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魅惑のラトビア旅|年に1度のクラフトの祭典「民芸品市」へ

  • 2026.8.30
fujingaho

ラトビアと聞いて、すぐに国のイメージを思い浮かべられる人はどのくらいいるだろう。日本人にとって、ほかの欧米諸国と比べて馴染みが薄く、ぼんやりと「北欧のほうの国」、もう少し知っている人でも 「旧ソ連から独立したバルト三国の一つ」……という程度が大半では?

ラトビアの首都・リーガにある自由の記念碑。1935年に建てられた高さ42メートルのモニュメントで、自由の像ミルダが掲げる3つの星は、ヴィドゼメ、ラトガレ、クルゼメというラトビアの歴史的地域を象徴しています。 fujingaho

ラトビアはロシアやスウェーデン、ドイツなどの大国に挟まれて複雑な歴史を歩み、それゆえラトビア人としての誇りを胸に、独自の文化を豊かに育んできた。

首都リーガのさまざまな時代の建築が残る旧市街、味わい深い伝統工芸品や民族衣装、豊かな森や海の幸を生かした郷土料理、伝統的な入浴習慣のピルツ(=サウナ)……。ここでしか体験できない特別なコト・モノがさまざまにあり、近年、日本でも観光地としてじわじわと人気が高まりつつある。

上空から見晴らした、ラトビアの首都・リーガの街並み。右手に見えるのは、バルト海へと注ぐダウガヴァ川。 fujingaho

さらに、現在も残るラトビア神道は、国土の半分が森林という同国で生まれた古来の自然崇拝に由来し、日本から遠く離れた北ヨーロッパの地にありながら、その精神性はどこか日本人にも近しい。

ラトビアの首都・リーガを起点にした濃密な旅。4回の連載に分け、その魅力をたっぷりとお届けしよう。

心ときめく手工芸品の宝庫「民芸品市」

ラトビア民族野外博物館で、毎年6月最初の週末に開催される「ラトビア民族工芸大市(=通称・民芸品市)」。ラトビアを訪れる観光客のうち、わざわざこの催しに合わせて訪れる人も多く、日本をはじめ海外からもバイヤーが買い付けにくるほど。

民芸品市の会場となるのは、広大な敷地をもつ「ラトビア民族野外博物館」。 fujingaho

出店数はなんと500以上。多くの職人たちがこの日のために制作した商品を持ち寄り、ラトビア各地のハンドメイド品が揃う一大イベントである。

湖や松林が広がるラトビア野外博物館の一角に民芸品市のブースが設けられ、ウールのミトンやスカートなどの染織品、柳のかご、平皿やカップなどの陶器、木工芸品、アクセサリー、リネンなど、クラフト好きにはたまらない雑貨類が並ぶ。

裂織(さきお)りのストールやウールのソックスなど。 fujingaho
民族衣装のスカートなどに用いられる可愛い織り紐。多種多様なバリエーションをもつ模様には、さまざまな思いや祈りが込められ、地域ごとに特徴もあるそう。 fujingaho

さらにはちみつやチーズ、焼き菓子、絵本に出てくるような大きな黒パンなど、加工食品も販売されている。どれも丁寧に作られた味わいのあるものばかりで、ここでは必ず何かお土産を買おうと意気込んで乗り込んだものの、あれもこれもと目移りしてしまう。

奥に並ぶ、しっかり焦げ目をつけた大きなライ麦の黒パンのおいしそうなこと! ずっしりして、重量感たっぷり。 fujingaho
蜂蜜はラトビアの特産品のひとつ。さまざまな花の種類の香り高いはちみつや、サクリとした食感が楽しい巣蜜、蜜蝋キャンドルなど、品揃えも豊富。種類の違う蜂蜜を味見させてくれました。 fujingaho

会場となるラトビア野外民族博物館もまたいい。約87ヘクタール––東京ドーム18個分という広大な敷地に、ラトビア各地から移築された17世紀末から20世紀初頭にかけての伝統的な木造建築物––農家や漁師の家屋、教会、風車、倉庫など––が100棟以上も点在し、屋内も見学できるようになっている。

「1924年に設立されたヨーロッパで最も古い野外博物館のひとつで、規模も最大級。園内をじっくり見て回るとしたら、半日はかかるでしょう。1928年に最初の建物を移築したのを皮切りに、各地域の伝統的建築を少しずつ収集・移築していきました。各地方の特色のあるさまざまな建物から、かつての伝統的な暮らしが体感できます」とガイドをしてくれたダイガ・アンダーソン(Diga Andersone)さん。

旅籠の建物のなかで味わう郷土料理

昼食は、博物館の入り口付近にあるレストラン「プリエデス・クログス(Priedes Krogs)」へ。"松の酒場"という意味で、かつての旅籠(はたご)を移築・改修した建物のなかで、ラトビアならではの郷土料理を味わうことが出来るのだ。

ディル入りのバターや、ヘンプバター(右上)を黒パンにつけていただきます。ヘンプバターは、ヘンプシード(大麻の種子)を練り込んだもので、バター不使用。種子そのものが良質のオイルを含有しています。胡麻やナッツのような香ばしい風味と、プチプチとした食感が最高! fujingaho
「スイバ(酸い葉)」のスープ。スイバは現地ではソレルとも呼ばれ、爽やかな酸味のあるタデ科の野草。ジャガイモやベーコン、ゆで卵など具材もたっぷり入り、食べごたえ満点。 fujingaho
ブラックカラン(黒すぐり)の自家製ジャム(右上)や、燻製ベーコンに玉ねぎのジャム添え(左下)。 fujingaho
気さくな店員さん。アップルクリームのデザートをサーブ。 fujingaho

丁寧に手作りされた料理はどれもおいしく、さらに店内の内装やうつわ、カトラリー類も、建物の雰囲気にも合った、ラトビアならではのアイテムで揃えてあって可愛い。

大満足の昼食後は、ふたたび民芸品市のブースを巡る。

訪れた日の午前中は小雨がパラついていたものの、昼過ぎには晴れ間も見え、初夏らしい爽やかな大気のなか露に濡れた緑がきらめき、なんともすがすがしい。

森のいきれや、鳥のさえずりに包まれながら、訪れた人たちは思い思いに散策し、ゆったりと自分たちの時間を楽しんでいる。

旅の限られた時間のなかであくせくと"観光ポイント巡り"をしてしまうことも多いが、ここはじっくりと滞在して味わいたい場所のひとつだ。

〈ラトビア民族野外博物館〉

営業時間/

夏季シーズン(5月1日〜9月30日):敷地・敷地内道路は10時~20時(建物内部の見学は10時~ 17時まで)、

冬季シーズン(10月1日〜4月30日):10時~17時(11月〜3月は10時~16時に短縮)

休館日/ 特別休館日: 12月31日、1月1日、6月23日〜24日(夏至祭)、11月18日(独立記念日)を除き、原則無休。要確認のこと

tel.+371 67994106; +371 67994515

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Brīvdabas iela 21, Rīga

取材協力=

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