友人だと思うようになりました。

互いに同性のように接し、三人で旅行にも出ました。ただ、いくら他界した親友のご主人とはいえ、そんな関係に違和感を覚え、私は二人からの誘いを断るようになりました。

その二人には資産が十分にあり、年金暮らしの私と夫とは金銭感覚も違います。食事の誘いを断るうち、二人からは引きこもり呼ばわりされ、「そんな人生ではダメだ。もっと出歩かないと」と言われました。私は何度も「放っておいて」と言いましたが、聞いてくれません。

1年ほど前から、彼が私の家の真向かいにあるジムに通い始め、「古くなった家の外観を修理しないのか」「車がずっと止まったままだけど、家で何をしてるんだ」などと口出しするようになりました。彼がジムにいる間は外に出られず、チャイムが鳴れば居留守を使い、嫌悪感で心臓がバクバクします。まるで監視されているようです。

夫は相談にのってくれません。どうすればいいでしょう。

【回答】なぜ嫌か、はっきり伝えましょう

今回の相談者の親友のご主人については、妻に先立たれて寂しい、という面もあるのかもしれません。しかし、これは確かに相当困った人だと思います。

相談者の方は「放っておいて」と言うだけでなく、なぜ放っておいてほしいのか、理由についてもはっきりと伝えた方がいいかもしれませんね。こういったタイプの方は、そこまで言わないと分からないのでしょう。「干渉はやめてください。私には私の生き方もある。私はあなたたちの生き方に対し、口出ししないし、あなたと私では、経済力も体力も違う」と。

そもそも人間という生き物は、何をするにしても、すべてにおいて好みが違います。価値観が何から何まで違うんだから、自分と同じ感覚で他人に押しつけるのは、いわば人間関係におけるファシズムであって、これは自由民主主義的とは言えません。

「あなたはどうですか? 行きたくない所に誘われて、嫌なのに行きますか? 私は行きたくないのです。あなただって同じでしょ?」。我慢して黙っていないで、はっきりとした口調で、そう伝えてみませんか。

それでもダメなら、こんな方とは今後いっさい、お付き合い願わなくてけっこうですよね。きっぱりと「あなたにかまわれることがストレスで、鬱に近い状態になっているのです。あなたは親切心で誘ってくださっているのかもしれないけれど、本当に、心の底から迷惑なのです」と言うべきです。

かの有名な中国の思想家、荘子は「君子の交わりは淡きこと水のごとく、小人の交わりは甘きこと醴(甘酒)のごとし」と言いました。つまり、きちんとした大人同士の付き合いというものはあっさりとしていて、だからこそ長く続くのです。人間関係は、本来そうあるべきです。小人物同士の付き合いほど、べたべたとしているのです。

人格的にできた人たちのお付き合いは、お互いに一定の境を越えません。その境を越えてしまうと、戦争になりかねないからです。

相談者は親友のご主人に対して、「親切でおっしゃっているかもしれませんが、それはストーカー行為であって、ことによっては法律違反にもなりますが、もしこのままエスカレートするのであれば、公的機関に相談しなければいけなくなってしまいます」といった程度のことを申し上げても、よろしいのではないでしょうか。

※この記事は『ほほえんで生きるための人生相談』美輪明宏著(朝日新聞出版刊)の内容をウェブ記事用に再構成したものです。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ