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支えようとする人が側にいても“うつ”はすぐには治らない。“産後うつ”をテーマにした漫画に込めた想い【著者インタビュー】

  • 2026.8.29

【漫画】本編を読む

5年にわたる不妊治療でも子どもを授からなかったため、仕事に専念することを決意したちはる。しかし大きなプロジェクトの責任者に抜擢された矢先、妊娠が発覚する。「タイミング最悪」と思ってしまったことに罪悪感を覚えつつも、育児と仕事の両立を決意。しかし、つわりも重く、うまくいかないことの連続で……。

自身も経験した“産後うつ”をテーマに『もう3年、産後うつ。 消えたい衝動から抜け出せない』(青柳ちか/KADOKAWA)を描いた著者・青柳ちかさん。自身が経験した産後うつや、本作に込めた想いについて話を伺った。

※個人の体験をもとにインタビューを行っています。症状など、詳細は医療機関等にご確認ください。

――産後うつがテーマとなると、うつに対して理解のない夫に苦しめられるという展開も考えられたと思います。しかしちはるの夫・ひろきは基本的には妻を尊重し、理解しようと努めるいい夫です。でも妻から見ると「わかってくれていない」と感じる点もある。そんな人物設定が絶妙だと感じましたが、ひろきはどのようなキャラクターとして描こうと考えたのでしょうか?

青柳ちかさん(以下、青柳):“うつ”になると家族の無理解に苦しむケースももちろんあると思います。でも私は、「支えよう、理解しようとしてくれる人が側にいても“うつ”はすぐ治るものではない」ということを描きたかったのです。また、どんなにいい人でもふとした無神経さで誰かを知らないうちに傷つけてしまうことがありますよね。「いい人なんだけど、その人に悪意がないからこそもどかしい」という状況を描きたいと思い、こういうキャラクターにしました。

病気になると、多くの人が「力になりたい」と思ってアドバイスをくれたり、手を差し伸べてくれたりします。でも“うつ”のときって、その「良かれと思って」の行動と本人の助けになることとの間に“ズレ”が生まれてしまうことがあるんです。それが“うつ”の難しいところだなと感じます。

――物語の冒頭で長い不妊治療の末、一度は子どものいない人生を受け入れたちはるが、虐待のニュースに憤る夫に対し、どこかその話題を避けようとする姿が印象的でした。このシーンはどんな意図があったのでしょうか?

青柳:きっとちはるも、以前ならひろきと一緒に憤っていたと思うんです。でも赤ちゃんを諦めたことで子どものニュースがどこか他人事のように感じられてしまう。そしてそう感じてしまった自分に、ふと嫌悪感を抱く。そのような心情を描きました。

――ひろきを描く上で難しかったところ、悩んだところはありますか?

青柳:特になかったです。「優しいんだけど、少しわかってないんだよな……」とキャラクターを設定したら、あとは勝手に動いてくれました(笑)。

取材・文=原智香

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