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「触らなくていい!自分で拾えるから」破れた袋から荷物を落とした男性。だが、強く断られた女性が、もう一度かけた言葉

  • 2026.9.2
「触らなくていい!自分で拾えるから」破れた袋から荷物を落とした男性。だが、強く断られた女性が、もう一度かけた言葉

先にしゃがんだのは、私ではありませんでした

何年か前、休みの日の昼に買い物へ出た帰りのことです。

住宅街を歩いていると、少し先で高齢の男性が立ち止まっていました。近所に一人で暮らしている、顔だけ知っている方です。

足元には、スーパーの袋からこぼれたらしい野菜や箱がいくつも転がっていました。

袋の底が破れてしまったようです。

私が近づくより先に、通りかかった女性が足を止めました。

「大丈夫ですか。こっち、拾いますね」

女性はそう言うと、道路の端まで転がった物を拾い始めました。

ところが男性は、少し強い口調で言いました。

「触らなくていい!自分で拾えるから」

女性の手が止まりました。

「あ…すみません」

せっかく手伝おうとしたのに怒られてしまったように見え、私も声をかけるタイミングを失いました。

男性はしゃがんで荷物を拾おうとしましたが、破れた袋にはもう戻せません。

拾っては抱え、また一つ落とす。その繰り返しになっていました。

女性は、もう一度だけ声をかけました

先ほどの女性は、その場を離れませんでした。

少し考えてから、自分が持っていた買い物袋を一枚取り出します。

「これ、余っているので使いませんか。中には触りませんから」

男性はすぐには答えませんでした。

女性も無理に渡そうとはせず、袋を手に持ったまま待っていました。

しばらくして、男性が小さな声で言いました。

「…じゃあ、袋だけ借りるよ」

女性が袋を差し出すと、男性は自分で荷物を一つずつ入れていきました。

私も近くまで行きましたが、今度は勝手に手を出さず、「転がっているのは、あれで全部だと思います」と道路の端を指さしました。

男性は周りを見て、短くうなずきました。

荷物を入れ終えると、男性は女性に袋を見せるように持ち上げました。

「助かったよ。さっきは悪かったね」

「いえ、大丈夫です」

女性はそれだけ答えて、笑いました。

男性は何度もお礼を言うタイプには見えませんでした。それでも、帰り際には女性にもう一度頭を下げていました。

あのとき男性がなぜ最初に強く断ったのか、本当のところは分かりません。

ただ、自分でできることは自分でしたかったのかもしれません。

手伝うことだけが親切なのではなく、相手が受け取りやすい形に変えることもある。あの日、私は何もせず見ていたからこそ、その女性の二度目の声のかけ方が長く印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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