1. トップ
  2. 「ミラノデザインウィーク2026」進化を続けるミラノサローネ会場のハイライトをプレイバック

「ミラノデザインウィーク2026」進化を続けるミラノサローネ会場のハイライトをプレイバック

  • 2026.8.31
ERCOLI GIANCOLA

31万人以上の来場者を迎えたミラノサローネ国際家具見本市(ミラノサローネ)。ギャラリーや建築家も加わり、今年はデザインの裾野をさらに広げていた。『エル・デコ』2026年8月号より。

Saverio Lombardi Vallauri

Salone Raritas

世界各国の著名ギャラリーが集結

今年のミラノサローネで最も注目を集めたのが、新展示「サローネ・ラリタス」だ。ミラノのギャラリー、ニルファーをはじめとする有数のデザインギャラリーやヘルツォーク&ド・ムーロンなどの建築事務所が集まり、リミテッドエディションやヴィンテージなど、コレクタブルな家具やオブジェを展示するという初の試みだった。近年ではホテルなどの施設や高級レジデンスに、アートと同様にコレクタブルな家具を取り入れる傾向が高まっており、この流れを汲んだ新たなプラットフォームとして誕生した。会場のデザインはフォルマファンタズマが手掛けており、来場者はアートギャラリーのように回遊しながら鑑賞していた。

<写真>ミラノを代表するデザインギャラリー、ニルファーも出展。

TOMOYUKI TSURUTA

<写真>4月13日から18日まで広大なイベント会場、ロー・フィエラミラノで開催。中東情勢の緊迫化など、地政学的な不安要素があったものの、来場者数は316,342人を記録し、前年比+4.5%と上回った。

TOMOYUKI TSURUTA

<写真>ドラガ&オーレルは、ムラーノガラスの名門工房サルヴィアーティと協働し、ガラスと光の関係性を探求して生まれた家具やオブジェを発表した。

TOMOYUKI TSURUTA

<写真>現代陶芸に特化したミラノのスタジオ、オフィチーネ・サッフィ・ラボも参加。会場では制作風景を見せるデモンストレーションが行われた。

TOMOYUKI TSURUTA

<写真>サビーヌ・マルセリスはドバイのギャラリーとタッグを組み、限定作品を展示した。

© DEPASQUALE.MAFFINI

Tacchini

布がつくる軽やかな風景

布を大胆に使ったブースで、フェイ・トゥーグッドによる新作のほか、アフラ&トビア・スカルパやジャンフランコ・フラッティーニの復刻を発表した、イタリア発の「タッキーニ」。豊富な新作はもちろん、軽やかなブース設計が目を引いた。“遊牧民のキャンプ”から着想を得てデザインされた空間には、透け感のあるテキスタイルをふんだんに使用。壁を建てるというよりも、布で緩やかに仕切るというアプローチで建築的な構造を最小限に抑え、再利用可能な素材を使うことで環境にも配慮した。「タッキーニ」らしい柔らかな色使いで構成された空間は、プロダクトのデザイン性やブランドの哲学を、より説得力のあるものへと高めていた。

TOMOYUKI TSURUTA

Minotti

4500㎡の中で描いた理想の住空間

約4500㎡という最大級のブースで、1970年代のマテリアルと1990年代のミニマルな建築様式から着想を得た濃密な会場をつくり出した「ミノッティ」。3つのソファを中心に、全て新作でスタイリング。新作ソファの一つが、左のガムフラテージによるモジュールソファ“ラッフル”だ。規則正しい縦のステッチはフリルをイメージしており上質さと軽やかさを添える。

TOMOYUKI TSURUTA

さらに今年のコレクションでは、大理石やベロア、ラッカー塗装など、質感の妙も際立っていた。右のジャンピエロ・タリアフェッリによるダイニングテーブル“ブルータリスト”はコンクリートの彫刻的な脚に、温かみのある色合いの大理石の天板を合わせている。

TOMOYUKI TSURUTA

Kartell

独立した空間が引き立てる、新作プロダクトの造形美

「カルテル」は大きく2つに分けて構成。新作は一点ずつ鮮やかな色の壁・床を舞台に展示、そして既存のコレクションはスタイリングして展示を行った。また、家具と共に飾ったAIでつくられたアートも話題を集めた。注目の新作は、初のコラボレーションとなったエドワード・バーバー&ジェイ・オズガビーのチェア“サヴォイア”。スリムなアルミダイキャスト製のフレームにプラスチックや木材、レザーの背もたれを合わせた、彼らのデザイン哲学と「カルテル」の素材研究が生かされた汎用性の高いチェア。

TOMOYUKI TSURUTA

パトリシア・ウルキオラはソファ“アアランド・クルヴォ”とラグ“ピンセル”を発表した。

KARL TRANBERG KNUDSEN(KARIMOKU CASE)

Karimoku Case

架空のホテルがサローネ会場に出現

「A Thoughtful Sta y」というコンセプトで、ブティックホテルをイメージしたブースをつくり上げた「カリモク家具」。約250㎡の面積を用いて、レセプションやラウンジ、スイートルームといったテーマごとに家具や什器をレイアウトした。

KARL TRANBERG KNUDSEN(KARIMOKU CASE)

ノーム・アーキテクツによる新作家具を披露しつつ、決してそこだけにフォーカスするのではなく空間全体でブランドの哲学を表現。素材のさまざまな表現や、静謐な美しさを体感できる、没入感のある構成とスタイリングが来場者を魅了した。

TOMOYUKI TSURUTA

Meridiani

4人のクリエイターがつくる4つの世界

創立30周年を迎えたイタリア発の家具ブランド、「メリディアーニ」。サローネ会場では「my home is ME」をテーマに、4人のクリエイターがデザインした住空間を展示した。写真はアンドレア・パリージオが手掛けた、万華鏡に着想を得た9角形の空間。有機的なフォルムにアップデートされた、アイコンソファ“レネ”と大理石やミラー素材が互いを引き立て、バーラウンジのような親密な雰囲気が漂っていた。

TOMOYUKI TSURUTA

こちらはグレタ・チェヴェニーニによる、控えめなラグジュアリーを表現した空間。「メリディアーニ」の家具で多彩な空間づくりができるという、表情の豊かさと柔軟性を証明した。

ERCOLI GIANCOLA

Italian Radical Design

「グフラム」、「メンフィス」、「メリタリア」が共演!

エネルギッシュなイタリアの3ブランド、「グフラム」、「メンフィス」、「メリタリア」は合同展示を行った。テーマは“ラディカル・ハウス”。展示デザインを手掛けたのは、ミラノを拠点とする建築・デザインスタジオ (AB)NORMALだ。

ERCOLI GIANCOLA

3ブランドの家具やプロダクトをミックスしてスタイリング。「グフラム」のポップアートのような楽しさ、「メンフィス」の大胆で先鋭的な造形と色彩、「メリタリア」の漂うユーモアの共演によって、イタリアデザインの圧巻のパワーと奥深さを印象付けた。巨匠デザイナーの復刻と気鋭デザイナーによる現代のデザインとが一体となり、来場者を魅了していた。

TOMOYUKI TSURUTA

Audo Copenhagen

北欧とイタリアが融合したカフェのようなブース

初めてミラノサローネに出展したデンマークのインテリアブラン
ド、「オドー・コペンハーゲン」。「ザ・グランド・カフェ」をテーマに掲げ、イタリアの社交サロンの精神から着想を得て展示をつくり上げた。展示デザインを手掛けたのは、コペンハーゲンを拠点とするノームアーキテクツ。イタリアの歴史主義建築と1930年代のモダニズムのスケール感を取り入れ、高さのある列柱が象徴的な空間を構成した。家具のデザインや素材、座り心地をカフェでくつろぐようにして体感できる、没入感と温かみに満ちたインスタレーションだった。

Jingu Ooki

Nii

ミニマルな空間に際立つ独創性

2025年に誕生した「イトーキ」が国内外のデザイナーと共に展開するオフィス家具ブランド、「NII(ニー)」。今回がミラノサローネへの初出展となり、昨年発表のプロダクトと新作を披露した。オフィスを彷彿とさせるブラインドで緩やかに区切られた空間で、AMDLサークルなどが手掛けたオフィス家具をストレートに展示。プロダクト自体の独創性や高い品質を、しっかりと提示した。手前のチェアは新作の“ハクサン”で、英国拠点のインダストリアル・ファシリティがデザインを手掛けている。

Hearst Owned

『エル・デコ』2026年8月号



元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ