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「どこにも書いてないじゃないか」枯山水の庭に踏み込んだ団体客。だが、寺の人が静かに声をかけると

  • 2026.9.3
「どこにも書いてないじゃないか」枯山水の庭に踏み込んだ団体客。だが、寺の人が静かに声をかけると

静かな庭を眺めていた休日

秋の休日、私は旅行先で立ち寄った寺院を見学していました。

境内には白砂がきれいに整えられた庭があり、私は縁側から静かに眺めていました。砂に描かれた模様が美しく、しばらく何も考えずに見ていたほどです。

その少し前、境内へ向かう途中で、数人のグループとすれ違っていました。

かなり賑やかで、周囲をあまり気にしていない様子だったので、なんとなく印象に残っていたのです。

その人たちが、しばらくして庭の近くまでやって来ました。

白砂の中へ入っていった人たち

最初は私と同じように庭を見るのだと思っていました。

ところが、一人が靴を脱ぐと、そのまま白砂の中へ足を踏み入れたのです。

「えっ…そこ、入るところじゃないですよね?」

思わず、近くにいた夫婦らしき参拝客と顔を見合わせました。

その後も何人かが続き、砂の上に立って写真を撮り始めます。

きれいに整えられていた模様には、少しずつ足跡が残っていきました。

さすがに見過ごせず、私は縁側から声をかけました。

「すみません。そこ、入らないほうがいいと思いますよ」

すると、一人がこちらを振り返りました。

「え?でも、どこにも入るなって書いてないじゃないか」

少しいら立ったような口調でした。

「いや、でも…庭ですし、砂もきれいに整えてありますから」

そう返すと、今度は別の人が面倒そうな顔をしました。

「写真だけだから。すぐ出るよ」

そう言われると、それ以上強く言うこともできません。

近くにいた年配の女性も、小さな声で言いました。

「あれはちょっと困るわね…」

周囲の人たちも気になっている様子でしたが、誰もどう声をかければいいのか迷っているようでした。

寺の人がかけた言葉

やがて、様子に気づいた参拝客の一人が、その場を離れて寺の方を呼びに行きました。

しばらくすると、寺の方が庭までやって来ました。

足跡のついた白砂を見ると、少し驚いた表情を浮かべましたが、声を荒らげることはありませんでした。

「すみません。こちらの庭には入れないんです。外へ出ていただけますか」

すると、一行の一人が不満そうに答えました。

「でも、入っちゃいけないって分からなかったんですよ」

寺の方は責めるような言い方はせず、静かに続けました。

「分かりにくかったのでしたら申し訳ありません。ただ、皆さんに外から見ていただいている庭ですので、お願いします」

その言葉を聞いて、一行もしばらく顔を見合わせていました。

やがて一人が、少し気まずそうに口を開きました。

「……分かりました。すみません」

ほかの人たちもそれ以上は言い返さず、順番に庭から出ていきました。

寺の方は足跡の残った砂を確認しながら、近くにいた私たちにも「お騒がせしました」と頭を下げました。

もちろん、案内が分かりにくかった部分もあったのかもしれません。

それでも、きれいに整えられた庭を見れば、自由に入っていい場所ではないことは想像できたはずです。

少しずつ砂が整え直されていくのを見ながら、私はようやくほっとしました。

静かに庭を眺める時間は、それからしばらくして戻ってきました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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